株式会社クレスコ
- 利用機能
- 勤怠管理, 工数管理, 電子稟議, レポート・ダッシュボード
- 業種
- IT・インターネット, システム開発
- 従業員規模
- 1000人以上
成果を最大化するためにフレックスタイム制を導入
株式会社 USEN-NEXT HOLDINGSと言えば、大阪有線放送社に始まり50年以上にわたり飲食店を中心に街にBGMの提供を行ってきた歴史を持つ、国内でもよく知られた企業だ。
旧USENグループと旧U-NEXTグループが一緒になって2017年12月に誕生した同社グループは、6つの事業セグメントから成る幅広い事業展開を行い、HOLDINGSを含めた18社もの企業から成るグループである。(2019年4月時点)
「この大きな企業再編に伴い刷新された企業ビジョンは、「必要とされる次へ。」
世の中が必要とするサービスを提供し、社会から期待され必要とされる企業グループであり続けるために、これまでの映像や音楽配信サービスに加え、IoT時代の店舗や事業所に不可欠なクラウドレジや電力・ガスなどのインフラ、集客支援に資するサービスなどを総合的に提供することで、新たな進化を遂げようとしている。
それにあたり、同社の宇野社長は「売上1兆円企業になる」「社長を100人生む」という高い目標を社員にメッセージした。
「現状と目標の間にはまだまだ距離があります。だからこそ、まず『どう働き、どういう人材が働く会社にすれば目標を達成できるか』を考え、働き方や働く意識を変えていくよう『Work Style Innovation』というコンセプトを打ち出しました」と語るのは、同社のコーポレート統括部People Activation部 Design課の山本氏だ
「Work Style Innovation」は【かっこよく、働こう。-Be innovative for results!- 】というコンセプトの基、全社員に伝えられ段階的に導入されたのは2018年6月から。ちょうど世間では「働き方改革」の必要性が叫ばれ、長時間労働の是正や有給休暇取得率の向上に向けたアプローチについての議論が盛んになっていた。だが、同社の議論はこれに与しない。どちらかと言うと、働き方改革というより意識改革の色合いが強い、と言えるだろう。
実際に行われた施策は大胆かつ多岐に渡る。
たとえば、同年7月に移転した目黒の本社オフィスはその好例だ。個室の会議室が一般的なオフィスに比べて圧倒的に少なく、その代わり、窓際などのスペースにソファーやローテーブルが設えられている。これには「ちょっと話そうか」とカジュアルに打ち合わせができるように、との意図が見えてくる。
そうしたコミュニケーションを活発にできる空間づくりに加え、フリーアドレスに切り替わったことで、社員同士が仕事の最中に自由に行き来したり、話しかけ合ったりしやすい雰囲気も生まれている。
さらに、経営統合によって"知らない社員"が増えたことを考慮し、定期的に「OFFICE de Birthday」という誕生日会や「HAPPY HOUR」も開催されるなど、ソフト(雰囲気や制度)とハード(ファシリティ)の両面から「会社が変化していることを肌で知ってもらう」よう取り組みが進められている。
ソフト面について、特に注目されるのがフレックスタイム制度の導入だろう。
「我々のフレックスタイム制度では、いわゆるコアタイムを設定していません。社長の宇野は、時間や場所を決められて働くように促される状況はナンセンスだ、と言い、成果を最大化するための働き方をそれぞれが考え行動してほしい、と導入にあたって社員に説明していました」と、山本氏。自由で気楽に働くことができる、と誤解されがちなフレックスタイム制度だが、「成果を最大化することが目的であり、そのための自己管理やマネジメントも必要。ただ自由で楽な制度ではありません、と周知するようにしています」と強調した。
そのために、メンバーは翌週の自分のスケジュールを計画し、マネジメント層に共有をするという運用ルールとなっている。自分の働く時間を自分で計画したり、それが適切なのかをマネジメントするために、社員にも、自分が今どのくらい働いているのか?自発的に把握するよう促しているそうだ。
だが、コーポレート統括部がするべきことはこうした啓蒙活動に限らない。
