レポート

2026.6.11

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更新日

2026.6.29

【開催レポート】第2回 円卓勉強会

テーマ

労基法改正の「猶予期間」をどう使う?〜自社の現在地診断と対策ロードマップ〜

開催概要

・開催日: 2026年4月27日(月)
・参加社数: 12社(経営層、人事責任者、労務担当者中心)
・登壇者: 松井 勇策 先生(雇用系シンクタンク iU組織研究機構 代表理事・社会保険労務士)、道下 和良
・趣旨: 高市首相による法改正延期の背景を逆手に取り、2026年の本格施行までの期間を「自社の働き方を実験・構築する期間」と捉え直す。

労働基準法改正の「猶予期間」を成長戦略に変える――変革期に求められる働き方の再定義とデータマネジメント

2026年現在、高市首相のリーダーシップのもとで議論が進む「労働基準法改正」は、日本成長戦略会議でのさらなる検討を挟む形で、事実上の「準備期間(猶予期間)」を迎えています。この動向は、単なる法対応の先送りを意味するものではありません。企業にとっては、新制度の本格施行が始まる前に「自社にとって最適な働き方と、それを支える人事評価のあり方」を模索し、実証実験を行うための極めて貴重な猶予期間です。

本勉強会は、一方的な情報提供を目的とする一般的なセミナーとは異なり、参加企業各社が独自のチェックシートを用いて「自社の現在地」を客観的に診断し、クローズドな環境だからこそ語れる「現場のリアルな悩みや本音」をぶつけ合う、実践型のワークショップとして開催されました。当日は、雇用系シンクタンク代表理事・社会保険労務士である松井勇策氏、および株式会社チームスピリット代表取締役CEO 道下和良を交え、多くの企業の経営層や人事責任者、労務担当者が集い、「これからの労務・人事戦略」についての活発な議論が執り行われました。

1. 意識調査から浮き彫りになった「日本企業が直面する3つのリアル」

当日参加した12社の診断結果やディスカッションからは、現在の日本企業が「働き方の制度化」を進める上で直面している、本質的な課題が3つのインサイトとして浮き彫りになりました。

インサイト①:「裁量労働制」の成否は、評価制度への信頼と正の相関がある

多くの企業が裁量労働制や柔軟な働き方の導入・拡大に前向きな姿勢を示す一方で、その大前提となる「人事評価制度への信頼性」に不安を抱えている実態が明らかになりました。

評価基準や社内リレーションへの納得感が十分に醸成されていない組織において、労働時間の自由化(裁量労働)を急進的に進めると、従業員側には

「いくら成果を上げても正しく認められないのではないか」

「見えない場所での努力が評価されず、結果として無限労働に陥るのではないか」

という不安や不信感が生まれてしまいます。

逆に、評価への信頼が担保されている組織では、自由な働き方が個人のパフォーマンスを最大限に引き出します。実際に、評価への信頼度によって、従業員の裁量労働制への肯定的に思う度合いが30倍以上になるという差が見られたという定量データも提示され、参加者に強い衝撃を与えました。このように柔軟な働き方を成功させるには、従業員側の「納得感」が不可欠であり、土台となる評価制度や人事制度の見直しや一貫性がある設計が必要であることが浮き彫りになりました。

労働基準法改正に関する意識レポート

労働基準法改正に関する意識レポート〜「組織への信頼」と 「働き方の自律性」の統合設計〜

労働基準法改正への対応が求められるなか、企業には制度変更への備えだけでなく、従業員が納得感を持って働ける環境づくりが求められています。本レポートでは、「組織への信頼」と「働き方の自律性」を軸に、これからの労務管理・働き方設計で押さえておきたいポイントを解説します。

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インサイト②:「目的なきテレワーク」の形骸化と、現場に漂う不公平感

