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タイムカードを電子化する方法|メリットや移行すべき企業の特徴

著者:チームスピリット編集部

「現在タイムカードによる勤怠管理を行っているが、電子化すべきなのではないかと迷っている」という企業担当者の方も多いのではないでしょうか。

タイムカードによる打刻は、非常に簡単かつ、打刻機器と用紙があればすぐに開始できることから、今も多くの職場で利用されています。

しかし、働き方改革による時間外労働(残業)の上限規制対策が後手になることや、リモートワーク(テレワーク)等の多様な働き方に対応できないことなど、タイムカード打刻の問題点が注目され始め、勤怠管理システムへ移行する企業も増えてきています。

とはいえ、打刻方法の変更は会社全体を巻き込んだ大がかりな作業になるため、「今すぐ自社でも導入すべきなのか」が分からず、判断に踏み切れない企業も多いでしょう。

そこで本記事では、タイムカードと勤怠管理システムによる打刻を比較し、それぞれのメリット・デメリットを解説していきます。

タイムカードを電子化するべき企業・そうでない企業が分かるので、ぜひ参考にしてみてください。

※そもそも勤怠管理システムとは何かを確認したい方は「勤怠管理システムとは?メリットや解決できる課題・必要性を解説」をご覧ください。

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タイムカードを電子化する=勤怠管理システムの導入

前提として「タイムカードを電子化する」ということは、基本的には勤怠管理システムを導入し、勤怠の記録や集計などをデジタル上で行うことを指します。

勤怠管理システムを利用すると、従業員が打刻したデータが自動でシステムに記録され、集計やグラフ化が簡単に行えます。

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打刻にはいくつかの方法があり、以下のような方法を採用する企業が多いです。

▼勤怠管理システムで採用できる打刻方法

ICカード

PCに接続したICカード読み取り端末に、ICカードをかざす

タイムレコーダー

打刻専用端末(タイムレコーダー)を利用して、パスワード入力やタイムカードの差し込みなどをする

Web打刻

PCやスマートフォンからWebブラウザにアクセスし、打刻ボタンを押す

QRコード打刻

事務所に設置したQRコードをスマートフォンで読み取る

チャット打刻

LINEやSlackなどのチャットアプリと連動し、チャットアプリから決められたメッセージを送信することで打刻する

PCログ打刻

パソコンをオンにした時刻を「始業時刻」、オフにした時刻を「終業時刻」として自動的に打刻する

生体認証

顔認証や指紋認証、静脈認証に対応した機器を設置し、生体認証を行う

※打刻方法はシステムによって異なります。

例えばICカードによる打刻を採用するのであれば、専用の端末を事業所に設置し、それに対応したICカードを機器にかざすだけで打刻が完了します。上記の画像のように、自動で出退勤時刻や休憩時刻、それらの合計時間などが記録されます。

その他にも、法改正に自動で対応したり、給与計算や経費精算などと連携させることができるため、管理が煩雑になってきた企業の多くが導入を進め、業務コストを大きく削減することに成功しています。

勤怠管理システムについて、さらに詳細を確認したい方は、以下の記事も参考にしてみてください。

勤怠管理システムとは?メリットや解決できる課題・必要性を解説 | チームスピリット

タイムカード打刻の問題点と、勤怠管理システム(電子化)で解決できる課題

まずは、タイムカード打刻にはどのような問題があるのかを、改めて確認していきましょう。

  1. 不正行為を行いやすい
  2. 打刻漏れが発生しやすい
  3. 集計に手間がかかる
  4. 保管に手間がかかる
  5. 月の途中での労働管理が難しい
  6. リモートワーク(テレワーク)等に対応できない

また同時に、勤怠管理システムを利用すると(電子化すると)これらの課題をどのように解決できるのか、といった点も解説していきます。

問題点1.不正行為を行いやすい

タイムカード打刻は、労働者・事業主ともに不正行為への不安がつきものです。紙のタイムカードは修正が容易にできるため、労働者からすると改ざんの不安があります。

また、事業主側から見ても、労働者が他の労働者のタイムカードを代わりに打刻したり、わざと打刻を遅らせたりといった不正行為に対する不安があります。

一方で勤怠管理システムを利用すると、以下のような打刻方法を利用できるため、不正をしづらいというメリットがあります。

  • 各社員のICカードやスマートフォンによる打刻(GPSを利用することもある)
  • 指紋や静脈を使用した生体認証による打刻

問題点2.打刻漏れが発生しやすい

労働時間の集計を行う際に、よくあるのが打刻漏れです。特に休憩開始や休憩終了時刻が打刻されていない場合が多いです。

打刻漏れがあったとしても、勝手に時刻を推測して修正してはいけないため、本人やその日職場にいた周りの方に聞いて確認しなければいけません。すると担当者や管理者の仕事が増えてしまい、集計に時間がかかってしまいます。

