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勤怠とは?意味や定義・管理すべき項目を具体的に解説

著者:チームスピリット編集部

  • 「勤怠(きんたい)という言葉の定義を改めて知りたい」
  • 「どこまでが勤怠に含まれるのかを理解したい」
  • 「自社は勤怠を正しく管理できているのかを確認したい」

勤怠という言葉は曖昧な使われ方をするので、このように改めて定義を確認したいという方も多いのではないのでしょうか。

勤怠(きんたい)とは一般的に、従業員の出退勤などの勤務状況を意味します

本来の意味は「働いている時間と働いていない時間」ですが、現在では、会社が従業員の勤務状況を把握したり管理したりするシーンで使われることがほとんどです。

ただし明確な定義があるわけではないので、本記事ではこの言葉がよく使用される「労働者の勤怠管理」という文脈において、どのような意味を持つのかを中心に解説していきます。

後半では、勤怠を管理する理由や必要性について、働き方改革関連法を絡めて分かりやすく解説するので、ぜひ参考にしてください。

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勤怠(きんたい)とは

「勤怠(きんたい)」とは、主に従業員の出退勤や休憩・休日などに関する「勤務状況」を指す言葉です

辞書には「仕事に励むことと怠けること」とあり、「勤(働いている時間)と怠(働いていない時間)」を表す言葉が語源です。

明確な定義はなく、文脈によって何を指すのかが異なることがありますが、一般的には労働者の勤務状況の総称(労働時間や残業時間・休憩時間・休暇など)を表すことが多いです。

一般的に「勤怠」の「怠」は、単に「働いていない」「仕事をしていない」という意味で使われています。

勤怠という言葉が使われる状況

「勤怠(きんたい)」という言葉は、以下のような状況でよく使われます。

例文

意味

勤怠を管理する

会社が、従業員の勤務状況(勤務時間や休憩、休日など)を管理する

勤怠を連絡する

従業員が、出勤時刻や遅刻・欠勤する旨などを連絡する

勤怠をつける

従業員が、自分が出勤した時刻や退勤した時刻を入力する

勤怠を切る

タイムレコーダーにタイムカードを入れて、出勤時刻や退勤時刻を記録する

勤務時間や休憩、欠勤、休暇などを管理するような文脈で使われるのが「勤怠(きんたい)」だと覚えておくと良いでしょう。

「勤務」や「出勤/退勤」との違い

主な意味

例文

「勤怠」

労働時間に関する実績
(労働時間や残業時間・休憩時間・休暇日など)

彼の仕事は、日々社員の勤怠管理を適切に行うことだ。

「勤務」

働いていること、仕事そのもの

彼は大手企業に勤務する会社員だ。

「出勤/退勤」

勤務を始めること/終えること

彼は9時に出勤し、19時に退勤した。

勤怠管理業務で必要となる10個の管理項目

最近では、勤怠という言葉は「勤怠管理(をする)」という文脈で用いられることが多いです。

そこで本章では、勤怠の管理について考える場合に重要な10個の項目について、それぞれの意味を解説します。

  1. 出勤時刻
  2. 退勤時刻
  3. 勤務時間
  4. 労働時間
  5. 出勤日数
  6. 残業時間(時間外労働の時間)
  7. 深夜労働時間
  8. 休日出勤の労働時間
  9. 有給休暇
  10. 欠勤

1.出勤時刻

業務を開始した時刻です。出社時刻(会社に着いた時刻)ではなく、実際に仕事を始めた時刻のことを指します。

2.退勤時刻

業務を終了した時刻です。退社時刻(会社を出た時刻)ではなく、仕事を終わらせた時刻を指します。

例えば、17時に業務を終えた後に、会社で仲間と同好会活動をして19時に退社した場合、退勤時刻は17時で退社時刻は19時となります。

3.勤務時間、4.労働時間

勤務時間とは一般的に、就業規則で定められた始業時刻から終業時刻までの時間のことです。

一方、労働時間というのは、勤務時間から休憩時間を差し引いた時間を指します。

例えば、

  • 始業:9時
  • 終業:17時
  • 休憩:1時間

このような場合は、勤務時間は8時間、労働時間は7時間となります。

5.出勤日数

出勤日数とは、従業員が業務のために出勤した日数のことです。

短時間勤務や半日勤務の場合でも、原則として出勤日数は1日として数えます。

企業によっては、半日勤務を0.5日として処理しているケースがあるかもしれません。しかしそうすると、有給休暇を付与するために必要な「年間出勤率」を算出する際に、不正確な数値になるなどの問題が起こり得ます。

