従業員エンゲージメントを高めるメリット
従業員エンゲージメントとは、従業員が所属企業に対して抱く「企業理念やビジョンへの共感」「信頼感」「自社に貢献したい気持ち」「愛着」を指します。
従業員のエンゲージメントを高めると、下記のようなメリットが期待できます。
生産性が向上する
従業員エンゲージメントを高めると、生産性の向上が見込めます。従業員がオーナーシップを発揮し、主体的に行動するようになるためです。
チームの成果に責任をもって行動できるメンバーが増えれば、生産性の高い組織を目指せるでしょう。
従業員の離職率が下がる
「この会社だから働きたい」「メンバーの役に立ちたい」とエンゲージメントが高まっている従業員は、会社への愛着が強いため、離職しにくくなります。
反対にエンゲージメントが低ければ、従業員が待遇の良い働き口に流れてしまうおそれがあります。
仕事の質が向上する
エンゲージメントが高い従業員は、仕事に対する強い当事者意識と、自社サービス・商品に対する誇りをもっています。指示された業務をこなすのみならず、より成果を上げるにはどうするべきか、自社サービス・商品の良さを知ってもらうにはどうすればよいかと主体的に取り組んでくれるようになるでしょう。
積極的な姿勢により生産性はもちろん、仕事の質も向上します。
従業員エンゲージメントが重要視されている背景
近年、多くの企業で従業員エンゲージメントを高める施策が実施されています。従業員エンゲージメントが重要視されている背景は、下記のとおりです。
人材の流動化が進んでいる
終身雇用の事実上の崩壊や、転職に対する世間的なイメージの変化も影響して、現在は人材の流動化が進んでいます。また、成果主義の企業が増えており、勤続年数や年齢に関係なく優秀な人材が役職者となるケースもよく見られます。特に優秀な人材では、より気軽に転職ができるようになっているのです。
企業の事業継続性や競争力を高めるには、従業員の離職は防がなければなりません。その対策のひとつとして、エンゲージメントが注目されているのです。
従業員の自発的なスキルアップが求められている
AIの登場や働き方改革など、従業員は日々新たな変化への対応に追われています。多様化が進む環境の中で企業や人材が生き抜いていくためには、従業員それぞれのキャリア自律が不可欠です。
キャリア自律とは、環境の変化にともない自らキャリア構築や学習を継続することです。主体的にスキルや知識を身につけてキャリア自律することで、社会の変化に適応することができます。
エンゲージメントの高い従業員は、このようなスキルアップにも積極的です。優秀な人材が育ちやすくなれば、事業の成長スピードを高めることができるでしょう。
非対面でのコミュニケーションが増えている
近年、世界的なパンデミックをきっかけに、日本国内でもリモートワークの普及が進みました。多様な働き方の実現で幅広い人材の確保が可能となった一方で、コミュニケーションをはじめとした多くの問題が発生しています。
特に懸念されるのは、会社への帰属意識の低下です。新入社員や若手社員において、頼れる先輩や上司がいることの安心感を得られず、早期離職を選択するケースも増えています。また、既存社員では、仕事に対するモチベーションが低下し、業務効率が低下することもあるようです。
非対面のコミュニケーションによる課題を解決するうえでも、従業員エンゲージメントを高める施策が必要です。
従業員エンゲージメントを向上させる方法
従業員のエンゲージメントを向上させる方法を4つ紹介します。自社の現状や課題に合った方法を実行しましょう。
企業理念・ミッションの浸透を図る
経営者が掲げた企業理念・ミッションは、会社の方向性を決める重要な指針です。企業理念・ミッションの浸透を図ることで、従業員は目指すべき方向に合った判断ができるようになります。
企業理念・ミッションを設定したのみで終わらせている場合は、全社に浸透するよう工夫しましょう。たとえば朝礼で読み上げたり、会社案内やブランドブックに掲載したりする方法が効果的です。
業務内容に適材を配置する
人材配置の適正化も、エンゲージメントに大きく関係する要素です。一人ひとりの適性やスキルに合った業務を割り振ることで、従業員はやりがいを感じながら働くことができます。
また、いかに本人に適した業務であるかを理解してもらうことも重要です。自社にとって重要かつ意味や目的のある業務を担当していると実感できれば、さらなるエンゲージメントの向上が期待できます。
ワークライフバランスを推進する
従業員一人ひとりのライフスタイルに合った働き方を実現するために、ワークライフバランスを推進しましょう。従業員が「自分を大切にしてくれている」と実感できれば、企業への貢献意欲が高まります。
ノー残業デーやフレックスタイム制の導入、時間差出勤や時短勤務の許可など、ワークライフバランスを推進する方法はさまざまです。従業員の実態を把握したうえで、ニーズに合った制度を取り入れましょう。
適正な給与・インセンティブを支給する
従業員の不満が溜まりやすいのが給与など待遇面の問題です。年功序列など独自のルールで役職や業務内容に見合っていない給与を設定していると、エンゲージメントの低下を招きかねません。
給与は従業員にとって、自分の働きを認められた証でもあります。適正な給与・インセンティブを設定することで、従業員は自分の頑張りが評価されていると実感できます。
従業員エンゲージメントを高める施策の失敗理由
従業員エンゲージメントを高める施策は失敗するケースも少なくありません。失敗する理由を把握し、効果的な方法を模索していきましょう。
エンゲージメントサーベイのスコアに執着してしまう
従業員エンゲージメントを可視化するのに役立つエンゲージメントサーベイですが、結果(スコア)の推移に執着すると、判断を誤りやすくなります。スコアを上げること自体を目標としてしまうと、エンゲージメント向上の本質を見失ってしまいます。
また、課題の特定が不十分な場合や、施策が不適切だった場合は思うような効果が得られません。結果的にエンゲージメント低下を招くおそれがあるため、サーベイの実施後はしっかりとスコア分析を行いましょう。
エンゲージメント向上が負荷になっている
エンゲージメント向上を意識しすぎることも失敗を招く原因です。エンゲージメント向上は、あくまで企業を成長させる手法のひとつにすぎません。
他社で効果があった施策を容易に取り入れたり、何度も制度の導入・廃止を繰り返したりすると、従業員の負担が大きくなってしまいます。
施策が失敗に終わるのみならず、従業員が「振り回されている」と不満を抱き、エンゲージメント低下や離職率向上を引き起こしかねません。従業員の精神的な負荷とならないよう、自社の状況や課題に応じた施策を考えましょう。
まとめ
従業員エンゲージメントを高めると、組織への愛着や貢献意欲が高まり、離職防止が期待できます。まずは自社が取り入れやすい施策から始めて、少しずつ従業員エンゲージメントを高めましょう。
現状の課題を可視化するには、定期的なエンゲージメントサーベイの実施がおすすめです。エンゲージメントサーベイを導入する際のポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。