基礎知識

2025.11.19

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更新日

2025.11.26

【2025年最新版】過労死ラインとは?月80時間・100時間の残業が危険な理由

著者:チームスピリット編集部

過労死ラインとは?月80時間・100時間の残業が危険な理由と、企業・個人が取るべき対策を徹底解説します。

TeamSpiritです。

「過労死ライン」という言葉をご存じですか?

日本では、一定の残業時間を超えると健康リスクが急増する「過労死ライン」という考え方があります。

それは単なる“目安”ではなく、働く人の命と健康を守るための重要な基準です。

本記事では、この過労死ラインの定義や根拠、企業が果たすべき責任、そして労働者自身が知っておくべき注意点を整理します。

36協定の詳細についても、あわせてご確認ください。

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残業時間の上限規制をはじめとした、36協定の各種ルールに関して理解が曖昧であると、労働基準法に違反し各種罰則を被るリスクがあります。

正確な理解をするには、36協定の全体像や基礎知識を改めてしっかりと押さえ、45時間以外のルールも知っておくことが大切です。

そこで、「違反に該当する例」「提出前に確認したい届出の記載方法」などを資料にまとめました。是非お手元のマニュアルとして以下をご活用ください。

目次

1. 過労死ラインとは?

女性 会社員 疲労

「過労死ライン」とは、時間外・休日労働が月80時間を超える、または直近1か月で100時間を超えると、健康障害や過労死のリスクが著しく高まるとされる労働時間の目安です。

この数値は、厚生労働省の労災認定基準や医学的知見に基づいており、企業・働き手の双方が「働き方の危険信号」として認識すべき重要な指標です。

近年、仕事内容や勤務環境の多様化が進むなかで、長時間労働や過重な負荷による健康被害が社会課題として再び注目されています。

本記事では、「過労死ライン」の定義・背景・企業の対応策・個人が取るべき行動について、働き方改革や勤怠管理の観点から整理します。

参照:厚生労働省

2.過労死ラインの定義と「目安数値」

過労死ライン」とは、時間外・休日労働が月80時間を超える、または直近1か月で100時間を超えると、健康障害や過労死のリスクが著しく高まるとされる労働時間の目安です。

この数値は、厚生労働省の労災認定基準や医学的知見に基づいており、単なる「残業の多さ」ではなく、「疲労の蓄積」や「休息の欠如」といった状態を可視化するための“警告ライン”として位置づけられています。

たとえば、月20日勤務と仮定した場合、月80時間の残業は1日あたり約4時間。これは「毎日終電近くまで働いている」状態に近く、心身への影響は無視できません。

厚労省の基準では、以下のような水準が「業務と健康障害との関連性が強まる」目安とされています。

  • 発症直前1か月に おおむね100時間以上 の時間外・休日労働がある場合

  • 発症直前2〜6か月にわたり、平均して月80時間以上 の時間外・休日労働が継続していた場合 

また、月45時間を超える時間外労働が継続するだけでも、健康リスクが徐々に高まるとされています。

こうした数値は、労災認定のための基準であると同時に、企業や働き手が「働き方の危険信号」として活用すべき“共通言語”でもあります。

3. なぜ「月80時間」「月100時間」という数値が出てきたか

医学 パスポート

(1)医学・疫学的に見たリスク

長時間労働が続くと、睡眠時間・休息時間の確保が難しくなり、疲労が蓄積します。その疲労が、脳血管疾患(くも膜下出血・脳梗塞)や心疾患(心筋梗塞・狭心症)を誘発しうるという医学的知見があります。


さらに、休息が取れない状態(例えば勤務間インターバルが短い、休日取得がほとんどない等)も「業務‐発症関連性」を高める要因として指摘されています。

(2)制度・労災認定基準の視点

この数値は労災認定に用いられるものでもあります。

たとえば、厚生労働省の「脳・心臓疾患の業務起因性の認定基準」では、「時間外・休日労働が月45時間を超えて長く継続する場合」に、業務と発症の関連性が強まると記載があります。


そこから、より明確な目安(100時間・80時間)という数値が実務上「過労死ライン」として参照されるようになったとされています。

また、2019年9月に認定基準の見直しがなされ、時間外労働時間だけではなく、「負荷要因」として、作業環境・心理的ストレスなども併せて評価されるようになりました。

(3)“時間”だけでは測れない──2019年以降の基準改定と「負荷要因」の視点

2019年9月、厚生労働省は脳・心臓疾患の労災認定基準を見直し、時間外労働の長さだけでなく、業務に伴う“負荷要因”も評価対象に加えるようになりました。これは、働き方の実態が多様化する中で、「時間」だけでは測れないリスクがあることを制度として認めた大きな転換点です。

具体的には、以下のような要因が「負荷要因」として評価されます:

  • 業務の質的変化(突発的なトラブル対応、責任の増大など)

  • 作業環境の変化(人員不足、長距離通勤、深夜勤務の頻発など)

  • 心理的ストレス(パワハラ、顧客対応の過重、職場の人間関係など)