一方で、多くの勤怠管理システムには以下のようなメリットがあります。

  • 業務内容に合わせて、従業員が習慣化しやすい打刻方法を採用できる
  • 打刻漏れを検知すると自動でアラートを出してくれる
  • 従業員本人が打刻修正(打刻修正申請)できる

業務内容に合わせたさまざまな打刻方法を利用できるため、従業員が日々の打刻を習慣化しやすいというメリットがあります。例えば以下は、Slackを利用したWeb打刻のイメージです。

1.特定のメッセージを入力する

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2.送信すると打刻が完了する

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また、万が一打刻をし忘れた際にアラートを出す機能もあるため、打刻漏れが発生しづらくなります。

勤怠管理システムのさまざまな打刻方法に関しては、以下の記事も参考にしてみてください。

Web打刻ができる勤怠管理システムとは|機能やおすすめ6製品を紹介

問題点3.勤務状況の把握・集計に手間がかかる

タイムカードに記録されるのは原則、日にち・曜日・始業時刻・終業時刻・休憩開始時刻・休憩終了時刻です。

ただ労働時間を合計するだけでなく、割増賃金の支払いが必要な時間外労働(残業)や深夜労働の時間も把握する必要があるため、間違いのないように集計しなければいけません。前述の打刻漏れへの対応も必要なので、タイムカードでの勤怠管理は、集計に非常に手間がかかります。

しかし勤怠管理システムを利用すると、集計は基本的に1~2クリックで行えるため、業務時間を大幅に削減することができます。

例えば、以下は勤怠管理システムで日々の勤怠状況を確認している様子です。

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また、集計したデータをグラフ化し、チームや部門・部署単位など様々な切り口から分析することも可能です。自社の「今の働き方」がどのようなものかを直感的に把握し、課題にいち早く対応できるようになります。

問題点4.保管に手間がかかる

タイムカードは、表面が月の前半、裏面が月の後半用となっており、労働者1名につき1カ月で1枚使用するパターンがほとんどです。労働者が10名いる職場では1年で10名×12枚となり、保存期間である5年間分となると600枚になります(現在の保存期間は経過措置により当分の間3年間とされています)。

厚紙のタイムカード600枚の保管はもちろん場所も取りますし、後から見返す必要があるときに探すのも一苦労でしょう。

勤怠管理システムであれば、情報は全てシステムの中に保管されているので、管理が簡単ですし、後から必要な情報にアクセスしやすいというメリットもあります。

問題点5.月の途中での労働時間管理が難しい

タイムカードの場合、勤怠情報が自動集計されないので、月の残業上限を超えていたと後から気づくことも考えられます。月の途中での労働時間を把握するには集計作業をしなければならず、やはり手間がかかります。

※36協定の締結・届出をしたとしても、月の残業時間の上限は月45時間・年間360時間と定められています。

勤怠管理システムを利用すると、現時点での労働時間の集計結果を見える化し、リアルタイムで分析や管理が行えますさらに、「残業時間が一定の数値を超えている」という場合にアラートを出し、事前に働き過ぎを察知する、といったことも可能です。

問題点6.リモートワーク(テレワーク)等に対応できない

タイムカードは物理的な打刻となるので、リモートワークや在宅勤務に対応できません。そのため、リモートワーク等の対象者についてはタイムカード以外の方法で勤務状況を把握する必要があります。

メールやチャットツールで出退勤時刻等を報告する会社もありますが、この方法では担当者や管理者がタイムカードと連絡ツールの双方を確認して労働時間の集計を行うことになり、作業工数が増えます。

