
バルテス・ホールディングス株式会社
勤怠・工数の一元化で叶えた、業務負荷の軽減とホワイト企業認定の裏側。

事例ポイント
課題
- 社外からの打刻手段がなく、日次打刻が徹底できなかった
- 勤怠と工数管理の画面が分離されており、入力の手間やミスが頻発していた
- 管理者は、申請データを目視でチェックしており確認作業の負荷が大きかった
- 外部認定に必要なデータ集計を手作業で行なっており、手間がかかっていた
決め手
- 社外からも簡単に操作できる、豊富な打刻バリエーション
- 勤怠と工数を同一画面で入力できる使いやすいUI/UX
- 入力不備を自動で検知するエラーチェック機能
- 認定取得に必要なデータを可変性高く集計、抽出できる、柔軟なシステム
効果
- 現場側の打刻意識が高まり、打刻率は82%から99%へと大幅に向上
- 日次入力が徹底され、精緻なプロジェクト原価の算出が可能に
- 月次の締め作業にかかる時間が10時間短縮
- 手間をかけずに、ホワイト企業認定の最高位ランクを獲得
事例概要
機能 | 勤怠管理, 工数管理,経費精算,稟議,レポート・ダッシュボード |
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業種 | IT・インターネット |
従業員数 | 500~999人 |
ソフトウェアテストサービスを中心に事業を拡大し、従業員が急増し続けているバルテス・ホールディングス株式会社。同社では従業員増加に比例し、バックオフィス業務の負荷も増加し続けており、業務負荷軽減が大きな課題になっていた。2018年には翌年の上場を視野に入れたERPシステムの刷新検討に着手。これに伴い勤怠・工数管理システムも刷新されることになり、TeamSpiritが導入されている。TeamSpiritの導入よって勤怠・工数の入力や確認作業が容易になっただけでなく、働き方に対する現場従業員の自己管理意識も向上。月次の勤怠締めにかかる作業時間が10時間削減されるなど、バックオフィス業務の負担も大幅に軽減され、「人に依存しない労務管理」が可能になった。今後は生成AIの活用なども視野にいれ、人に依存しない労務管理の実現と従業員満足度の向上が目指されている。
従業員の急増と共に重くなっていったバックオフィス業務の負担
2004年4月にバルテス株式会社として創業し、ソフトウェアテストサービスを中心に事業展開している同社。「私たちは品質にコミットし、安心・安全なICT社会の実現に貢献します」「私たちはICT社会に貢献する人材を育成します」「私たちは多くの価値を創り、お客様と共に歓びを分かち合います」の企業理念を掲げ、ソフトウェアの「品質向上」をトータルサポートし続けている。2019年5月には東京証券取引所マザーズ(現在のグロース市場)へ上場。創業以来成長を続け、2024年3月期には売上高100億円を突破している。
事業拡大に伴い従業員数も急増し、2018年から上場までの1年間だけでも従業員数は1.3倍増して382名、さらに2024年12月末時点で約950名と2.5倍に急増している。「人員増加に比例してバックオフィス業務の負荷も増大し続けていました」と語るのは、情報システム部で副部長を務める溝端 俊之 氏。
情報システム部 副部長 溝端氏
受託開発を行う同社では、プロジェクト単位での原価算出や利益管理を行う必要があり、旧システムでの運用に大きな課題があったと溝端氏は語る。
「労務費がプロジェクト原価に直結する当社にとって、勤怠と工数を毎日入力してもらいプロジェクトの予実管理をリアルタイムに行う必要がありました。しかし、旧システムの工数管理は勤怠管理と分離されており、従業員は異なる画面で実績を入力しなければならず、入力作業に手間がかかっていました。さらに、現場管理者や総務部門は、各画面を行き来しながら実績を確認しており、負担が非常に大きかったです。また、入力を後回しにする従業員や、誤ったプロジェクトに工数実績を入力するといったミスも多発し、修正作業に時間がかかっていました。」
2018年には上場を視野に入れていたこともあり、内部統制の強化を目指して ERPシステムの刷新に着手。このタイミングで、上記問題の解決に向けた検討も開始されたのである。
「人に依存しない労務管理」を目指しTeamSpirit導入へ
2019年9月に 某ERPシステムの採用をきっかけに勤怠管理、工数管理システムのリプレイス検討が開始され、TeamSpiritの導入が決定する。
TeamSpiritの導入が決定した経緯と理由について、溝端氏は次のように語る。
「導入が決定したERPシステムではプロジェクト原価管理も行うことができます。しかし、この機能をうまく活用するためには、プロジェクト別の工数を入力するためのフロントエンドシステムを別途用意する必要がありました。そこで、ERPシステムのベンダーに相談したところ、 親和性が高く、データ連携の実績が豊富なTeamSpiritを勧められました。実際にTeamSpiritのデモ画面を確認したところ、ユーザーインターフェースが非常にわかりやすく、勤怠管理の画面から工数実績も入力でき、入力不備がある際には自動で検知してくれるエラーチェック機能も搭載されており、これなら旧システムのように、画面を行き来する手間もなくなり、入力不備もラクに確認できると感じました。またPCでできる操作はすべてスマートフォンでも行え、社外からも簡単に操作できると思い、採用を決めました」と溝端氏。
