Case

昔ながらの運用で現場が疲弊、香りの老舗を変えたクラウド統合の力!  

塩野香料株式会社のロゴ

社名

塩野香料株式会社

設立

1929年12月(創業 1808年)

従業員規模

事業内容

香料の製造・販売・輸出入、 化成品・飲食料品およびその諸原料の製造・販売、 医薬品・工業薬品その他化学製品の製造・販売

課題

・月次集計処理に半日以上の時間がかかっていた
・管理職は部下の勤怠情報を把握できず、毎月多数の問い合わせを受けていた
・手書き申請と現金手渡しの経費精算で、精算ミスが発生しやすい状況だった
・稟議が紙や口頭で処理されており、税務調査のたびに過去データを準備する手間が発生していた

決め手

・クラウド基盤上で完結する高速な処理環境
・リアルタイムに勤怠情報を可視化できるダッシュボード機能
・複雑な精算ルールにもカスタマイズなしで対応可能なシステムの柔軟性
・稟議情報を案件データと紐づけて管理できるSalesforce連携

効果

・月次集計処理にかかる時間が半日以上から1分に短縮
・法令違反を未然に防ぎ、コンプライアンス強化と現場主導の勤怠管理を実現
・経費精算のデジタル化が実現し、確認作業の負担軽減と精算ミスを解消
・稟議と関連情報が一元化され、税務調査の対応工数を削減

事例概要

機能

勤怠管理,経費精算,稟議

業種

製造・メーカー

従業員数

100〜499人

創業から200年以上の歴史を持ち、現在も香料製造の分野をリードし続けている塩野香料株式会社。同社では勤怠管理と経費精算の情報基盤として、2020年からTeamSpiritが活用されている。リアルタイムな勤怠情報を直感的に可視化できるダッシュボード機能を活用し従業員の働き方に対する意識を高め、現場主導のタイムマネジメントを実現。法令違反や36協定違反も未然に把握できるようにしている。また2024年からは稟議機能も活用し、社内ルールを盛り込んだ画面と承認ルートを実装することで、予算に対する意識の向上も実現。これらの取り組みによって、情報にもとづく経営の実現に向けた「土台」が確立されたとTeamSpiritは評価されている。

集計処理に時間がかかり、勤怠情報の可視化もできなかった旧システム

和漢薬や真珠などを扱う薬種問屋「塩野屋𠮷兵衛商店」として、1808年(文化5年)に創業した同社。1908年に主力事業を香料に転換し、1921年には日本初の国産エッセンス「扇印エッセンス」の開発・量産化に成功、その後も「扇ブランド」で食品香料や香粧品香料を中心とした製品・サービスを提供し続けてきた。確かな創香技術を有する研究開発、緻密な市場調査で生活者の嗜好と市場動向の先を読むマーケティング、そして顧客のニーズを知り尽くした営業の三位一体によって、香りで人々の生活をより豊かにするための挑戦を続けている。

老舗の香料メーカーである同社だが、バックオフィス業務に多くの課題を抱えていた。当時の状況について、コーポレート本部 人事部で課長を務める小林 政生氏は次のように振り返る。

人事部 課長 小林氏

「当時、オンプレミスのパッケージ製品で勤怠管理を行っていたのですが、月次集計の処理を実行するのに半日以上かかっており、その間は担当者の業務が止まってしまうという悩みがありました。また、従業員の勤怠情報を把握するには集計データをExcelに落とし、データを加工するなど、時間と手間がかかっていました。さらに管理職は月中に部下の勤怠情報を確認することもできず、部下の『残業時間や有給休暇の取得済み日数』など、毎月のように沢山の問い合わせを受けておりました。

経費精算に関しては、会計ソフトは利用していたものの、申請は手作業だったと振り返る。複写紙に記入した申請書を、請求書や領収書などの証憑と共に経理部門に提出していたのだ。経理部門は、精算のための現金を用意して申請者に手渡しており、精算ミスがないかの確認に負担をかかえていたという。

Salesforceと連動できることやカスタマイズの柔軟性を評価

このような問題を解決するため、2019年春に勤怠管理システムのリプレイスと経費精算システムの導入に向けた検討を開始。ここで挙げられた要件は大きく2点あったとコーポレート本部 経営管理部で課長を務める森川 清文 氏は次のように語る。

経営管理部 課長 森川氏

「一つはクラウドサービスであること。もう1一つは、当時SFAにSalesforceの導入が進められていたこともあり、その基盤とスムーズに連携できることでした。Salesforceの導入を決定した2月、勤怠管理・経費精算システムとしてTeamSpiritが紹介され、両サービスの導入に向けた取り組みが同時に進められることとなりました。」

