- 「勤怠管理システムは、従来の勤怠管理と何が違うの?」
- 「もし勤怠管理システムが良いものならば、自社でも導入すべきだろうか?」
- 「勤怠管理システムのメリットと注意点を両方知りたい」
勤怠管理システムの導入を検討している経営者や企業担当者の中には、そもそも勤怠管理システムとはどういうものなのか、何ができるのかなどを網羅的に理解したいという方が多いのではないでしょうか。
導入すべきかを決めるには、メリットだけでなく注意点も知った上で、自社に必要かどうかを判断することが重要です。
勤怠管理システムを導入するメリットと注意点をまとめると、以下の通りです。

詳しくは本文でさらに説明しますが、勤怠管理システムを導入することで、正確な労働時間の把握だけでなく、さまざまなコスト削減、不正打刻や隠れ残業の防止、テレワークの推進などの効果があります。
もちろん導入コストはかかりますが、メリットが導入コストを上回るようであれば、導入すべきと結論付けられるでしょう。
本記事では、ITツールをあまり使ったことが無い方でも分かるように、簡単な言葉で「勤怠管理システムって何?」を理解できるよう解説していきます。
ぜひ最後までお読みいただき、勤怠管理システムで実現できることや必要性、選び方まで、網羅的に理解していきましょう。
目次
勤怠管理システムとは
まずは、勤怠管理システムとは何か、言葉の意味や概要について解説していきます。
勤怠管理システムとは、出退勤時に打刻することで労働者の勤務状況を記録し、集計・出力できるシステムです。紙やエクセルではなく、ネットワーク上で出退勤を記録するため、従業員の勤怠状況をリアルタイムで確認できるようになります。
働き方改革関連法により2019年4月から「客観的方法による労働時間把握」が義務化されたこと、そして多くの企業でDX・デジタル化が進んでいることもあり、勤怠管理システムを導入する企業が増えています。
株式会社モニタスが発表した「勤怠管理ツールに関する調査」では、人事・労務関連業務の従事者1,000名を対象に、勤怠管理システムの導入状況や背景など勤怠管理システムに関する意識調査を行いました。同調査で、勤怠管理システム(勤怠管理ツールや自社システム)を使用している企業の割合は62.4%にのぼることが分かっています。

ただし、システムによって機能や導入形態などが大きく異なるため、システム選定前に必ず「どの機能が必須なのか」「オンプレミスかクラウド(SaaS)か」などを整理し、最適なシステムを導入する必要があります。

勤怠管理だけできればいいのか、勤怠管理と同時に工数管理や給与計算も行いたいのかなど、導入前の検討が重要となる点に注意しましょう。
勤怠管理システム導入で解決できる課題
勤怠管理システムを導入すると何ができるのかを理解するため、「従来の勤怠管理」と「勤怠管理システムを導入すると実現できる未来」を具体的に見ていきましょう。
勤怠管理システムによって機能には違いがありますが、一般的な機能をまとめると以下のようになります。

さらに、システムによっては、以下のような範囲まで対応しているものもあります。
一部の勤怠管理システムでできること
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割増賃金の計算を含めた給与計算
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経費精算
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工数管理
勤怠管理システムを導入するメリット
ここからは、勤怠管理システムを導入することでどのようなメリットがあるかを具体的に解説していきます。
勤怠管理システムを導入するメリット
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従業員の労働時間を正確に把握できる
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リアルタイムで把握できるため法律を遵守できる
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法改正にもいち早く対応できる
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集計や管理にかかっていたコストを大幅に削減できる
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給与計算や申請など他の業務も効率化できる
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不正打刻・隠れ残業・打刻ミスを防止できる
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テレワークなどの働き方に対応できる
自社で導入した場合の効果をイメージしながら読み進めてください。
1.従業員の労働時間を正確に把握できる
勤怠管理システムを導入する最大のメリットは、「正確に労働時間を把握できる」ことです。
勤務時間を自己申告するなどの従来型の勤怠管理では、従業員の記憶違いや不正報告により、正確な記録ができない可能性があります。しかし勤怠管理システムでは、パソコンのログオン・オフで自動的に出退勤時間を記録したり、出張先でもスマホから記録したりできるため、より正確な労働時間を記録できます。
また、打刻された情報は勤怠管理システムへ自動で記録されるため、後で集計する必要がありません。手作業で集計しないのでミスが起こりにくく、正確に労働時間を把握できます。
2.リアルタイムで把握できるため法律を遵守できる
勤怠管理システムを使うとリアルタイムに従業員の労働時間や休暇取得状況を確認できるため、法律を遵守できるメリットもあります。特に、残業時間の上限や年次有給休暇の取得義務に違反せずに済みます。
働き方改革関連法によって、残業時間の上限や年次有給休暇の取得義務が以下の通り定められています。
残業時間の上限 |
