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基礎知識

遅刻早退控除の給与計算は?控除できる理由や基本ルール・注意点などを解説

著者:チームスピリット編集部

従業員が遅刻や早退をした場合に、働かなかった分を給与から差し引く処理のことを、遅刻早退控除といいます。

  • 「遅刻や早退があった時の正しい給与計算方法を知りたい」
  • 「遅刻や早退をした場合の、控除に関するルールを把握したい」
  • 「働かなかった時間に応じて減給をしてもよいのだろうか?」

本記事では、このように従業員が遅刻や早退をした際の給与計算方法が分からず困っている方に向けて、正しい給与計算の方法を解説していきます。

法律違反にならないように控除を行う方法や、遅刻や早退を理由に「減給の制裁」をする方法について理解したい方は、ぜひ本記事を参考にしてください。

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遅刻早退控除とは

遅刻早退控除とは、遅刻や早退をした時間分を給与から控除(減額)することをいいます。欠勤控除とあわせて「勤怠控除」と呼ばれることもあります。

遅刻早退控除は、「働いていない時間」については給与を支払わなくて良いという考え方(ノーワーク・ノーペイの原則)が根底にあります。

詳しくは後述しますが、遅刻早退控除の計算方法は月の給与額から「1時間あたりの単価」を算出して、その単価に遅刻・早退した時間をかけて計算するのが原則となります。

一方で、遅刻・早退をしたからといって即時に罰金やペナルティを課すような方法は法律違反となることがあるため注意が必要です(業務に支障をきたすような常習性がある場合には懲戒処分の対象にできます)。

「遅刻早退控除」と「減給の制裁」の違い

遅刻早退控除と間違われやすいものに「減給の制裁(ペナルティー)」がありますが、この2つは全く異なるため注意が必要です。

遅刻早退控除

・働いていない時間の給料を控除する

・制裁(ペナルティー)の意味合いは無い

減給の制裁

・会社の規律を乱すような違反行為を罰するもの

・制裁(ペナルティー)に該当する

前述した通り、遅刻早退控除は、単に働いていない時間の給料を支払わないという性質のものです。制裁(ペナルティー)の意味合いはありません。

一方で「減給の制裁」は、懲戒処分のひとつで、制裁として賃金をカットすることをいいます。

例えば、特定の従業員に何度注意をしても遅刻・早退を繰り返している場合に、制裁として減給処分を行うことがあります。

減給の制裁は、以下のように労働基準法で上限が定められています。

(制裁規定の制限)

第九十一条 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。

※引用:労働基準法 | e-Gov法令検索

具体的には、

  • 1回の制裁に対して、平均賃金の1日分の半額までしか減給できない
  • 複数回あった場合も、総額が1回の賃金計算期間の賃金総額の10分の1までしか減給できない

と決められています。

また、減給の制裁を行う場合には、必ず就業規則にその旨を記載しなければなりません。

このように、遅刻早退控除と減給の制裁とは全く異なるものであると理解しておきましょう。

遅刻・早退分を控除できる(給与から差し引くことができる)根拠

遅刻や早退があった場合に、給与からその時間分を控除できる根拠について解説していきます。

これを理解しておけば、従業員から「なぜ給与が引かれているのか」と尋ねられた際にも、しっかりと説明できるようになります。

根拠1.ノーワーク・ノーペイの原則

「ノーワーク・ノーペイの原則」とは、従業員が労働しなかった分については、企業は賃金を支払わなくて良いという考え方をいいます。

そもそも賃金は従業員が労働した対価として与えるものなので、働いていない分まで支払う必要はありません。

例えば勤務時間が9時~18時の会社があったとします。この場合にAさんだけが毎日30分遅刻して、9時30分~18時の間しか働いていなかったとしたらどうでしょうか。その上、Aさんと他の従業員の給与月額が全く同じだったら、他の従業員から不満が出るのは当たり前のことですよね。

この例では、Aさんは9時始業のところ30分遅刻しているため、企業は労働していない30分については賃金を支払わなくて良いという考え方になります。

根拠2.法的根拠(民法624条など)