そのため、短時間でも出勤した場合には、出勤日数を1日として数えるのが適切です。

6.残業時間(時間外労働の時間)

残業(時間外労働)とは、労働基準法で定められた法定労働時間(原則として1日8時間、1週40時間まで)を超えた労働のことです。

▼残業の例

  • 所定労働時間(会社が就業規則として定めた労働時間)が1日8時間の会社で10時間労働した場合、2時間が残業となる
  • 所定労働時間が1日7時間の会社で9時間労働した場合、8時間を超える1時間が残業となる
  • 所定労働時間が1日8時間の会社で月曜日から土曜日まで各日8時間労働した場合、週40時間を超えた土曜日の8時間が残業となる

▼残業にならない例

  • 所定労働時間が1日7時間の会社で8時間労働した(所定労働時間は超えているが、法定労働時間は超えていないため)
  • 所定労働時間が1日6時間の会社で月曜日から土曜日まで各日6時間労働した

残業が発生すると、その合計時間に応じて、割増賃金の支払いが必要になります。

支払い条件

割増賃金率

時間外手当

法定労働時間(1日8時間・1週40時間)を超えたとき

25%以上

時間外労働が1カ月60時間を超えたとき

50%以上

※2023年4月1日に行われた法改正の内容も反映しています(参考資料(PDF):厚生労働省)。

なお、法定労働時間内で残業が発生した場合は、賃金の割増は発生しません。

例えば、1週間の所定労働時間が30時間で、その週に34時間の労働(4時間の残業)をした場合、4時間分の残業に割増は発生せず、通常通り4時間分の給与の支払いを行います。

勤怠における「残業」の定義や企業が守らなければいけないことを、以下の記事にまとめています。より詳しく見たい方は参考にしてみてください。

残業時間とは|定義や法律・上限などの基礎知識を網羅的に解説

7.深夜労働時間

深夜労働時間とは、22時から翌朝5時までに行った労働時間です。深夜分の割増賃金が発生し、その割増賃金率は「基礎賃金の25%以上」と、労働基準法によって定められています。

支払い条件

割増賃金率

深夜手当

22時から5時までの勤務

25%以上

時間外労働と深夜労働が重なった場合の割増賃金率は、時間外労働の割増賃金率(25%以上)+深夜労働の割増賃金率(25%以上)=50%以上となります。

さらに、時間外労働が1カ月60時間を超えた場合に時間外労働と深夜労働が重なると、75%(50%+25%)以上となります。

このように、深夜労働と時間外労働や休日出勤の労働時間が重なると割増賃金率も加算されます。以下の記事では、深夜労働の手当計算方法をまとめています。深夜労働の手当計算について知りたい方はぜひご覧ください。

深夜残業の割増率とは?計算方法・手当の発生条件をわかりやすく

8.休日出勤の労働時間

休日出勤とは、労働義務がない休日に出勤することを指します。

休日出勤には、所定休日または法定休日の2種類があり、それぞれ賃金の割増率が異なります。

所定休日(法定外休日)は、会社が独自に労働者に与える休日のことです。

法定休日とは、使用者が必ず労働者に与えなければならない休日のことで、週1日または4週間を通じて4日以上の休日と定められています。

休日出勤した場合の割増賃金率は以下のように決められています。

割増賃金率

所定休日(法定外休日)に
出勤した場合

法定労働時間を超過した場合は、25%
法定労働時間内に収まる場合は、割増なし

法定休日に出勤した場合

35%

「月曜日から土曜日まで出勤したのに休日手当がついていない」と思われる方もよくいます。休日出勤になる例とならない例をそれぞれ見てみましょう。

▼休日出勤にならない例

休み

8時間勤務

8時間勤務

8時間勤務

8時間勤務

8時間勤務

1時間勤務

※前後3週間の休日は3日以内だったとする

上記の例では、週1日の休日が確保できているため、土曜日の労働は休日出勤に該当しません。しかし週の労働時間が41時間なので、週の法定労働時間を超えている1時間分について、時間外手当が必要です。