他にも、従来の勤怠管理方法でリモートワークを行おうとすると、以下のような問題が発生することがあります。

  • テレワーク中の中抜けに関する勤怠管理を適切に行えていなかったため、休憩と一時離席の線引きがうまくできず、従業員の間で不公平感が生まれてしまった
  • 勤怠関係の申請・承認がアナログだったため承認印をもらいに出社する必要があり、結局テレワークが活用されなかった
  • 勤怠状況管理のために電話での複数回の報告を課したことで、ハラスメントを指摘されてしまった(リモートハラスメント)

勤怠管理システムであれば、リモートワークに対応している製品も多く存在します。パソコンやスマートフォンから自分のシステムアカウントにログインし、出勤ボタン/退勤ボタンを押すだけで、打刻できます。SlackやChatwork(チャットワーク)などのチャットツールを利用して打刻できるシステムもあるので、自社の働き方に適したものを選んでみてください。

打刻例

詳細

ICカードによる打刻

社員証や交通系ICカードを用いて打刻できる

Webブラウザからの打刻

パソコンやスマートフォンから打刻ができる

チャットツールとの連携による打刻

職場で利用している「Slack」や「LINE」などのチャットツールを使って打刻ができる

パソコン起動時間の把握による打刻

パソコンの起動時間(ログ)を収集して勤怠情報を記録する

テレワークを行う企業には、特に勤怠管理システムへの移行がおすすめです。詳細はこちらの記事も参考にしてください。

テレワークの勤怠管理方法|よくある課題と解決策・管理のコツを解説

タイムカードを電子化するメリット・デメリットまとめ

以上を踏まえて、勤怠管理システムを利用するメリットをまとめました。

メリット

  • 労働時間の集計に関わる人的・時間的コストを削減できる
  • 保管コストを削減できる
  • リモートワークに対応できる

ただし、当然メリットだけではなく、以下のようなデメリットが生じることも理解しておかなくてはいけません。

デメリット

  • システム利用に費用が発生する
  • 操作や管理方法の変更を周知させる必要がある
  • インターネット回線が必要

自社ではメリット・デメリットのどちらが大きいかを考え、本当に勤怠管理システムを導入するべきかどうかを判断する際の参考にしてみてください。

勤怠管理システムには無料の試用期間が設定されているものも多いので、まずは気になるシステムを試してみて、従業員や担当者が使いこなせそうかを確認してみるのもおすすめです。

タイムカードから勤怠管理システムへ移行する費用・手順を確認

タイムカードから勤怠管理システムへ移行するには、導入コストがかかることをお伝えしました。ここでは目安として、どのくらいの費用が発生するのか、どんな手順で移行を行うのかを確認してみましょう。

勤怠管理システムにかかる費用

まず、費用は導入する勤怠管理システムによって異なります。あくまで目安ではありますが、一般的には以下の費用感を想定しておくと良いでしょう。

初期費用

0円~15万円程度

月額費用

300円/人程度~

主な機能

勤怠情報の記録
労働時間の集計
勤怠情報の出力
給与計算
WEB給与明細など

※製品によって大きく異なります

システムの導入や、打刻機器の購入に初期費用がかかる場合が多いです。また、一般的には利用人数によって月額料金が発生します。

当然、機能が豊富であればその分費用は高くなります。初めてシステムを導入する際は、まずはシンプルで料金の安いものから試してみることもおすすめです。

ただし、「今後規模が大きくなる可能性がある」「テレワークなどの多様な働き方を導入する可能性がある」といった場合は、料金よりも機能や拡張性などを重視する方が良いケースもあります。

企業規模別に、実際に勤怠管理システムにかかる費用を紹介するので、自社の規模や状況に照らし合わせて、どのくらい費用が発生するのかの参考にしてください。

▼中規模から大規模企業におすすめの勤怠管理システム費用例

チムスピ勤怠

キンタイミライ(旧バイバイ タイムカード)

CC-BizMate

TimePro-VG

freee人事労務

初期費用

150,000円

要見積もり

250,000円〜

要見積もり

0円

月額料金

1人あたり400円~

要見積もり

1人あたり10,000円(50ユーザーまで)

要見積もり

1人あたり800円~(6人以降)

