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基礎知識

打刻と実労働時間が乖離したら違法? 乖離時間の原因と防止策を解説

著者:チームスピリット編集部

勤怠管理において、「タイムカードの打刻時間と、実際の労働時間にズレが生じている」といったトラブルがあります。給与計算や労基に関係するため、早急な対処が必要です。 今回は、タイムカードの打刻と実労働時間が乖離する原因と、防止策について解説します。

打刻時間と実労働が乖離する主な原因

タイムカードの打刻時間と実労働時間が乖離する原因を3つ解説します。

ケース1:従業員がタイムカードを不正打刻している

従業員がタイムカードを不正打刻している場合、当然ながら実労働と乖離が生じます。例えば、以下のケースが考えられます。

・打刻しないまま退勤し、残業中の同僚に打刻してもらう
・遅刻しそうなとき、同僚に頼んで打刻してもらう
・休日に打刻し、休日出勤したように見せかける

ほとんどの場合、欠勤・早退・遅刻などによる給与控除から逃れるため、もしくは残業や休日出勤による追加手当を得るために行われます。

また、手書きの場合、よりトラブルが起きやすくなるので注意しましょう。パソコンのログイン履歴や記録を修正する必要がないため、より手軽に不正できてしまいます。

なお、不正は必ずしも意図的に起こるわけではなく、「時間を誤って記入した」「記入すべき日付の欄がズレてしまった」などヒューマンエラーにより生じることもあります。意図的なのか単純なミスなのか把握しづらく、従業員同士の信頼関係に悪影響を及ぼすリスクもあるため注意しておきましょう。

ケース2:残業・早出の際に打刻しない文化が形成されている

残業・早出・休日出勤の際に打刻しない文化が形成されている企業では、タイムカード上の打刻と実労働に乖離が発生します。いわゆるサービス残業が常態化しているケースです。

よくある原因として、直属の上司や人事部から残業規制時間を守るよう厳しく言われていることが挙げられます。

残業を抑制し、従業員のワークライフバランスを守ることは重要です。しかし、業務量や人員数に見合った目標を設定しなければ、かえって現場にプレッシャーを与えてしまいます。結果的に、サービス残業や隠れ残業につながってしまうのです。

打刻時間と実労働の乖離は違法になるか

タイムカード上の打刻時間と実労働時間の間に乖離があっても、即刻違法となるわけではありません。ただし、著しい乖離が生じている場合は実態調査を実施することが求められています。

また、従業員の適正な自己申告を阻害する措置を行うことを企業側は禁止されています。例えば、「残業してもタイムカードを押すな」と命令している場合は、法令違反となる可能性があるのです。

それに伴い、未払いの残業手当が発生している場合も法令違反となります。労働基準監督署の監督指導に加え、罰金が科されるおそれもあります。

詳しくは、厚生労働省のガイドラインをご覧ください。

労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(厚生労働省)

打刻と実労働の乖離を防止する方法

ここからは、タイムカード上の打刻時間と実労働時間との乖離を防ぐ方法を解説します。

乖離時間の原因は必ずしも意図した行為とは限らないため、注意喚起のみでは不十分です。効果的に実労働との乖離を防止するのであれば、制度の見直しやシステムの活用がおすすめです。

残業・早出は事前申請制にする

残業・早出は事前申請制にすることで、時間外労働の制限につながります。上司の許可がない自発的な残業や不正申告を防げるため、人件費削減の効果も見込めます。

なお、緊急で残業を命じなくてはいけなくなった場合は、メール(もしくはチャットなど)での指示を証拠として残しておきましょう。

勤怠管理システムで打刻漏れを防ぐ

勤怠管理システムを導入し、打刻漏れを防ぐ方法もあります。

タイムカード上の打刻時間と実労働時間との間に乖離が生じる理由は意図的な不正だけとは限らず、ヒューマンエラーであることも多いです。特に手書きのタイムカードで勤怠管理をしている場合は、勤怠管理システムの導入でヒューマンエラーを改善できる可能性が高いでしょう。

アラート通知機能が充実している勤怠管理システムであれば、打刻漏れや未申請の残業も防げます。また、リモートワーク・フレックスタイム制度・中抜け・時間有給など豊富な勤怠制度に対応しているシステムもあります。導入を検討する際は、現状の課題や働き方に応じた機能があるかをチェックしておきましょう。

チームスピリット」は、勤怠管理・シフト管理・社員情報管理などを統合した働き方改革プラットフォームです。入力エラーを自動で検知するため、ヒューマンエラーの防止に役立ちます。また、残業オーバーや工数オーバーを事前に予測し、アラートを通知することが可能です。働き方の改善を目指す企業はぜひ導入をご検討ください。

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打刻時間と実労働の乖離が発生した場合は実態調査を行う

タイムカード上の打刻時間と実労働時間との間に乖離があると疑われる場合は、実態調査を実施しましょう。調査結果に応じて、所要の労働時間を補正します。

無意識や認識違いで起こる可能性も含めると、実態調査は数回程度では不十分です。可能な限り定期的に実施し、給与計算の適性化を図るのが望ましいです。

具体的には、下記に挙げる内容をチェックします。

・オフィス入退室に用いるセキュリティーキーの使用履歴
・パソコンのログイン履歴
・社内システムの使用履歴
・金庫の開閉記録
・取引先に送信したメール履歴
・従業員同士でやり取りした際のメールやチャットの履歴
・従業員やマネージャーへの聞き取り
・貸与しているタブレットやスマートフォンのアクティビティログ

そのほか、従業員やマネージャーへの聞き取りも有効です。「この日の残業は上司から指示したものですか」と確認したり、同じフロアで働いている別部署の従業員にヒアリングしたりしましょう。

残業・休日出勤の有無は、セキュリティーキーや社内システムのログイン履歴があれば、ひと目で確認できます。

もし管理者側が履歴をチェックできる体制が整っていない場合は、これを機に勤怠管理システムの導入を検討することをおすすめします。正確な勤怠管理が実現すれば、人件費削減や従業員のワークライフバランス向上につながります。

また、残業・休日出勤による従業員のストレスを軽減できるため、離職率が課題となっている企業においても効果を発揮するでしょう。

まとめ

タイムカード上の打刻時間と実労働時間が乖離していても、即刻違法となるわけではありません。自己申告との乖離が予想される場合は、早めに実態調査を実施し、所要の労働時間を補正しましょう。

ただし、適正な申告を阻害する措置を行った場合や、乖離が生じていることを把握しているものの誤った給与計算を続けた場合には、法令違反となる可能性があります。従業員からの信頼を損なうだけでなく、対外的な信用を失うおそれがあるため、適正な勤怠管理ができていない場合は対策を講じるのが急務です。

チームスピリット」の勤怠管理機能は、リモートワークやフレックスタイム制にも対応した柔軟な勤怠把握に役立ちます。アラート通知機能が充実しているため、打刻漏れや未申請残業の対処も可能です。働き方を改善したいとお考えの方は、ぜひ導入をご検討ください。