▼休日出勤になる例

3時間勤務

8時間勤務

8時間勤務

8時間勤務

8時間勤務

8時間勤務

1時間勤務

※前後3週間の休日は3日以内だったとする

必要な法定休日として定められている「週1日または4週間を通じて4日以上の休日」が確保できていないため、土曜日の労働が休日出勤に該当し、1時間分の休日手当が必要となります。そのほか、週の労働時間が休日労働を除いて43時間となり、法定労働時間を超えているため3時間分の時間外手当も必要です。

以下の記事では休日の種類や割増手当について詳しく説明しています。更に知りたい方は確認してみてください。

休日出勤の定義とは?休日の割増賃金の計算方法や割増が発生するケース・しないケースを解説

9.有給休暇

有給休暇とは、休暇中でも出勤した場合と同様に賃金が支払われる休暇です。正式には「年次有給休暇」といいます。有給休暇はアルバイト・パートといった雇用形態に関わらず、次の2つの要件に当てはまれば付与されます。

  • 雇入れ日から6か月以上の継続勤務
  • 出勤率が8割以上

付与日数は、毎日出勤する通常の労働者とそうでない労働者の場合に分けて労働基準法で定められています。

1.通常の労働者の場合

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2.通常の労働者と比べて労働日数や労働時間が短い労働者場合

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ほかにも、有給休暇に関する下記ルールがあります。

  • 有給休暇を請求できる期間は、付与日から2年間
  • 有給休暇を年10日以上付与した労働者に対して、付与日から1年以内に5日分を取得させなければいけない
  • 年次有給休暇管理簿を作成・保存しなければならない

これらのルールの詳細や企業が遵守すべきルールについて知りたい方は以下の記事を確認してみてください。

【社労士監修】有給休暇の管理・運用マニュアル|改正労働基準法対応

このように「勤怠管理」という文脈において、勤怠という言葉には労働時間だけではなく、有給休暇に関する情報も含まれます。

10.欠勤

欠勤については特に法律上の定義はありませんが、一般的には、従業員が自己都合で事前に申請することなく労働日に休みを取ることです。

欠勤は通常無給ですが、有給休暇が残っている場合には後日有給休暇への振り替えを行う、といった管理が必要になることもあります。

勤怠管理の対象となる職場や従業員とは

勤怠管理の対象となる職場は、下記事業を除くほぼすべて事業場です。。

労働時間等の規定適用が除外される事業

  • 土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽植、栽培、採取若しくは伐採の事業、農業
  • 動物の飼育、水産動植物の採捕もしくは養殖の事業、その他の畜産、養蚕又は水産の事業

農業や水産業・畜産業は、自然の影響が大きく不規則な労働のため、労働時間や休憩・休日の法律について勤怠管理の規定適用は除外されています。

勤怠管理の対象者となる従業員は、勤怠管理の対象となる職場に属している従業員です。正社員だけでなく、契約社員やアルバイト・パートも対象となるため、原則として全員の勤怠管理が必要だと認識しておくと良いでしょう。

ただし、一部の業務に就く従業員は適用除外とされています。

労働時間等の規定適用が除外される人

  • 監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
  • 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの

また、派遣社員については、雇用契約を結んでいる派遣元企業が勤怠管理の義務を負うとされています。ただし労働時間の管理は派遣先(就業先)の企業が行うため、派遣元・派遣先双方が情報共有し合いながら勤怠管理を行う必要があります。

勤怠管理の詳しい概要については、「勤怠管理とは?意味や必要性・管理内容を網羅的に説明」で解説しています。こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。

人事担当者が理解しておくべき勤怠関連の言葉の意味

勤怠において重要な項目について紹介しましたが、「法定」や「所定」など、何が違うのか戸惑われた方もいらっしゃるかもしれません。

本章では、そういった方や人事・総務担当者の方が知っておきたい勤怠関連で頻出の言葉の意味を解説します。

「法定」と「所定」の違い

「法定」は法律により定められた基準のことをいいます。「所定」は企業が就業規則や労使協定、労働条件通知書などで定めた基準のことをいいます。

意味

根拠

法定労働時間

1日8時間、週40時間

労働基準法第32条

所定労働時間

企業の定めによる

労使の合意

「休日」と「休暇」の違い

休日と休暇の違いを理解するにはまず、企業と従業員間で交わされている労働契約について知る必要があります。

企業に雇用されている従業員は、労働力を企業に提供し、企業は労働の対価として給与等を支払う労働契約を結んでいます。つまり、労働日は従業員に労働の義務が課されているということになります。