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年次有給休暇の取得義務 |
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例えば、勤務時間を月末にまとめて集計するような従来型の運用方法では、残業時間の上限に近づいていることに気付くのが遅れ、結果として法律遵守が難しい状況になりかねません。アラート機能がある勤怠管理システムなら、上限が近づいた段階で警告を出すことも可能なので、法律遵守しやすくなります。
3.法改正にもいち早く対応できる
前項目と関連して、法改正にもいち早く対応できるメリットもあります。
労働環境に関連した法改正がこのところ相次いでおり、要件も複雑になってきています。クラウド型の勤怠管理システムを導入すれば、法改正のたびにシステム側がいち早く対応してくれるため、バージョンを更新するだけで対応できます。
※買い切り型のパッケージの場合には、対応していないケースがあります。
4.集計や管理にかかっていたコストを大幅に削減できる
勤怠管理システムを導入することで、それまで勤怠の集計や管理にかかっていたコストを大幅に削減できます。
従来のタイムレコーダーを使って紙のタイムカードで打刻するケースと比較してみましょう。このやり方だと、月末に全員分のタイムカードを回収して打刻情報を目視で確認し、エクセルなどに転記し集計する必要があります。
しかし、勤怠管理システムなら、毎日従業員本人が記録した勤務時間がリアルタイムで蓄積されていくため、集計作業は一切必要ありません。転記ミスも発生せず、正確な勤務時間を把握できます。
また、従来のやり方では「この従業員は残業時間が多くなってきたな」など個別に労務状況を確認しなければなりませんでした。しかし勤怠管理システムなら、法令に基づいた残業時間の上限や有給休暇の取得義務に抵触する場合、システムがアラートを出して教えてくれます。
本人や所属長などに自動で通知してくれるシステムもあるので、労務部の負担が大きく軽減されます。
5.給与計算や申請など他の業務も効率化できる
勤怠管理システムには、給与計算ソフトへの連携機能や残業・有休申請機能もあるため、他の業務も効率化できるメリットがあります。
勤怠管理システムで自動集計された勤務時間情報は、CSVデータとして出力することが可能です。そのデータを給与計算ソフトに読み込ませれば、ソフトに情報を転記する手間を削減できます。
また、ほとんどの勤怠管理システムでは残業申請や休暇申請(ワークフロー申請)にも対応しています。紙ベースの残業申請書や休暇届を撤廃することで、それらの書類にハンコを押したり回覧したりする無駄な作業をカットできます。
6.不正打刻・隠れ残業・打刻ミスを防止できる
不正打刻を防止するような仕組みがあるシステムを使えば、不正打刻はもちろん、打刻ミスや打刻漏れも防止できます。
例えば、GPS打刻に対応しているTeamSpiritの勤怠管理システムを使えば、打刻時に位置情報を取得できるため、所定の場所で業務を開始(または終了)したかを確認できます。

また、社員の入退館時刻と勤怠時刻の乖離を判定して、隠れ残業をしていないかチェックできる機能もあります。さらに、パソコンを使う業務の場合は、ログオンログオフ打刻を活用すればパソコンを使っている時間を勤務時間として記録できるため、打刻ミスや打刻漏れを防げます。
7.テレワークなどの働き方に対応できる
テレワーク(リモートワーク・在宅勤務)などの働き方に対応できるのも、勤怠管理システムの大きなメリットです。
「テレワーク時の社員の勤怠を管理しづらい」という点がネックとなり、テレワークを推進できなかった企業も多いでしょう。従来の紙のタイムカードなどでは、オフィスに出社していない社員の勤務時間を正確に把握することは困難です。
勤怠管理システムを使えば、テレワーク中の勤怠状況と操作ログを連携させたり、パソコンのログオン・ログオフ時間を勤務時間として記録したりできます。
より正確に勤務時間を把握できるため、安心してテレワークなどの働き方を推進できます。
勤怠管理システムを導入すべき企業の特徴
勤怠管理システム導入には費用がかかるため、導入するかどうかは自社内でコストとのバランスを見ながら判断する必要があります。
しかしながら、3章でも解説したような多くのメリットがあるため、以下のような課題を抱えているなら導入をおすすめします。
勤怠管理システムを導入すべき企業
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勤怠管理にかかわる工数を減らしたい
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テレワークなど多様な働き方に対応したい
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残業時間や休暇取得状況をリアルタイムで把握したい
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残業時間超過や有給休暇の義務化に正しく対応したい
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労働時間を正しく管理したい
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働き方改革関連法など法改正にスムーズに対応したい
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勤怠管理システムを足掛かりに社内のDXを進めたい
なお、勤怠管理システムを導入することで、上記のような顕在的な課題解決はもちろん、副次的な効果を得られるケースも多く存在しています。
例えば、給与計算や工数管理なども同じシステムで行うことで業務を効率化したり、サービス残業を見える化して残業時間を削減したり、残業時間削減により従業員のエンゲージメントが向上したり…という効果が期待できます。