参加企業12社中10社がすでにテレワークを導入・運用しているものの、その効果について半数の5社が「どちらとも言えない」「わからない」と回答しました。

コロナ禍において「出社制限への対応」として急遽始まったテレワークは、社会環境が変化した現在、「なぜ今もこの制度を続けているのか」という根本的な目的や理念が見失われがちです。結果として、制度が単なる従業員の「既得権益(福利厚生)」と化してしまい、オフィス出社や現場対応が必須となる職種の社員との間で深刻な不公平感を生み出しているケースが散見されました。「何のためにテレワークを行うのか」という目的の再定義と、職種ごとのパフォーマンス変化の客観的な測定が急務となっています。

インサイト③:「猶予期間」を「実験期間」へ変えるマインドセット

法改正の本格施行まで「国の方針が固まるのを待つ(放置する)」というスタンスは、激変期において組織の対応力を低下させるリスクになります。

先進的な企業では、この猶予期間を「自社に合った働き方を模索するための実験期間」と捉え、すでに様々なトライアルを開始しています。自社の実態、すなわち「実労働時間」や「職職ごとの業務特性(工数)」を正しく把握できていなければ、そもそも新制度をどう設計すべきかの議論が空中戦になってしまいます。「まず現状を正確に測り、そのデータをもとに小規模な実験を繰り返す」という未来志向のマインドセットへの変革が共有されました。

2. 専門家が示す「攻めの労務」への転換ポイント

ディスカッションを受け、松井勇策氏からは、これからの時代に企業が生き残るための「労務・人事戦略のパラダイムシフト」について、以下の提言がなされました。

  • 「時間管理」から「価値管理」への切り分け
    労働基準法が求めている本質は、あくまで労働者の「健康管理(過重労働の防止)」です。一方で、人事評価において企業が見るべきは、時間ではなく「創出された付加価値」です。この二つを混同せず、健康管理のための客観的なデータ(勤怠)を担保した上で、成果や工数を可視化する仕組みを整えることが「攻めの労務」の第一歩となります。

  • 制度存続の判断には「エビデンス」が必要
    テレワークや裁量労働を「拡大すべきか、縮小すべきか」という議論において、経営層の主観や感情論での判断は組織に歪みを生みます。導入前後、あるいは職種ごとに「パフォーマンスがどのように変化したか」を具体的に測定したエビデンス(データ)を残し、それをもとに労使間で対話・合意していくプロセスが、これからの強い組織作りに求められます。

工数管理システムで作業時間を見える化

作業時間やプロジェクト別の工数を可視化し、集計・分析の手間を削減。工数データを活用して、原価管理やチームの生産性向上につなげたい方におすすめです。

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3. 総括:これからの組織に求められる統合データ基盤

本勉強会を通じて、参加企業が共通して至った結論は、これからの激変期を乗り越えるためには、単に打刻を行うだけのシステムではなく、「柔軟な働き方と、納得感のある評価を両立させるための統合的なデータ基盤」が不可欠であるということです。

具体的には、以下のデータの有機的な連携が、次世代の組織運営のコアとなります。

  1. 工数管理: 労働時間だけでなく「どの業務にどれだけの時間を投資したか」を可視化し、リモート環境下でも隠れた貢献や業務負荷の偏りをすくい上げる。

  2. 労務管理: 勤怠データや、育児・介護といった社員個人のライフステージ属性を把握し、個に応じた柔軟な制度設計を可能にする。

  3. タレントマネジメント: 人的資本データを一元管理し、「どのような働き方の人が、最も成果を出しているか」を科学的に特定する。

「勘と経験」に頼る人事から、確固たる「データ」に基づく人事へ。現在の猶予期間は、雇用政策の大きな変化をチャンスに変え、法改正への十分な対応を行うことを可能にするものだと言えます。企業が基盤を整え、新しい時代の働き方へと舵を切る絶好のチャンスです。

円卓勉強会 事務局では、今後も各社の実例や最新の法改正動向を共有する場を提供し、企業の「働き方の変革」を本質的な組織成長へと繋げるサポートを続けてまいります。

工数・労務・タレントマネジメントを一元管理

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