「ノーワーク・ノーペイの原則」の法的根拠となるのは、民法623条と624条とされています。

(雇用)
第六百二十三条 雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。

(報酬の支払時期)
第六百二十四条 労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない。

※引用:民法|e-Gov法令検索


これらの規定では、労働者(=従業員)は、使用者(=企業)と約束した労働を実際に提供した分について、報酬をもらう権利があるとされています。

つまり、ノーワーク・ノーペイの原則の「労働できなかった分については給与の支払いが必要ない」という考え方は、民法624条など複数の法律を解釈したものということになります。

確認しておきたい完全月給制・日給月給制・月給日給制の違い

ここで、給与形態について一度確認しておきましょう。給与形態によって遅刻早退控除にも違いがありますので、しっかり理解しておくことが大切です。

給与形態にはさまざまな種類がありますが、よく使われているのが、完全月給制・日給月給制・月給日給制の3つです。これらの言葉について法律上の定義はされておらず、本記事では一般的に使用されることの多い意味合いで説明しています。

給与形態

特徴

完全月給制

【遅刻早退控除はできない】

・1カ月単位で、賃金が完全に固定されている

・例:月給20万円なら欠勤・遅刻・早退しても20万円支給される

・欠勤・遅刻・早退があっても給与から一切控除されない

日給月給制※

【遅刻早退控除できる】

・日給が決まっていて、働いた日数分を月給として支給する

・労働日数が多い月は給料が増え、少ない月は給料が減る

・例:日給1万円の場合、労働日数が20日なら20万円、21日なら21万円支給される

・欠勤・遅刻・早退による賃金控除が可能

・月単位の手当(通勤手当や役職手当など)は日割控除される

月給日給制

【遅刻早退控除できる】

・基本月給が決まっているが、欠勤した場合にはその分の給与が減額される

・例:月給20万円の場合、欠勤がなければ20万円支給されるが、欠勤がある場合はその分が減額される

・欠勤・遅刻・早退給与による賃金控除が可能

・月単位の手当を日割控除するかどうかは会社によって異なる

※ハローワークなどの行政が使用する意味合いと異なります。詳細は以下のリンクよりご確認できます。

※参考:給与形態の違いを知っていますか?|厚生労働省大阪マザーズハローワーク


日給月給制と月給日給制は遅刻早退控除が可能ですが、完全月給制は遅刻早退控除ができないので注意しましょう。

遅刻・早退をした場合の給与計算の基本ルール5つ

ここからは、遅刻早退控除を行う場合の給与計算の基本ルールについて解説していきます。

遅刻早退した場合の給与計算の基本ルール

  • 遅刻早退分は「1分単位」で計算する(15分単位・30分単位はNG)
  • 遅刻早退分以上の控除・減給をしてはいけない
  • 減給の制裁を行うには就業規則への記載と周知が必要
  • 控除対象は「基本給のみ」が原則(諸手当も対象にする場合は就業規則に記載が必要)
  • 遅刻早退控除のルールを就業規則に明記し周知する

「法律にのっとって正しい運用をしたい!」という企業担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

ルール1.遅刻早退分は「1分単位」で計算する(15分単位・30分単位はNG)

遅刻早退した分を給与から控除する場合には、必ず「1分単位」で計算する必要があります。15分単位や30分単位に切り上げて計算するのはNGです。

なぜならば、ノーワーク・ノーペイの原則に基づいて控除できるのは「労働できなかった分」のみだからです。

万が一、切り上げて給与計算した場合は、労働基準法第24条と第37条の違反に該当する可能性があります。以下の罰金や罰則が科せられる可能性があるため、十分注意しなければなりません。

労働基準法第24条

30万円以下の罰金

労働基準法第37条

6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金

※参考:労働基準法 | e-Gov法令検索

例えば、9時から勤務開始の従業員が遅刻して9時17分から勤務を開始したとします。この場合、働かなかった時間は17分なので、17分に相当する給与を差し引くことは可能です。