これにより、たとえ時間外労働が「月80時間」に満たなくても、業務内容や職場環境によっては、健康障害との関連性が強まると判断されるケースが増えています。

つまり、「過労死ライン」は単なる“時間のライン”ではなく、“負荷の総量”を測る複合的な指標へと進化しているのです。

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4. 企業・組織における意義と実務対応

企業 ビル

(1)リスク把握と早期対応

「月80時間程度」という数値は、企業側から見ると“黄色信号”と捉えることができます。

たとえ「月100時間」まで達していなかったとしても、月80時間近くの時間外・休日労働が続くと、従業員の心身に負荷が蓄積している可能性があります。


企業としては、勤怠データを月次・週次で可視化して、「時間外・休日労働が多い従業員/部署」を早期に特定し、対策を開始することが重要です。

(2)法令・制度対応の観点

例えば、36協定(時間外・休日労働の協定)により、法定時間外労働には上限が設定されています。企業は法令遵守として残業時間管理を行う必要があります。

また、時間外・休日労働の状況が「長時間・高頻度」な従業員については、産業医による面談指導・健康確保措置を講じる義務があります。

さらに、時間外労働の多さだけでなく、「休日の確保」「勤務間インターバル」「深夜・休日出勤の頻度」「心理的・物理的負荷の強度」といった要因も、企業の安全配慮義務および健康管理措置の観点から把握すべきです。

(3)組織として取り得る具体施策

  • 勤怠管理システムを導入し、「時間外・休日労働時間」や「連続勤務日数」「勤務間インターバル」などを可視化

  • 勤務間インターバル(たとえば終業から翌始業まで11時間以上)や休日取得促進を制度化

  • 定期的な産業医・保健師・メンタルヘルスチェック体制を確立し、異常値を検知次第面談+フォロー

  • 長時間労働が常態化している職種・プロセスをピックアップし、業務設計を見直す(タスク量の適正化・役割の明確化・業務の自動化・アウトソーシング活用)

  • 評価制度を「時間ではなく成果・アウトプット重視」に転換し、長時間を前提とする働き方文化から脱却

下表は、勤怠データを“目安ライン”として整理したものです。

項目

月あたり時間外・休日労働時間(目安)

企業がとるべき対応

レベル1:注意水準

約45時間超〜80時間未満

部署別にモニタリング強化、原因分析・改善計画開始

レベル2:リスク水準

月平均80時間以上、または直近1か月100時間近傍

直ちに健康影響検討、産業保健・人事・現場で対応検討

レベル3:高リスク/過労死ライン到達可能性

1か月あたりおおむね100時間以上、または数か月にわたり月80時間以上継続

即時プロセス停止または是正、組織構造リスク把握、労災可能性も視野に入れる

5. 働き手(個人)として知っておきたいポイント

自分の時間外・休日労働時間を定期的に確認することは、健康を守るうえで不可欠です。厚生労働省の労災認定基準では、発症直前1か月におおむね100時間以上、または2〜6か月平均で月80時間以上の時間外・休日労働が続く場合、脳・心臓疾患との関連性が強まるとされています。

この数値は「過労死ライン」と呼ばれ、重大な健康リスクの警告ラインです。

長時間労働が続いている状態を自覚することが重要です。例えば、毎日4時間以上の残業や休日出勤が常態化し、深夜帰宅や睡眠不足が続く場合、疲労の蓄積による健康障害の危険性が高まります。

また、厚労省は「勤務間インターバル制度」や「休日取得の促進」を働き方改革の一環として推奨しています。終業から翌始業まで十分な休息を確保し、休日は心身を切り替えることが、脳・心臓疾患の予防に有効です。

さらに、「時間をかければ評価される」という文化を見直し、成果や効率を重視する働き方への転換が求められています。これは、長時間労働を前提とする慣習から脱却し、健康と生産性を両立させるための重要な視点です。

最後に、体調や勤務状況に不安を感じた場合は、早めに上司や人事に自己申告することが、重大な健康リスクを未然に防ぐ鍵となります。企業には産業医面談や健康確保措置を講じる義務があるため、声を上げることは自分を守る第一歩です。

6. まとめ

「過労死ライン」という数値は、決して“誰か別の人の話”ではありません。月80時間、100時間といった数字が示すのは、単なる残業の多さではなく、「疲労の蓄積」「休息の欠如」「業務負荷の過剰」といった、働き方の質そのものに関わるリスクです。

企業にとっては、こうしたリスクを早期に可視化し、対策につなげる仕組みが不可欠です。たとえば、勤怠データをリアルタイムで把握し、時間外労働や勤務間インターバルの状況を部門別・個人別に分析できれば、問題の“兆し”を見逃さずに済みます。

そうした仕組みの一つとして、TeamSpiritの勤怠管理システムのようなツールを活用するのも一案です。

もちろん、ツールはあくまで手段のひとつ。

「働き方を見える化し、適切な手を打つ」ことが目的であり、その実現方法は組織ごとに異なって構いません。

ただ、もし「今のままで大丈夫か?」と少しでも感じているなら、まずは“見える化”から始めてみるのも良いかもしれません。

もちろん、どう進めるかはあなたの自由です。

でも、働き方を見える化することで、リスクを減らし、安心できる環境をつくる第一歩になります。今のままで本当に大丈夫か、一度立ち止まって考えてみませんか?

その次のステップとして、法定上限を定める36協定を確認し、時間外労働の管理を見直すことが、組織と働き手の健康を守る鍵になります。

36協定の記事はこちらからチェック

参考文献

厚生労働省. 「脳・心臓疾患の業務起因性の認定基準」
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000142808.html

https://www.mhlw.go.jp/content/000833810.pdf

厚生労働省.

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/karoushizero/index.html

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正確な理解をするには、36協定の全体像や基礎知識を改めてしっかりと押さえ、45時間以外のルールも知っておくことが大切です。

そこで、「違反に該当する例」「提出前に確認したい届出の記載方法」などを資料にまとめました。是非お手元のマニュアルとして以下をご活用ください。

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