TeamSpirit採用の決め手は、Salesforceとの高い親和性に加え、複雑な当社独自の規則・制度にも柔軟に対応できる点だったと社長室 DX推進Gr の枝木 由希子 氏はいう。

DX推進Gr 枝木氏

当社の就業規則や経費精算の規則には独自のものが多く、かなり複雑です。例えば遅刻に対する評価は点数制になっており、15分までなら1点、30分以内なら2点、2時間以内なら3点となっており、これらを加算して7点になると給与がカットされることになっています。以前はこの集計も手作業で行っていましたが、TeamSpiritではこれら複雑な計算を自動で行うことできました。」と枝木氏。

「実は経費精算システムに関しては他のパッケージ製品のベンダーからも提案を受けていたのですが、独自制度に対応させるとなると他の製品では個別カスタマイズが必要となり、もともとのパッケージ料金よりもカスタマイズ費用の方が高額になることがわかりました。一方でTeamSpiritは、システムの設定を変更するだけで対応できました」と小林氏。

勤怠情報の可視化でセルフマネジメントの考え方が浸透

2020年8月に経費精算システム、10月から勤怠管理システムの稼働を開始している同社。稼働開始によって、社用端末を持たない従業員は、各拠点に設置されたカードリーダーに社員証をかざすだけで打刻ができるICカード打刻、在宅勤務の場合にはPC打刻、外出が多い従業員にはスマートフォン打刻など、従業員の働き方に応じた打刻選択が可能になったという。

また、旧システムでは現場管理職が部下の勤怠情報を月中に確認することができず、毎月のように部下の勤怠情報に関する問い合わせが寄せられ、対応に追われていたという。

そんな課題を解決すべく、TeamSpiritのダッシュボード機能(リアルタイムに勤怠情報を可視化する機能)を活用し、現場管理職が部下の勤怠情報をいつでも確認できるように環境を整備。ダッシュボードは、セルフマネジメントのために各個人が利用する「個人用」、業務効率化やコスト管理のために管理職が利用する「部門用」、CSR(企業が社会的存在として果たすべき責任)のために管理部門が利用する「全社用」と3種類作成し運用している。

個人用ダッシュボードの画面(一部抜粋)

部門用ダッシュボードの画面(一部抜粋)

全社用ダッシュボードの画面(一部抜粋)

ダッシュボードに表示されるのは、残業時間、有給休暇を含む総労働時間、36協定抵触までの残り時間、有給休暇の取得日数、有給休暇の取得残日数、年次有給休暇取得の期限など。部門用・全社用のダッシュボードに表示される「有給取得義務未達成者の一覧」では、不足日数に応じて色を変えた表示が行われる。

また、残業時間は20時間と30時間の閾値で表示色を変えており、本人と上司が一目で状況を認識し、迅速な「打ち手」を考えられるようにしている。

なおこれらの閾値を超えた場合、本人と上司に警告メールが自動で送られるようになっている。さらに、残業推移、当月の残業時間予測なども可視化。36協定の残業時間も、全社員の残業時間予測アラートによって、抵触の可能性を早期に検知している。実に様々な機能が盛り込まれているといえるだろう。

「これらのダッシュボードは、TeamSpiritから提供されているテンプレート(勤怠管理、工数管理、経費精算など働き方の分析に必要な情報を収集・整理しやすいようチームスピリット社が無償で提供しているフォーマット)をベースに、当社独自の閾値でデータが表示されるように設定をしています。企業によって、観測したい値は異なるため、当社独自の閾値でカスタマイズできる、柔軟性の高さも評価しています」と枝木氏は語る。

テンプレート 一部抜粋

自分自身や部下の勤怠情報がリアルタイムに可視化できるようになったことで、現時点で問題が起きそうになっていないか、問題が起きそうであればどのように対処すべきか、判断しやすくなったという。当然ながら法令違反も未然に防ぎやすくなっており、マネジメントの業務効率化にも貢献している。

経費精算に関しても、以前は経費精算のために各拠点に現金を用意し、随時申請者に手渡しをしていた。申請額と手渡した金額に差異がないかの確認を毎月行なっていたという。TeamSpirit導入に合わせて、手渡しの制度を廃止し「月末締め/翌月10日払い」 というルールを新たに制定した。これにより現金の準備が不要になっただけでなく、申請額と支払い額の確認作業が必要なくなった。

また、申請者目線でもTeamSpiritは寄与しているという。以前は、交通費の申請をする際、乗車区間と金額を一つ一つ手書きし、経理部門へ提出していた。しかし、TeamSpiritでは乗車区間を入力するだけで、最適なルートと金額が自動で表示されるようになっており、ラクに交通費の申請ができるようになったという。