この例において「遅刻早退は30分単位で切り上げだから」と、30分に相当する給与の控除を行うのは労働基準法や民法に違反する行為となるので注意しましょう。

このような処理を行うと、9時17分から9時30分までの13分間は労働をしているのに、その労働分の対価を払っていないことになってしまいます。

働いた分の賃金を正当に支払うために、必ず1分単位で計算することを徹底しましょう。

給与を1分単位で計算する方法や端数処理で起こりえるトラブルについては、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてみてください。

給与計算は1分単位で行わなければ違法か?計算方法や罰則を解説

ルール2.遅刻早退分以上の控除・減額をしてはいけない

15分や30分に切り上げることと同様に、実際に遅刻早退した分以上の控除や減額をしたり、ペナルティを課したりするのもNGです。

例えば、以下のような遅刻早退控除は避けましょう。

違法となる遅刻早退控除の例

  • 5分の遅刻を15分に切り上げて、15分の遅刻早退控除をする(前項の内容)
  • 「3回遅刻早退すると1日分の欠勤扱いになる」という罰則を設ける
  • 「5回遅刻早退すると有給休暇が1日減る」というペナルティを設ける

「遅刻早退した時間分だけ控除する」のが正解です。

ルール3.減給の制裁を行うには就業規則への記載と周知が必要

「3回遅刻で欠勤扱い」のような運用はNGですが、「口頭で何度注意しても遅刻する癖が直らない」のように従業員の勤務態度に問題がある場合には、懲戒処分として減給などの制裁を行うことが認められています。

厚生労働省のモデル就業規則の第68条では、「正当な理由なくしばしば欠勤、遅刻、早退をしたとき」は懲戒の事由に該当するとされています。

ただし、この制裁というのは「ノーワーク・ノーペイの原則」とは別のものなので、誤解しないようにしましょう。減給の制裁は、「働かなかった分を控除する」のではなく「従業員の勤務態度に問題があるので、制裁のために減給する」というものになります。

減給の制裁は労働基準法に準拠する方法で行わなければならないため、以下の3点に注意しましょう。

減給の制裁を行う場合の注意点

  • 1回の減給額が1日の平均賃金の半額以下であること
  • 減給額が賃金総額の10%以下であること
  • 就業規則に懲戒規定を設けて周知する必要がある(就業規則になければ減給措置はできない)

ルール4.控除対象は「基本給のみ」が原則(諸手当も対象にする場合は就業規則に記載が必要)

遅刻早退控除を行う場合に、基本給のみを計算対象にするのか、役職手当などの諸手当も対象にするのか、悩む方も多いのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、厚生労働省のモデル就業規則では、遅刻早退控除の対象は「基本給のみ」のケースが掲載されており、諸手当は対象としないのが原則となります。つまり、控除額を計算するときに、役職手当や資格手当・住宅手当・家族手当などは計算に入れないのが基本です。

例えば以下のような従業員の遅刻早退控除を考えてみます。

  • 基本給20万円
  • 役職手当10万円
  • 所定労働時間数168時間
  • 遅刻・早退が合計10時間

原則は基本給のみが計算の対象となるので、以下のように求められます。

控除額=20万円÷168時間×10時間分=11,904円(端数切り捨て)

ただし、諸手当を控除対象に含むことを就業規則に記載し周知している場合は、以下のように役職手当を含めて計算を行います。

控除額=(20万円+10万円)÷168時間×10時間分=17,857円(端数切り捨て)

このように、就業規則の内容によって遅刻早退控除額が異なる場合があるので注意が必要です。

ルール5.遅刻早退控除のルールを就業規則に明記し周知する

実は、労働基準法では遅刻・早退に関する控除について明確な定義が決められていません。そのため、企業が遅刻早退控除を行う場合には、企業ごとに就業規則でルールを明記・周知する必要があります。

具体的には、欠勤・遅刻・早退をあわせて「欠勤等の扱い」などとして、どのような計算式を用いて給与から控除するかを明確に定めておかなければいけません。

以下に厚生労働省のモデル就業規則の記載例を示すので、ぜひ参考にしてください。

(欠勤等の扱い)
第45条 欠勤、遅刻、早退及び私用外出については、基本給から当該日数又は時間分の賃金を控除する。

2 前項の場合、控除すべき賃金の1時間あたりの金額の計算は以下のとおりとする。
(1)月給の場合
 基本給÷1か月平均所定労働時間数
(2)日給の場合
 基本給÷1日の所定労働時間数