休日はこの労働の義務が無い日のことを指し、休暇は労働の義務があるものの免除されている日のことをいいます。

意味

根拠

休日

労働の義務が無い日

労働基準法第35条(法定休日)

企業が定めた休日(所定休日)

休暇

労働の義務が免除されている日

労働基準法第7条(裁判員休暇)

労働基準法第39条(年次有給休暇)

労働基準法第68条(生理休暇)

企業が定めた夏季休暇・年末年始休暇 など

「休日」は、労働の義務がありませんので、もし休日に労働させる場合には事前に「36(サブロク)協定」と呼ばれる労使協定の締結と提出をしなければなりません。また、法定休日に労働した場合は割増手当の支払も必要です。

「有給休暇」は、本来は労働の義務があったが、それが免除され出勤の必要がなくなった日のことを指します。そのため、休暇の取得は欠勤にならず、もちろん欠勤控除もされません。

「振替休日」と「代休」の違い

振替休日と代休は特に混同して使われることの多い言葉です。この言葉は法律上の言葉ではありませんが、厚生労働省の通達などによって取扱いが定められています。

振替休日と代休では、割増手当の支払いに違いが出てくるので、人事や勤怠の担当者は違いを正確に把握しておきましょう。

意味

割増手当の支払

振替休日

予め休日を労働日にし、労働日を休日に振り替えた日

休日労働の割増手当は不要

(法定労働時間を超えた場合は必要)

代休

休日労働を行った代償として、以後の労働日を休日とした日

休日労働の割増手当が必要

(8.休日出勤の労働時間の割増賃金率をご覧ください)

勤怠を正しく管理すべき理由

会社には勤怠について正しく理解し、管理することが求められます。

その理由を一言でお伝えすると「法律を守るため」となりますが、本章ではより深く、勤怠について正しく理解し管理すべき理由を解説していきます。

勤怠を正しく管理すべき理由

  1. 労働時間をもとに給与を計算するため
  2. 実際の労働時間・休憩時間を正確に把握するため
  3. 残業時間を調整するため
  4. 法定休日や有給休暇を適切に取得させるため

労働時間をもとに給与を計算するため

会社が勤怠管理を行う大きな理由は、適切な給与計算を行うためです。

労働者が実際に働いた時間をベースに賃金を計算するには、実労働時間を正確に把握しなければいけません。そのためには、出勤時刻や退勤時刻などについての知識が必要です。

また、時間外労働や深夜労働について正しく理解しておかなければ、割増賃金を正確に計算することもできません。

実際の労働時間・休憩時間を正確に把握するため

給与計算以外にも、実際に働いた時間を正確に把握しなければならない理由があります。なぜならば、法律によって「労働者が働ける時間」が決められているからです。

労働条件の最低基準を定めている「労働基準法」には、以下のような内容が定められています。

労働基準法の内容

  • 1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけない
  • 上記を超えて労働させる場合には「36協定」を締結しなければならない
  • 労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければならない

「36協定」を締結していない会社は上記の法定労働時間を超えた労働をさせてはいけません。また、労働時間に応じた休憩を与える必要があります。

この基準を満たすためにも、従業員の勤怠状況を適切に把握し、場合によっては労働環境の改善を検討しなければいけません。

36協定に関する詳細の内容を確認したい場合は、以下の記事もあわせて確認してみてください。

36協定とは?残業に関するルールや法律・企業の義務を簡単に解説

残業時間を調整するため

会社が勤怠を管理する3つ目の理由は、残業時間の調整をするためです。

36協定を締結していたとしても、時間外労働には上限時間が設けられています。そのため、従業員が「どの程度残業しているのか」を適切に把握して、上限を超えないよう調整する必要があります。

2019年4月(中小企業は2020年4月)施行の法改正により、時間外労働の上限は以下のように変更となりました。

時間外労働の上限

  • 原則として、月45時間・年360時間を超えてはいけない
  • 特別の事情がある場合も、月100時間、複数月平均80時間、年720時間を超えてはいけない
  • 原則である月45時間を超えることができるのは、年6カ月まで

上限時間に到達するのを防ぐには適切な勤怠管理が必須です。できれば「上限時間を超えてしまいそう」「月45時間を超えた月が多くなっている」などの問題に、いち早く気づける仕組みが必要となるでしょう。