こんな企業におすすめ

リモートワークやフレックスタイム制など、多様な就業規則を採用している企業

ホテル・旅館業、運輸・倉庫業など

カスタマイズしつつ月額料金は抑えたい企業

自社に合わせて勤怠管理システムを設計・構築したい企業

労務手続きを一元管理したい1,000名規模までの企業

※状況により異なる場合があるので、詳細は各システムの提供元にお問い合わせください。

▼小規模企業におすすめの勤怠管理システム費用例

KING OF TIME

ハーモス勤怠

ジョブカン
勤怠管理

ジンジャー勤怠

CLOUZA

マネーフォワード クラウド勤怠

初期費用

0円

0円

0円

要見積もり

0円

0円

月額料金

1人あたり300円

1人あたり100円(30人未満無料)

1人あたり200円

1人あたり300円

1人あたり200円

・1人あたり300円

・基本料金2,980円~

こんな企業におすすめ

打刻方法とAPI連携を重視したい企業

コストを抑えたい小規模の企業

コストを抑えたい1万名以下の企業

ジンジャーシリーズで一元管理したい企業

とにかくシンプルなシステムが良い企業

従量課金サービスを活用したい企業

※状況により異なる場合があるので、詳細は各システムの提供元にお問い合わせください。

システムによっては、初期費用が無料だったり、月額料金が安かったりとコストを抑えて導入することも可能です。しかし、低コストな勤怠管理システムはサービス内容に制限があることが多いため、以下の点を確認しておきましょう。

  • データの保存期間
  • 機能や利用人数の制限
  • サポート内容

特にデータの保存期間は要注意です。労働基準法によって勤怠情報の保存期間は5年とされています。データの保存期間が5年に満たないシステムの場合、ダウンロードや印刷などの方法で保存しなければいけません。

勤怠管理システムの費用対効果

費用に見合う効果が得られれば、システム導入にかかるコストを投資と捉えることもできます。実際に勤怠管理システムを導入し、費用対効果を実感した企業の例を見てみましょう。

株式会社ディスコでは、勤怠管理や経費精算の申請・承認が紙ベースで行われていたため、ミスの多さが課題でした。

そこで勤怠管理システムを導入したところ、外出先からもスマートフォンで入力できるようになり、効率がアップ。紙の回収や記入チェックの確認などにかかる労力が削減されました。

勤怠管理システム自体の導入も短期間で完了できたうえに、勤怠管理にかかる時間を大幅に短縮できるようになったため、費用対効果があったと感じています。

採用アウトソーシングの最大手が語る、新たな"変化"への挑戦を支える TeamSpiritの機能性と安定性

一度導入したシステムをリプレース(変更)する際には大変な手間がかかるため、長期的な目線で製品を選ぶのがおすすめです。価格帯が異なる複数社に話を聞くなどして、慎重に検討しましょう。

初めて勤怠管理システムを導入する企業が確認すべきことは、この記事の最後に解説しています。

勤怠管理システムを導入するステップ

勤怠管理システムを導入する際は、次のようなステップを踏みます。

  1. 現在の労働時間の把握・集計にかかる作業時間を把握する
  2. 電子化にかけられる予算を考える
  3. システムに必要な機能を考え、それをもとに製品を選定する
  4. (可能であれば)トライアルで使ってみる
  5. 導入する製品が決定したら、従業員へ周知し使い方の説明などを行う
  6. 導入を開始する

ただし、タイムカードから勤怠管理システムへの変更(電子化)は義務ではない

ここまで見てきたように、勤怠管理システムへの移行にはメリットだけではなくデメリットも存在します。また、導入に費用や工数がかかるため、「全ての会社が電子化すべき」というわけではありません。

2019年4月の法改正により「客観的な記録による労働時間の把握」が義務化されましたが、その運用方法は電子化を義務付けるものではなく、タイムカードによる勤怠管理でも良いとされています。

2019年4月施行の労働安全衛生法および労働安全衛生規則の規定内容は、以下のとおりです。

労働安全衛生法

第六十六条の八の三 事業者は、第六十六条の八第一項又は前条第一項の規定による面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により、労働者(次条第一項に規定する者を除く。)の労働時間の状況を把握しなければならない。

引用:労働安全衛生法|e-GOV法令検索

労働安全衛生規則

(法第六十六条の八の三の厚生労働省令で定める方法等)

第五十二条の七の三 法第六十六条の八の三の厚生労働省令で定める方法は、タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法とする。