「DXを推進したいけれど何から手をつけて良いか分からない」という企業にとっても、社内のDXを進める足掛かりとして勤怠管理システムの導入がおすすめです。
自社に合った勤怠管理システムの選び方
ここからは、勤怠管理システムの選び方について解説します。
勤怠管理システム選びを間違えると、必要な打刻方法が用意されていなかったり、必須で使いたい機能がなかったりして、逆に効率が下がってしまう可能性があります。勤怠管理システムを選ぶ際には「自社に合った打刻方法が用意されているか」「自社が実現したい目的を達成できるか」という点を重視しましょう。
自社に合った打刻方法が用意されているか
勤怠管理システムによって、対応している打刻方法はさまざまです。ブラウザを経由した打刻はほとんどのシステムが対応していますが、一部のシステムしか対応していない打刻方法もあります。
ほとんどの勤怠管理システムが対応 |
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一部の勤怠管理システムのみが対応 |
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テレワークが多い企業なら「ログオンログオフ打刻」、直行直帰が多い企業なら「GPS打刻」、ブラウザ操作に慣れていない社員が多いなら「通話認証打刻」など、社員の特性や働き方に合った打刻方法が用意されている勤怠管理システムを選ぶことが重要です。
どこまでの機能を求めるか
勤怠管理システムは、システムによって対応範囲にかなり差があります。有休や残業の申請・承認(ワークフロー申請)やシフト管理ぐらいは対応しているものがほとんどですが、プラスアルファの機能はシステムによって対応の有無がまちまちです。
ほとんどの勤怠管理システムが対応 |
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一部の勤怠管理システムのみが対応 |
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「勤怠管理だけできれば良い」ならシンプルな機能でコストが安いものを、「勤怠管理と同時に工数管理や経費精算も一元管理したい」ならばTeamSpiritのような高機能タイプを選びましょう。
既存システムと連携できるか
勤怠管理システムを選ぶうえで、既存システムとの連携も重要なポイントです。既に導入しているシステムと連携できれば、業務を効率化できるからです。
特に、給与計算ソフトとの相性がとても大切です。勤怠管理システムの勤怠記録をそのまま給与計算ソフトに連携できれば、給与計算の手間を大きく削減できます。
その他にも、ERPや外部の打刻システムなどとAPI連携できる勤怠管理システムを使えば、さらに便利に活用できます。
勤怠管理システムを導入する前に、連携したい既存システムや外部サービスを洗い出し、連携できる勤怠管理システムを選ぶことをおすすめします。
導入サポートが充実しているか
導入サポートが充実しているかどうかも、勤怠管理システムを選ぶ上で大切なポイントとなります。勤怠管理システムは導入してから本稼働するまでの設定や準備に苦労することが多いからです。
そのため、担当者がしっかりと導入支援を行ってくれる勤怠管理システムがおすすめです。システムの設定作業をサポートしてくれるかどうかを重視しましょう。
さらに、勤怠管理システムを導入することで、組織や業務規程の変更が必要となるケースもあります。このような社内の体制変更などもサポートしてくれる勤怠管理システムを選ぶと安心です。
勤怠管理システム導入時に気を付けるべき注意点
最後に、勤怠管理システムを導入する上で事前に知っておくべき注意点をお伝えします。スムーズに導入から本稼働までを進めるために、導入前に注意点をしっかり押さえておきましょう。
勤怠管理システム導入時の注意点
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導入コストがかかる
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システムを浸透させるまでが大変
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システム選びを間違えると逆に効率が下がる
1.導入コストがかかる
当たり前のことですが、勤怠管理システムを導入するにはコストがかかります。クラウド(SaaS)型の場合はシステム使用料として月額料金を払うのが一般的で、導入時に初期費用がかかるものもあります。
1人あたり月額数百円から導入できるシンプルなシステムもあれば、機能が充実していて高額なシステムもあります。導入コストはシステムによってまちまちなので、コストに見合った効果を得られるかをしっかり判断しましょう。
2.システムを浸透させるまでが大変
勤怠管理システムは、新しいシステムに、自社独自の業務フローを設定したり、社内のユーザーに浸透させるまでが大変という課題があります。
例えば、システムを選定する時点で、自社の雇用形態や就業形態を洗い出し、自社の働き方に対応できるシステムか、カスタマイズは必要なのかを慎重に判断する必要があります。また、システム導入時には自社の就業規則に合わせてシステムの初期設定を行い、ミスなく集計ができるようにしておかなければなりません。
さらに、従業員が新しいシステムを使いこなすために、マニュアルを作成したり説明会を開催したり個別に疑問点に回答したり、という対応も必要となります。システムが問題なく社内に浸透するまでには一定の時間と工数がかかることを念頭に置いておきましょう。
本稼働までの作業負担を軽減させたい場合には、各種設定作業のサポートや業務規定・法律改訂のサポート、その他運用上の課題解決サポートなどが手厚い勤怠管理システムを選ぶのがおすすめです。
3.システム選びを間違えると逆に効率が下がる
勤怠管理システム選びを間違えると、逆に効率が下がる可能性があるため注意しましょう。