また、上限に達することはなくても、時間外労働には割増賃金が発生するため、残業代削減のために調整する必要もあるでしょう。

従業員の心身の健康を保つためにも、勤怠管理で残業時間を適切に把握して、長時間労働を防止することが大切です。

法定休日や有給休暇を適切に取得させるため

勤怠を記録して「どのくらい働いたか」を把握するとともに、「どのくらい休んでいるか(ちゃんと休めているか)」も把握して、足りなければ適切な休暇を取らせる必要があります。

労働条件の最低基準を定めている「労働基準法」によると、以下のような休日の取得が義務付けられています。

法定休日

使用者(会社)は、労働者に対して少なくとも毎週1日の休日または4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならない

有給休暇

  • 労働者が6カ月間継続勤務し、その6カ月間の全労働日の8割以上出勤した場合、使用者(会社)は10日の有給休暇を与えなければならない
  • 6カ月の継続勤務以降は、継続勤務1年ごとに1日ずつ、継続勤務3年6カ月以降は2日ずつ増加した日数(最高20日)を与えなければならない
  • 年10日以上の有給休暇が付与される労働者(管理監督者を含む)に対して、有給休暇の日数のうち年5日分については、使用者が指定して取得させなければならない

これ以外に、就業規則によって定められた休日がある場合には、そのルールが守られているかどうかも把握する必要があるでしょう。

勤怠を適切に記録できていなければ、定められた休日をルール通りに取得できているか確認することが難しくなります。

そのため、適切な方法で勤怠を管理し、従業員それぞれの休日の取得状況をしっかり把握する必要があります。

「客観的な記録による労働時間の把握」は会社の義務となっている

2019年4月から労働安全衛生法が改正され、会社は従業員の労働時間を「客観的な記録」によって把握しなければならなくなりました。

すなわち、従業員の出退勤時刻を記録する「出勤簿」には、以下の項目を記載する必要があります。

  • 労働時間数
  • 休日労働時間数
  • 時間外労働時間数
  • 深夜労働時間数
  • 始業・終業時刻

出勤簿は前述で説明をした「勤怠管理の対象となる職場に属している従業員」が対象です。つまり、雇用形態に関係なく出勤簿への記録が義務付けられています。

このほかにも、欠勤日数や有給休暇の取得日数と残日数も給与計算や賃金台帳・有給休暇管理簿の調整で必要になる情報ですので、前半で解説した「勤怠管理業務で必要となる10個の管理項目」については、全て把握・記録しておいた方がよいでしょう。

また、労働時間を把握する方法にも注意が必要です。厚生労働省が公開している資料には、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置として、タイムカードなどの客観的な記録を取っておくよう、以下のように記載されています。

タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること

引用(PDF):労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン|厚生労働省

一方で、自己申告制により勤怠管理を行う場合には、実際の労働時間と合致しているかを確認するため、必要に応じて実態調査などを実施し、労働時間の補正をするよう求めています。

もし現在においても、従業員の勤怠を「自己申告制(第三者のチェックなし)」で管理している場合には、なるべく早く勤怠管理方法を見直す必要があるでしょう。

ちなみに従業員の労働時間に関する客観的な記録(出勤簿やタイムカードなど)は、労働基準法 第109条に明記されている通り、5年間の保存期間が定められています。

(記録の保存)

第百九条 使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃

金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない。

引用:労働基準法 | e-Gov法令検索

労働時間に関する客観的な記録(出勤簿やタイムカードなど)は、その他労働関係に関する重要な書類にあたります。

勤怠を正確に管理するなら勤怠管理システムがおすすめ

勤怠管理を行う方法は会社によってさまざまですが、現在では勤怠管理システムを利用することが一般的です。

勤怠管理システムとは、打刻をすることで以下のように勤怠が記録され、システムによって自動で計算・集計できるシステムです。

▼「勤怠管理システム」での勤怠管理の例

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Webブラウザやスマートフォンアプリ・ICレコーダーなど自社に適した方法で打刻することで、正確かつ効率的に勤怠管理を行えます。例えば、外出先でも手軽に打刻できる打刻種類には、スマートフォンから操作できる「アプリ打刻」があります。以下は操作画面のイメージです。

▼スマートフォンからのアプリ打刻の操作画面

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また、以下のようなダッシュボードにて勤怠情報の分析を行うことも可能です。これにより「残業時間は適切か」「有給の取得状況は問題ないか」などをリアルタイムで判断できるのです。