予算管理のデジタル化を目指し稟議機能の活用も開始

このような導入効果を受け、2024年5月には稟議機能の利用も始まっている。ここで目指されたのは「予算管理のデジタル化の推進」と、「不必要・不適切なコストが発生しない仕組みを構築」することだ。

当時の運用について、小林氏は次のように振り返る。

「以前は稟議も人手で処理されており、関係者と直接話をしながら、その場その場で稟議を通していました。例えば海外出張は、役員会マターであるため役員会で話をして承認を得る、ということが一般的でした。」

このような昔ながらの方法から脱却するため、稟議の種別や金額によってルールを定め、ルールにもとづいて承認ルートが自動判断される仕組みを作り上げたのだ。

まず注目したいのが、それぞれの稟議申請がSalesforceで管理されている「商談」や「ケース」、カスタムオブジェクトとして実装されている「プロジェクトコード」などと紐づけられていることだ。

例えば出張旅費の稟議を申請したい場合には、"どの商談"の"どのケース"に関するものなのか、"どのような行程"で出張するのか、"どのプロジェクトコード"を使うのか、といったことまで指定・入力し、上司の承認を得なければならない。また出張後の報告も、申請した稟議と紐付けることができ、稟議に関係するすべての情報をシームレスに管理できるようになったという。

稟議の明細画面を見れば、その稟議に関係する予算をすべて把握できます。そのため、申請された予算が本当に必要なものだったのか、後で検証することも容易になりました。そのため、税務調査が入った際にもこのようなエビデンスがすべて残っていたため、問題なく対処することができました」と森川氏は語る。予算カテゴリー別の申請件数などもダッシュボードで可視化されており、予算全体の傾向の把握や分析も行われているという。

さらに、利用者が社内ルールを守りやすいように工夫されていることも見逃せない。その1つ目が稟議申請画面の各項目タイトルに「インフォメーション」アイコンが追加されていることだ。アイコンにカーソルを合わせると、その項目がどのような意味を持っているのか、どのような社内ルールに基づいているのかが、ヘルプテキストとして表示されるようになっている。

2つ目が入力内容に問題がある場合、自動で問題がある箇所を指摘する機能も装備していることだ。例えば20万円以下の経費を稟議画面に入力した場合には、経費精算で処理できるため、20万円以下の申請には「稟議は不要」というメッセージが表示されるようになっている。

「このように社内ルールをシステムに実装することで、稟議に関する問い合わせが減少し、従業員の予算意識も高まっています」と森川氏。

情報にもとづく経営の実現に向けた『土台』を確立

同社では、すでにTeamSpiritを5年にわたって使い続けているが、ここまでのカスタマイズを社内で行えたTeamSpiritの使いやすさは、非常に高く評価されている。

「一部の作業は外部のパートナーにもお手伝いしていただいていますが、これらのカスタマイズはほぼ全て社内で実現できました。ほとんどのノウハウは、TeamSpiritのユーザー専用ポータルサイト『TS Circle( TeamSpiritの運用マニュアルやFAQ、便利な拡張ツールなどを提供している、お客様専用のポータルサイト)』に掲載されて簡単に入手できます。それでもわからないことはTeamSpiritのサポートチームに問い合わせていますが、わからないことがあって前に進めないといったことは、これまでありませんでした。」と枝木氏。

ただし、現時点の状態は完成形ではないとも枝木氏は言う。現在も稟議承認フローの見直しなど、改善が続けられている。まずはやってみて、問題があれば改善すればいい。TeamSpiritはこのような「アジャイル型」の進め方に、適しているのだといえるだろう。

さらに今後は、より多様な働き方に対応していくことや、今でも人手で行われている作業のシステム化・自動化を推進していくことが目指されているという。

「例えば2025年4月からは時間単位有給休暇の導入を予定しており、フレックス勤務の導入も検討しています」と小林氏。また人手作業のシステム化では、すでに駅探(乗り換え案内/時刻表/地図を中心とした行動支援サービス)との連携で実現している経路検索の結果の中から、従業員が適切な経路を選択しているのかのチェックを、AIなどで自動化することも考えていると述べる。

SalesforceとTeamSpiritの連動により、情報にもとづく経営の実現に向けた『土台』を確立できた同社。今後も従業員がより快適に働ける環境を整え続けるためにも、制度や仕組みを持続的に見直し、改善を重ね様々な取り組みを進めていきたいという。

※ 掲載内容は取材当時(2025年2月)のものです。

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香料の製造・販売・輸出入、 化成品・飲食料品およびその諸原料の製造・販売、 医薬品・工業薬品その他化学製品の製造・販売