※引用:モデル就業規則|厚生労働省


就業規則に明記していないルールで遅刻早退控除を行うことはできませんので注意しましょう。

遅刻早退控除の計算式と計算方法

ここからは、遅刻早退控除を行う場合の計算式や計算方法について具体的に解説していきます。

遅刻早退控除額の計算式

遅刻早退控除額の計算式は、以下のようになります。

遅刻早退控除額=「月の給与額」÷「ひと月当たりの平均所定労働時間」×「 遅刻・早退した時間」


月の給与額とは、1カ月に支払う給与額のことです。

前述の通り、遅刻早退控除額の計算対象を「基本給のみ」とするか、役職手当などの諸手当も含めるかによって、月の給与額に含める内容が異なります。

例えば、基本給20万円+役職手当10万円で毎月30万円の給与を受け取っている従業員の場合、基本給のみを控除対象とするなら「月の給与額=20万円」ですが、役職手当も含む場合は「月の給与額=30万円」となります。

遅刻早退控除を行う場合の計算式は就業規則で定めた通りとなるので、就業規則に明確に記載するようにしましょう。

遅刻早退控除額の計算例

実際に遅刻早退控除額を計算する際の例を示すので、参考にしてみてください。

▼例

  • 基本給30万円
  • ひと月当たりの平均所定労働時間が160時間(8時間×20日)
  • 遅刻・早退の合計時間が5時間

このような従業員の遅刻早退控除額を算出する場合は、以下の計算式になります。

遅刻早退控除額=30万円÷160時間×5時間=9,375円

つまり、9,375円を給与から差し引くことができます。

遅刻早退控除についての注意点

ここからは、遅刻早退控除についての注意点を解説していきます。

注意点1.給与形態によっては控除できないケースがある

一般的な月給制や日給制の場合は遅刻早退控除が可能ですが、給与形態によっては遅刻早退控除ができないケースもあるので注意しましょう。

1-1.完全月給制

「完全月給制」は月の給与額が完全に固定額となる給与形態です。完全月給制の場合、遅刻・早退・欠勤があってもなくても給与は一定なので、働かなかった分を控除することはできません。

例えば、完全月給制で月額30万円を支給すると決めた場合、従業員が何回遅刻や早退をしても月額30万円を支払う必要があります。

1-2.歩合制の「歩合給」の部分

「歩合制」とは、従業員が生み出した成果に応じて給料が決まる給与形態のことをいいます。

完全に成果に応じて給料が決まる「完全歩合制」の他、固定給に加えて「歩合給」が加算されるパターンもあります。

歩合制の「歩合給」の部分は、労働時間ではなく成果や売上に応じて給与が決まるので、その部分を遅刻早退控除することはできません。

1-3.フレックスタイム制

フレックスタイム制とは、あらかじめ定められた総労働時間の範囲内で、従業員が始業時刻と終業時刻を自由に決められる制度です。

フレックスタイム制では、決められた総労働時間を満たしていれば、遅刻早退控除を行うことはできません。コアタイムがある場合も同様で、コアタイムに遅刻や早退があっても、総労働時間を満たしていれば控除はできません。

ただし、実労働時間が総労働時間を下回る場合には、当然ながら、不足している分を控除することが可能です。

遅刻早退を繰り返す従業員がいる場合に、フレックスタイム制の適用対象から除外することや、コアタイムを守らなかった場合のペナルティを設けることは可能です。

ただし、その旨をあらかじめ就業規則に明記しておく必要がある点だけ注意しましょう。

注意点2.遅刻早退控除をせずに別日の残業と相殺することは違法

遅刻早退した分を控除せずに、別の日に行った残業と相殺することはできません。

例えば、2時間遅刻した従業員がいた場合、別の日に行った2時間の残業と相殺して、残業時間を0時間とすることは法律違反に当たります。

残業(時間外労働)には、所定の割増賃金を上乗せして支払う必要があるため、遅刻早退控除と時間外労働の計算は明確に分けて処理しましょう。

なお、同日内の残業かつそれが法定労働時間内(8時間以内)であれば、同日内の遅刻と残業を相殺することは可能です。

例えば、9時~18時で勤務予定だった従業員が1時間遅刻し、10時~19時(1時間休憩)で勤務した場合は、残業ではなく通常の勤務を8時間行ったとして計算することができます。