例えば変形労働時間制やヘルプ勤務などの働き方を導入している企業が、こうした勤務形態に対応していない勤怠管理システムを選んでしまうと、手作業での修正などが必要となります。結果的に担当者の工数が増え、業務効率を下げることになりかねません。
また、純粋に勤怠管理だけしたいのか、工数管理や経費精算などバックオフィス業務を一元化して効率化を図りたいのかによっても、選ぶべきシステムは異なります。
自社で解決したい課題をしっかり整理した上で、悩みを解消するために最適なシステムを選定できるかどうかが重要となります。
まとめ|自社に合った勤怠管理システムを導入しよう
勤怠管理システムとは、出退勤時に打刻することで労働者の勤務状況を記録し、集計・出力できるシステムをいいます。
自社に合った勤怠管理システムを導入することで、以下のようなメリットが得られます。
自社に合った勤怠管理システムを導入するメリット
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従業員の労働時間を正確に把握できる
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リアルタイムで把握できるため法律を遵守できる
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法改正にもいち早く対応できる
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集計や管理にかかっていたコストを大幅に削減できる
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給与計算や申請など他の業務も効率化できる
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不正打刻・隠れ残業・打刻ミスを防止できる
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テレワークなどの働き方に対応できる
正しい勤怠管理を行えるだけでなく、コスト削減や法律遵守、業務効率化などさまざまな効果を期待できます。費用対効果の高いものなので、ぜひ導入を前向きに検討してみることをおすすめします。
ただし、間違った勤怠管理システムを導入してしまうと上手く活用できず、逆に効率が下がりかねません。導入前に以下の4つのポイントをしっかり検討し、最適な勤怠管理システムを選びましょう。
導入前に検討すべき4つのポイント
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自社に合った打刻方法が用意されているか
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どこまでの機能を求めるか
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既存システムと連携できるか
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導入サポートが充実しているか
勤怠管理システムの選び方や機能、導入事例などを詳しく知りたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
よくある質問とその回答
よくあるご質問
Q1.勤怠管理システムとは何ですか?
勤怠管理システムとは、出勤時間や退勤時間を打刻することで労働者の勤務状況を記録し、自動で集計・出力できるシステムのことです。
システムによってその他の機能は異なりますが、打刻→記録→出力の一連の流れは全てのシステム共通の基本機能となります。
紙ではなくネットワーク上で出退勤を記録するため、リアルタイムで従業員の勤怠状況を確認できるのが特徴です。
詳しくは「勤怠管理システムとは」をご覧ください。
Q2.勤怠管理システムを導入することで何ができますか?
勤怠管理システムそれぞれでどのようなことができるのかは異なりますが、多くの勤怠管理システムで実現できることは以下の通りです。
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スマホやテレワーク先のパソコンなどさまざまな環境から打刻できる
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リアルタイムで自動集計できるため、締め作業が無くなる
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残業時間や有休取得状況をリアルタイムで把握でき、システムがアラートを出してくれる
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勤務時間データをそのまま給与計算ソフトに連携できる(給与計算機能がある勤怠管理システムもあり)
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システム内で、電子的に残業や休暇の申請・承認ができる
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システム内にシフト作成機能や予実管理機能もある
また、一部の勤怠管理システムでは以下のような範囲まで対応できるものもあります。
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残業超過や有休取得期限が近づくとアラートで通知
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割増賃金の計算を含めた給与計算
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経費精算
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工数管理
詳しくは「勤怠管理システム導入で解決できる課題」をご覧ください。
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