「それまではコーポレート統括部側で約1週間ごとに表計算ソフトなどを駆使して対象社員の勤務時間を集計し、『超過勤務になりそうな人』をリストアップして各マネジメント層に配信し、ケアするように伝えていました」と、山本氏は振り返る。加えて、「4000名以上の社員がいるうえ、グループ18社それぞれで勤務条件等に違いがあるため、この方法では私達に負荷がかかりすぎると問題視していました。「生産性高くかっこよく働こう」とメッセージしている側の私たちがこのような管理のための作業を行っていること自体もかっこよくないなと。また、1週間ごとの集計なので、超過勤務になったあとにそれに気づく、という懸念もありました」と、同氏。
自分たちが思い描くフレックスタイム制度を実現できるITソリューションの導入は喫緊の課題だった、というわけだ。
同社の選定基準は、タイムリーかつ手作業なしで労働時間の把握ができるシステム、ということだけではない。
営業や技術部門のスタッフが利用しやすい画面であるようスマホへの対応やアプリが提供されているか?グループ各社で様々な勤務体系がある中で、すべてに対応できるか?残労働時間を計算し超過が心配される水準になったらアラートを出すような仕組みがあるか?4月から施行される改正労基法に準拠しているか?といったポイントを満たしているだけでなく、「新しい制度や仕組みを短期間で導入していくスピードが求められる社内環境の中で、今後社内制度が変わったときや、新たな機能を求める声が出たらそれに対応できるか」といった点も、挙げられていたという。
こうした複数の選定基準のもとで比較検討され、パートナーとして選ばれたのが「TeamSpirit」だ。
実際に、すでに「TeamSpirit」を活用している社員達の反応は概ね良好、と山本氏。一般社員からは、画面や機能が見やすいし分かりやすいと評価されており、特に、アプリが使えることで「助かっている」との声が多いと言う。
他方、同社の大森氏は「マネジメント層からも『ダッシュボードとレポートは使いやすい』と好評です。ここで得られた情報を元に超過勤務等の問題が発生する前に先回りして部下のケアする、という例もあります。
私自身も超過勤務になってしまいそうな状態になった時、上司から『大丈夫?』『前半オーバーワーク気味だから後半で調整してね』と声を掛けてもらいました」と、活用の様子を聞かせてくれた。
こうしたマネジメント層からのコミュニケーションのあり方は、難しい部分もある。山本氏は、「繁忙期などの状況等を度外視して、とにかく残業ナシで早く帰るようにと促された社員が、『期限があるから』と退社打刻後にこっそり仕事をしている、という最悪の状況は絶対に避けなければならないことです」と指摘した上で、「だからこそ、マネジメント層に限らず、スタッフそれぞれ自分が今どのくらい働いているかきちんと把握できるように環境を整える必要がありました。各自のダッシュボードに超過勤務になりそうかどうか、すばやく把握できるよう設定をお願いしたのはそのためです」と述べた。
こうした働きかけが功を奏し、今では、超過勤務になりそうだと自分自身で気がついたタイミングでフレックスタイム制度の利点をうまく活用し、遅めの出社や早めの退社で調整することで、働く時間を自分自身でマネジメントする習慣が根付きつつあると言う。
株式会社 USEN-NEXT HOLDINGSの「Work Style Innovation」には、「かっこよく.働こう。」というシンプルながら力強いメッセージが込められている。ここからは、「成果を出すための働き方は自分で考えるもの。また、成果を出すには、見た目も働き方もかっこよくないと!」との意図も伝わってくる。
最後に山本氏は、「新しくスタートを切った私達の『変えたい!恐れずにどんどん変化を起こしていこう』という想いが表れているのがオフィス環境であり、フレックスタイム制度に代表される取り組みです。今後も新たな施策が出てくるでしょうし、それに合わせて『TeamSpirit』にも新たな開発が必要になるかもしれません。
私達はスピード感をもって、社員がかっこよく働ける環境づくりに取り組んでいきたいと考えています」とした。
グループ会社の経営管理など