注意点3.時短勤務の場合の扱いに気を付ける

時短勤務(短時間勤務)とは、1日の所定労働時間を短くして、原則6時間とする制度です。育児・介護などの事情がある場合に、勤務時間を短縮して働くことができます。

企業によっては、基本給は改定せずに、短縮した時間分(1日8時間を6時間勤務にした場合には2時間分)を「遅刻・早退扱い」にして給与計算を行うケースもあるでしょう。

この方法を取る場合には、以下のような点に注意してください。

  • 基本給は変わらないため、社会保険の月額変更届を提出できない
  • 遅刻・早退扱いにより人事評価などでマイナスとされないようにする必要がある

なお、時短勤務の場合も、ノーワーク・ノーペイの原則にのっとり、遅刻・早退した分の減額が以下のように可能です。

▼例:9時~16時の時短勤務の場合

30分遅刻して、9時30分に出社した場合

30分の遅刻控除

2時間早退して、14時に退社した場合

2時間の早退控除

1分単位で遅刻早退控除を行うには勤怠管理システムが便利

ここまで解説したように、遅刻早退控除を行う際には「ノーワーク・ノーペイの原則」に従い、働かなかった分だけを控除するのが原則となります。

しかしリモートワーク(テレワーク)が普及し、さまざまな勤務形態を取り入れている企業が多い現代では、従業員全員に対して毎日の勤務時間を適切に把握し、1分単位で厳密に遅刻早退時間を記録することは容易ではありません。

エクセルなどを使った勤怠管理では、管理者の負担が増えて生産性が低下したり、正しく給与計算を行えなかったりするケースも多いでしょう。

そのような場合は、勤怠管理システムの活用がおすすめです。

勤怠管理システムとは、従業員が始業時刻や終業時刻を打刻するだけで、自動で出勤・退勤・休憩・残業などを記録し集計してくれるシステムのことです。

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このシステムを使えば、遅刻や早退による労働時間の計算や集計も自動で行うことができます。

さらに、残業時間超過や有給休暇の取得日数不足などもシステムが検知して教えてくれるため、管理者の負担やミスが減り、法律を犯すリスクも抑えられます。

システムによっては遅刻早退の申請を行える機能もあり、遅刻早退を適切に管理するために活用できます。

勤怠管理システムの概要やメリット、注意点など詳しく知りたい方は、「勤怠管理システムとは?メリットや解決できる課題・必要性を解説」の記事もぜひご覧ください。

まとめ|遅刻早退控除のルールを理解し適切に計算しよう

遅刻早退控除とは、従業員が遅刻または早退した時間分を、給与から控除(減額)することをいいます。

遅刻早退控除は、働いていない分までは賃金を支払う必要がないという「ノーワーク・ノーペイの原則」の考え方が根拠となります。

企業が遅刻早退控除を行う際には、以下の基本ルールを参考にしてください。

遅刻早退控除の基本ルール

  • 遅刻早退分は「1分単位」で計算する(15分単位・30分単位はNG)
  • 遅刻早退分以上の控除・減額をしてはいけない
  • 減給の制裁を行うには就業規則への記載と周知が必要
  • 控除対象は「基本給のみ」が原則(諸手当も対象にする場合は就業規則に記載が必要)
  • 遅刻早退控除のルールを就業規則に明記し周知する

遅刻早退控除を行う場合の控除額の計算式は、以下の通りです。

遅刻早退控除額=
月の給与額÷ひと月当たりの平均所定労働時間×遅刻・早退した時間

月の給与額を「基本給のみ」とするのか手当を含むのかは、会社ごとに決めて、就業規則に明記しましょう。

遅刻早退控除を適切に行うためには、1分単位で遅刻や早退を管理する必要があります。手間をかけずに給与計算を行いたい方には、勤務時間を正確に管理できる勤怠管理システムの導入をおすすめします。

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