引用:労働安全衛生規則|e-GOV法令検索

勤怠システムの方が不正打刻や改ざん、打刻漏れ等に対応しており、客観的な記録の要件を満たしやすいです。しかし「タイムカードで勤怠管理が十分効率的に行えている」という企業は、今すぐ移行を検討しなくても良い場合が多いでしょう。例えば以下のような場合です。

  • 従業員数が少ない
  • 残業や深夜労働がほぼ発生しない
  • 打刻漏れが少ない
  • リモートワークをしていない
  • 職場にインターネット回線が用意されていない

タイムカードによる勤怠管理で問題なく運用できている職場では、勤怠管理システムを導入すると逆に作業が増えてしまう可能性があります。

タイムカード打刻の強みは、なんといっても「打刻方法が簡単」であることと「インターネット環境不要」という2点です。この強みと労働時間の集計作業の手間を天秤にかけ、電子化を判断すると良いでしょう。

タイムカードを勤怠管理システムへ移行した方が良い企業

以下のような企業であれば、タイムカードを勤怠管理システムへ移行するのがおすすめです。

  • 労働時間の集計に関する人的コストや時間的コストが負担になっている
  • 労働時間の集計作業が属人化している

タイムカード打刻で一番の課題は、やはり労働時間の集計作業にかかるコストでしょう。また、担当者しか作業工程を知らない状態だと、担当者の退職や異動時に対応できず、給与計算が通常に比べ遅れてしまうリスクもあります。

上記事項について思い当たる会社は、勤怠管理システムへ移行することで、業務効率を大幅に改善できる可能性があります。

なお「初めて勤怠管理システムを導入する」「従業員50人未満などの小規模で利用する予定」という場合は、打刻機能がメインとなっているシンプルな勤怠管理システムがおすすめです

一方で、「従業員50人以上の中~大規模で利用する予定」「今後規模が拡大したり、リモートワークを取り入れることで働き方が多様化していく可能性がある」という場合は、それらに対応できるシステムを選ぶ必要があります

それぞれに該当する勤怠管理システムの詳細を以下の記事にまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。

勤怠管理システム10選|比較表付きでおすすめ製品を紹介

タイムカードからシステムに移行する際は、ICカード打刻を利用するのがおすすめ

前述の通り、勤怠管理システムにはさまざまな打刻方法があります。「タイムカードから初めて勤怠管理システムへ移行する」という場合は、数ある打刻方法の中でも、まずはICカード打刻を利用するのがおすすめです。

ICカード打刻とは、例えば自社の社員証や交通系ICカードを、専用の機器にかざすだけで打刻ができるシステムです。ICカード内の従業員情報を読み込み、勤怠情報を記録することができます。

「タイムカードを差し込む」という方法から「カードをかざす」という方法に変わるだけなので、従業員の抵抗は少なく、またシステムに詳しくない方でも簡単に利用できます。

そのため、初めて勤怠管理システムを利用する企業(特にパソコンを使用しない企業)におすすめの打刻方法です。

項目

ICカード

タイムカード

打刻方法

ICカードを専用機器やICカード読み取り機にかざす

タイムカードを打刻機器に差し込む

使える種類

交通系ICカード、社員証、おサイフケータイ、ICカード型電子マネーなど

専用のタイムカード

労働時間の集計

自動集計される

別途エクセルなどでの集計作業が必要

リモートワーク対応

ICカード読み取り機を個人に貸与するなどで可能

不可

ランニングコスト

不要なものもある

タイムカード代

ICカード打刻に対応しているシステム・していないシステムがあるので、導入する際は打刻方法を確認してみてください。

ICカード打刻を導入する際は、システム選定に注意が必要

ICカード打刻を導入する際は、ICカードの規格や種類によって、選ぶべきシステムが異なる場合があるので注意が必要です。

次の順序で自社に必要なシステムの要件を考えてみましょう。

  1. 社員の保有率が高いICカードを調査する
  2. 打刻に使うICカードを決定する
  3. そのICカードに対応した打刻専用機器(もしくはソフトウェア)を購入する