2021年1月には以下のように、ERPシステムとTeamSpiritを連携させたシステムを完成させている。
まずTeamsSpiritの画面で、勤怠データと工数データを入力。
工数データ入力に必要なプロジェクトコードは、ERPシステムのプロジェクト管理機能からTeamSpiritへインポートしている。TeamSpiritに入力された勤怠データは、ERP システムの人事給与機能に連携され、給与情報の作成に活用されている。さらに、そのデータはプロジェクト管理機能の仕訳データに反映されるという。
また、TeamSpiritで入力された交通費や経費のデータも同様に、仕訳データに反映され、それらのデータは最終的に財務会計や管理会計へとつながっているのだ
フロントシステムの一元化からユーザビリティが向上。正確な就労実績が得られ管理負担も大きく低減。
TeamSpiritを導入したことで、旧システムで抱えていた課題が解決されたという。溝端氏は、TeamSpirit導入後に得られた効果を次のように語る。
1つ目の効果は、現場従業員の打刻意識が向上したことだ。
「弊社4割ほどのエンジニアは客先勤務なのですが、旧システムはスマートフォンに対応していなかったため、社外からの打刻は帰社してからでないと行えませんでした。そのため、『月末にまとめて入力すればいい』と考える従業員も多く、日次での打刻が行われていませんでした。しかし、 TeamSpiritでは、PCと同様の操作をスマートフォンからもできるため、社外からの入力も簡単で、毎日きちんと入力するようになりました。また、現場管理者は部下の勤怠情報をリアルタイムに確認できるようになったため、『毎日打刻すること』をルールとして決めているプロジェクトチームもあり、打刻に対する現場側の意識が高まり、打刻率は82%から99%へと大幅に向上しています」と溝端氏。
溝端氏は続けて、「以前は、『なぜきちんと打刻をしてくれないのか』と感じる管理部門の方も多かったのですが、入力方法を改善し、入力の必要性をきちんと伝えることで、現場従業員の打刻意識は自然に高まっていくことがわかりました」と語る。
2つ目の効果は、工数の入力も容易になったことだ。
旧システムでは、勤怠と工数の画面が分かれており、画面を行き来する手間が発生していたが、TeamSpiritでは、勤怠と同じ画面に工数の入力画面がポップアップで表示されるため、その手間がなくなったという。さらに、入力も各プロジェクトにかかった時間をスライダーを使って簡単にできるようになり、入力負荷が大幅に軽減された。これらの工数実績は実労働時間に一致するように制御されているため、これまで月10件ほど発生していた工数実績と実労働時間の乖離も無くなり、乖離チェックにかかっていた10時間の工数も削減されたという。
加えて、プロジェクト項目は、各個人が関与するものだけが表示されるため、誤ったプロジェクトに実績を入力するミスもなくなった。
「このように、入力の手間が軽減され、日次入力が徹底されたことで、精緻なプロジェクト原価の算出ができるようになりました」溝端氏はいう。
3つ目の効果は、月次の締め作業の負荷が大幅に軽減されたことだ。
「旧システムでは、勤怠・工数実績に不備がないか現場管理職や総務部が目視で確認していました。しかし、TeamSpiritには入力不備を自動で検知してくれるエラーチェック機能が搭載されています。この機能により、申請者は入力ミスに気づき、事前に修正することができるため、不備がないデータが現場管理者や総務部に届きます。そのため、入念なチェックが不要になり、月次の勤怠締めにかかる作業時間が10時間短縮されました」と溝端氏。
4つ目の効果は、36協定違反のリスクを軽減できたことだ。
同社では、閾値を超えた残業超過者に対して、残業抑制の注意喚起メールが自動で送信されるようにしている。残業時間には30時間、40時間、45時間、60時間の4段階の閾値が設定されており、各閾値を超えるとそれぞれに対応したメールが自動送信される。このメールには、超過時間の通知に加え、違反基準や未然防止のための具体的な対策が明記されており、36協定管理の意識向上にもつながっているという。「以前は、該当者と上長に対して管理部門が個別に連絡を入れるという手間が発生していましたが、個別連絡が不要になり、管理部門の負担も軽減されています」と溝端氏。
常に進化し続けていることも評価、ホワイト企業認定取得にも貢献
このように同社ではTeamSpiritの活用によって、勤怠や工数の入力促進、実績の可視化による適正な業務運営への意識向上、さらに現場管理者や管理部門の負担軽減などを実現している。しかし、TeamSpiritには他にも優れた点があると溝端氏はいう。その1つに挙げられたのが、定期的なアップデートによって機能強化されていることだ。
「例えば、新型コロナウイルス感染症の拡大で在宅勤務が増えた際、当社では通信費と電気料金を補填するために『在宅勤務手当』の導入を検討していました。しかし、当初は在宅勤務かどうかを判別する仕組みがなく、どう実現すれば良いのかわかりませんでした。その際、TeamSpiritの定期アップデートにより『勤務場所』を選択できる機能が追加され、"いつ、誰が、どこで"勤務しているのかの把握が可能になり、在宅勤務手当を導入することができました。また、このような新機能は、無条件で適用されるのではなく、必要に応じて当社側で適用の有無を選択できるため、当社の方針に合わせて柔軟に運用ができています」と溝端氏。