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このように法律を遵守しつつ、複雑な管理や計算も効率的に行えるため、勤怠管理システムは多くの企業で導入されています。

勤怠管理システムのメリット・デメリット

勤怠管理システムは正確な勤怠を記録できるほか、さまざまな打刻方法にも対応しています。勤怠管理システムを導入する際は、以下に挙げているメリットやデメリットについても確認しておきましょう。

メリット

デメリット

・リアルタイムで勤怠情報を把握できる

・法改正にも迅速に対応できる

・集計や管理に必要なコストを削減できる

・申請や給与計算などの他業務と連携できる

・不正打刻や打刻ミスを防止できる

・フレックスタイムやテレワークなど幅広い働き方に対応できる

・導入にコストがかかる

・システム選びを間違えると効率が下がる

・システムを浸透させるまでに時間がかかる


勤怠管理システムやおすすめの製品についてより詳しく知りたい方は、「勤怠管理システムとは?メリットや解決できる課題・必要性を解説」の記事も参考にしてみてください。

従来の方法(タイムレコーダーやエクセル)での勤怠管理はデメリットが大きい

勤怠管理システムが登場する以前は、以下のような方法で勤怠管理を行う企業も多くありました。

  • タイムレコーダーで日々の勤怠を記録し、月末にエクセル(Excel)を使って集計する
  • 従業員がエクセルの出勤簿に直接勤怠を記録し、月末にそれぞれのデータを集計する

▼エクセルでの勤怠管理の例

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現在でも同様の方法で勤怠管理を行っている企業もありますが、これらの方法では効率が悪かったり、ミスが発生したりするケースが多いので注意が必要です。

特に本記事で紹介した「残業時間」や「休日出勤の労働時間」「有給休暇の取得日数」などは、エクセルでは正確に管理できないことも多いです。

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エクセルを活用した勤怠管理はほとんど無料で行えるため「ごく少人数で活動している」といった企業にはおすすめできる方法です。

しかし、今後事業が拡大したり、従業員の働き方が多様化したりすると、エクセルでは管理し切れなくなってしまうこともあるでしょう。そのため将来を見越したうえで、必要であれば早いうちから勤怠管理システムへの切り替えを検討してみてください。

まとめ|勤怠を正しく理解し、把握と管理を徹底しよう

勤怠(きんたい)とは、従業員の出退勤などの勤務状況を意味する言葉です。

勤怠には以下のような項目が含まれており、それぞれの言葉の意味をしっかり理解することが重要です。

  • 出勤時刻
  • 退勤時刻
  • 勤務時間・労働時間
  • 出勤日数
  • 残業時間(時間外労働の時間)
  • 深夜労働時間
  • 有給休暇
  • 欠勤

「法定」と「所定」、「休日」と「休暇」、「振替休日」と「代休」など、一見似たように見える言葉の違いも人事・総務の担当者は理解しておくと良いでしょう。

会社が従業員の勤怠を管理する理由には、以下の4つがあります。

  • 労働時間をもとに給与を計算するため
  • 実際の労働時間・休憩時間を正確に把握するため
  • 残業時間を調整するため
  • 法定休日や有給休暇を適切に取得させるため

さらには、2019年4月に法改正があり、会社は従業員の労働時間を「客観的な記録」によって把握しなければならなくなりました。

これにより、次の項目を把握する必要があります。

  • 労働時間数
  • 休日労働時間数
  • 時間外労働時間数
  • 深夜労働時間数
  • 始業・終業時刻

このほかにも、賃金台帳や有給休暇管理簿の調整で必要な情報となりますので、勤怠に含まれることが多い項目で挙げた10個については正確に把握しておきましょう。

もし現在も「自己申告制(第三者のチェックなし)」で勤怠を管理している場合は、なるべく早く勤怠管理方法を見直しましょう。

勤怠管理の基本を改めてチェックしてみませんか?

  • 勤怠管理の基本的なルールの理解や実務の知識が乏しく、不安がある
  • 勤怠管理の目的など基本的なことを知りたい
  • 勤怠管理を適切に実行する上で、自社の課題も把握しておきたい

このような人事労務担当者に向けて、「ゼロから始める勤怠管理」の資料を無料で配布しています。

人事労務担当者なら知っておきたい、適切な勤怠管理の必要性や労働時間の基本ルールについて解説していますので、これから適切な勤怠管理を導入・運用しようと考えている方は、ぜひ本資料をお役立てください。

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