まずICカードの規格は「FeliCa(フェリカ)」と「Mifare(マイフェア)」の2つに分けられるので、社員の保有率が高いのはどちらかを調査しましょう。

規格

FeliCa

  • 交通系ICカード
  • ICカード型電子マネー
  • おサイフケータイ など

Mifare

  • 社員証
  • タスポ など

その後、保有率が高いICカードに対応した機器・ソフトウェアを選んでいきます。

なお、使用するICカードは必ずしも1種類に限定する必要はありません。FeliCa対応であれば交通系ICカードやおサイフケータイなど複数の種類を利用できるため、どちらの規格を採用するかを中心に考えていくと良いでしょう。

ICカード打刻に個人の所有物(交通系ICカードやタスポなど)を利用する際は、セキュリティ面を重視し、個人情報が流出しないように運用する必要があります。

初めて勤怠管理システムを導入する企業は「自社に合うか」をよく確認しよう

これからシステムの導入を検討する場合に着目するポイントは以下2つです。

  1. 自社の就業規則や雇用形態に対応しているか
  2. 自社と似た業態・企業規模で多く活用されているか

ポイントを把握し、自社に適したシステム選びの検討材料にしてください。

ポイント1.自社の就業規則や雇用形態に対応しているか

「自社の就業規則や雇用形態に対応しているか」という基準も重要です。

例えば「就業規則で休憩は3回に分けて取得するとされているが、休憩の3回打刻に対応しているか」や、「フレックスタイム制の清算期間を3カ月にしているが、これに対応しているか」などの条件が挙げられます。

搭載されている機能は同じように見えても「どこまで柔軟にカスタマイズできるか」が製品によって異なるため、事前によく確認しておく必要があります。

費用だけでシステムを選ぶと、「自社独自のルールや働き方に対応できず、結局課題を解決できなかった」という事態に陥る可能性もあるため注意しましょう。

ポイント2.自社と似た業態・企業規模で多く活用されているか

事前に導入を検討しているシステムの導入企業例を調べ、自社と同じ業態や企業規模で活用されているかを確認することも大切なポイントです。

「同じような課題が解決されているか」「似たような条件で利用されているか」などを確認し、自社で利用するイメージがつくかを考えます。

例えば、タイムカードから勤怠システムへ移行し、成功した事例があるかを確認してみましょう。

タイムカードを電子化し業務を効率化した事例

紙のタイムカードから勤怠管理システムへ移行したことにより、業務を効率化できた大創株式会社(DAISO)の事例を紹介します。

同社は長時間労働が常態化しており、紙のタイムカードを使用していたため月締め時まで労働時間を把握できず、対応が後手になっていたことが課題でした。また「若手社員の離職を食い止めるため、社員の心身の健康を保つために」長時間労働の是正にも取り組む必要がありました。

そこで、勤怠管理システム「チームスピリット(現チムスピ勤怠)」を導入したところ、労働時間が「見える化」し、長時間労働の実態把握や削減への働きかけができるようになりました。結果的に従業員同士の働き方や意識改革に繋がっています。

また、手作業で行なっていた勤怠管理の集計や承認、エラーチェックなどがシステムに移行し、大幅な業務効率化が図れました。

製造業による長時間労働削減チャレンジが職場に起こしたプラスのスパイラル|チームスピリット

まとめ|タイムカード打刻のメリット・デメリットを正しく理解して、電子化を検討しよう

タイムカード打刻には、以下のようなデメリットがあります。

  • 不正行為を行いやすい
  • 打刻漏れが発生しやすい
  • 勤務状況の把握・集計に手間がかかる
  • 保管に手間がかかる
  • 月の途中での労働時間管理が難しい
  • リモートワーク等に対応できない

もし現在、これらの課題が原因で、勤怠管理がうまくいっていない(あるいは今後対応できなくなることが予想される)場合は、勤怠管理システムへの移行を考えてみてください。

初めてタイムカードからシステムに移行する際は、ICカード打刻を利用するのがおすすめです。

勤怠管理の基本を改めてチェックしてみませんか?

  • 勤怠管理の基本的なルールの理解や実務の知識が乏しく、不安がある
  • 勤怠管理の目的など基本的なことを知りたい
  • 勤怠管理を適切に実行する上で、自社の課題も把握しておきたい

このような人事労務担当者に向けて、「ゼロから始める勤怠管理」の資料を無料で配布しています。

人事労務担当者なら知っておきたい、適切な勤怠管理の必要性や労働時間の基本ルールについて解説していますので、これから適切な勤怠管理を導入・運用しようと考えている方は、ぜひ本資料をお役立てください。

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