また、同社は、一般財団法人日本次世代企業普及機構(ホワイト財団)のホワイト企業認定制度において、2023年と2024年に最高ランクのプラチナランクを取得している。この認定は、企業の働きやすさや従業員の満足度を評価するもので、同社が掲げる働き方改革の一環として非常に重要な意味を持っている。認定取得にもTeamSpiritが一定の役割を担っていたと、認定取得を担当している採用戦略部 マネージャーの鈴木 綾一 氏は次のように語る。
「当社では会社の健康診断の一環としてホワイト企業認定を受けていますが、審査基準の1つである「労働環境の改善」や「ワークライフバランスの充実」といった項目のエビデンスを提出する上で、 TeamSpiritは大きく貢献をしています。以前は、エビデンスを提出する際、残業時間や有給取得率などの必要なデータを手作業で集計し、確認していました。しかし、TeamSpiritには、各従業員の勤怠情報をリアルタイムに可視化できる機能が備わっているため、エビデンスの準備が非常にラクになりました。」
このように、TeamSpiritは同社の働き方改革や業務効率化に大きく貢献しており、実際に導入から数年が経過した現在も、その利便性を高く評価する。
「TeamSpiritをすでに4年使い続けてきましたが、このようなフロントエンドシステムは、ERPのようなバックエンドシステムとは異なり、ユーザーの要望に合わせて柔軟に変えてもいいと考えています。しかし社内からは『TeamSpiritのままが良い』という声が多く、ERPシステムのベンダーに相談した際にも、『今でもTeamSpiritにしかできない機能があり、依然としてお勧めできるのはTeamSpiritです』と、常にユーザーに寄り添いながら進化を続けているTeamSpiritは、継続して利用していきたいと考えています」と溝端氏は述べる。
今後は生成AIの活用も加速し「人に依存しないモデル」を強化
同社は2024年6月に新たな中期経営計画を発表し、その「新中期経営計画のビジョンとコンセプト」の中で、「バルテス品質」を業界へ波及させるビジネスモデルを構築することと、「人に依存しないビジネスモデル」を強化し拡大させることを掲げている。ソフトウェアテスト業界では人不足が深刻であり、エンジニアの取り合いが激しくなっていることから、このビジョンは一層重要になるだろう。
そのため、同社ではリファラル採用を強化している一方で、「生成AIの活用にも積極的に取り組んでいきたい」と溝端氏は語る。「労務管理の領域でも、『自動化と効率化』『データ分析と予測』『ユーザーサポート』といった点で、今後ますます生成AIとの関わりが深まっていくはずです」と溝端氏。
まず「自動化と効率化」に関しては、勤怠データの入力や集計、給与精算、労務関連の書類作成などが、生成AIで自動化・効率化されると述べ、これによって管理部門の負担をさらに軽減したいという。
「データ分析と予測」に関しては、 AIが過去の勤怠履歴や勤務時間の傾向を分析することで、離職の兆候を早期に発見し、従業員のモチベーション低下や過度な残業など、潜在的な問題を事前に把握する。その結果、管理者は迅速に対応策を講じ、離職を防ぐための先手の対応ができるのではないかと考える。
そして「ユーザーサポート」では、生成AIを活用したチャットボットなどで、現場従業員からの労務関連の問い合わせに迅速に対応したいという。24時間いつでも必要な情報を即座に得ることができ、管理部門のさらなる負担の軽減を目指すとともに、現場従業員の満足度向上にもつながると期待している。
「これらの促進によって、労務管理システムはより高度で効率的なものになり、企業の労務管理が一層強化されると期待しています」と溝端氏は述べ、さらに「できればユーザーにとって使いやすく今も進化を続けているTeamSpiritの中で実現したい」と続けた。
さらに、同社ではDX認定の取得を推進している。DX認定の取得有無は同社のコンペティションにおいて取引先から重視されるポイントだという。「DX認定の取得にも、DX化を推進しているエビデンスを示す必要があります。 TeamSpirit導入に寄って得られた、勤怠や工数実績の作業負荷軽減などをエビデンスとして活用しています」と、この認定取得においてもTeamSpiritが貢献していると溝端氏。
今後はこれらDX推進の取り組みをホームページ上にも公表し、認定取得に向けて、より力を入れていきたいという。
現場に満足することなく「人に依存しないビジネスモデル」をさらに強化し、日々挑戦を続ける同社。これからも変化を恐れず、革新を追求し続ける姿勢で、業界をリードしていくだろう。
勤怠・工数・経費精算などをクラウドで一元化

バルテス・ホールディングス株式会社
- 設立
- 2004年4月
- 事業内容
- ソフトウェアテスト、Web/モバイルアプリ開発、セキュリティサービス、オフショアテスト・開発
- URL
- https://www.valtes-hd.co.jp/
- 取材年月
- 2025年2月