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基礎知識

労使協定とは?主な種類と内容・届出の手順・違反の罰則など解説

著者:チームスピリット編集部

「労使協定とは?36協定との違いは何か」

「自社で締結が必要な労使協定の種類や届出手順がわからない」

「労使協定を結んでいるけれど、違反していないか心配」

このような疑問を抱いている企業担当者は多いのではないでしょうか。

労使協定とは、社内ルールを定めるために「使用者(企業)と労働者が交わす約束事」を指します。

自社の業務に適した働き方や労働条件を設定するためには、企業ごとに必要な労使協定がどれかを理解し、必要な労使協定を漏れなく締結して運用することが不可欠です。

そのためには、それぞれの労使協定の特徴や「どのようなケースで締結が必要なのか」などを把握する必要があります。必要な労使協定の締結や届出が行われていない場合、思わぬ違反につながる可能性があります。

本記事では、労使協定の意味や種類一覧、締結や届出の手順、違反の防止策まで詳しく解説します。労使協定を正しく把握したい方は、ぜひ最後までご覧ください。

【労働基準監督署もすんなり受理】
36協定届の様式と記入例までわかりやすく解説

36協定の正しい理解は、労働法令違反のリスク軽減や、労務トラブル回避、適切な労働管理の把握につながり、従業員の勤怠管理を正しく推進することにつながります。

チームスピリットでは、36協定を始めとした勤怠管理に必要な知識をわかりやすくまとめた「36協定の基礎知識」を無料でお届けしています。従業員の勤怠管理を担うご担当者さまは、ぜひ参考にしてみてください。

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労使協定とは「使用者と労働者間で交わす約束事」全般を指す言葉

まずは、労使協定とは何か、正しく理解していきましょう。

労使協定とは

労使協定とは、社内のルールを決めるために「使用者(企業)と労働者が交わす約束事」のことをいいます。約束事を書面にして両者が合意することで、公式な契約として成立します。

労使協定を締結することで、労働基準法などの労働法の原則の規制を修正し、罰則の適用を免れることができます。これを免罰的効力といいます。

よく知られている労使協定である「36(サブロク)協定」を例に説明してみましょう。原則の法定労働時間「1日8時間・1週40時間」を超えて働かせると、通常は労働基準法違反となります。

ただし、労使協定である「36協定」をあらかじめ締結し労基署に提出することで例外的に法定労働時間を超えて働かせることができます。

▼労使協定の一例

  • 時間外労働と休日労働に関する労使協定(36協定)
  • 貯蓄金管理に関する労使協定(社内預金制度の導入に必要)
  • 事業場外労働のみなし労働時間制に関する労使協定(みなし労働時間制の導入に必要)
  • 1カ月単位の変形労働時間制に関する労使協定(1カ月間の変形労働時間制の導入に必要)

企業によって必要な労使協定は異なるため、自分の会社では「どの労使協定」の締結が必要かをしっかり理解することが大切です。なお「どれを結ぶべきなのか」を判断するための労使協定の一覧は、後ほど詳しく解説します。

労使協定は「使用者側」と「労働者側」の間で結ぶ

労使協定は「会社の代表者(使用者)」と「労働者の代表者」が結びます。この「労働者の代表者」には、以下の2パターンがあります。

▼労使協定の当事者となる「労働者の代表者」

  • 労働組合がある場合:労働者の過半数で組織された労働組合
  • 労働組合がない場合:労働者の過半数が選んだ代表者

労働組合とは、労働条件の改善を目指して労働者がつくった団体で、労働者が2人以上集えば自由に結成が可能です。ただし、労働組合の人数が労働者の過半数に満たない場合は「労働者の過半数が選んだ代表者」が労使協定を締結します。

36協定は労使協定の1つ

「労使協定と36協定は違うの?」と疑問を抱く方もいるかもしれません。

36協定とは労使協定の1つです。正式名称は「時間外労働・休日労働に関する協定」で、労働基準法第36条に基づいているため「36(サブロク)協定」と呼ばれています。

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36協定を結ぶことで、法定労働時間「1日8時間・1週40時間」を超えた労働や休日労働をさせることが可能です。そのため、多くの企業で締結されている代表的な労使協定と言えます。

36協定は労使協定の1つであり、労使協定自体は複数存在することを知っておきましょう。

36協定の内容や仕組みを詳しく確認し、労使協定との違いを知りたい方は、36協定とは?残業のルールや上限規制・義務をわかりやすく解説」もあわせてご覧ください。

労使協定と労働協約・就業規則・労働契約の違い

労使協定と似ていて混同されがちな言葉に、「労働協約」「就業規則」「労働契約」があります。労使協定を正しく把握して必要な行動を取るためにも、それぞれの意味や違いを解説します。

なお、法令(および例外としての労使協定)、労働協約・就業規則・労働契約の効力の強さを並べると、法令(労使協定)>労働協約>就業規則>労働契約となります。

労使協定と労働協約との違い

労働協約とは「使用者と労働組合が行った約束事」を指します。「労働組合が締結相手である」のがポイントです。

労働基準法で定められた範囲内において、より良い労働条件を定めることが目的です。また、約束事は書面に作成し、双方の署名または記名押印がある場合に効力が発生します。

使用者と従業員との間で交わされる約束事という点は同じですが、「当事者」「適用対象者」「有効期間」が異なります。

労使協定

労働協約

当事者

使用者と従業員の過半数を占める労働組合または代表者

使用者と労働組合

内容

労働基準法の特例として許可される特定の労働条件や働き方に関する約束事

労働基準法の範囲内で、労働条件の改善に関する約束事

適用対象者

労働者全員

労働組合に加入している組合員のみ
※組合員数が4分の3以上の場合は非組合員にも適用される

有効期間

原則定めなし(労使協定によっては定めあり)

上限が3年と決められている

目的

労働基準法の範囲外の特殊な働き方や労働条件に対応するため

よりよい労働条件に改善するため

つまり、労働組合がない会社の場合、使用者と労働者で結ぶ約束事は「労使協定」と言えます。

労使協定と就業規則との違い

就業規則とは、労働条件や職場内の規律などを定めた社内ルールをまとめた書面を指します。常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則の作成と届出が必要です。従業員への周知義務があり、常に閲覧可能な状態にします。

労使協定との主な違いは「労働者との合意の有無」です。

労使協定が双方の合意が必要な約束事であるのに対し、就業規則は労働者との合意を必要としません。就業規則の届出や変更時には、従業員の過半数が所属する労働組合か、労働者代表の意見書を提出することが義務付けられています。その際、労働者の同意が必ずしも必要というわけではありません。仮に反対意見が記載された意見書を提出したとしても、就業規則自体は受理されるのです。

つまり、就業規則は一方的に使用者が作成・変更することが可能であり、労働者に一律に適用させることができます。ただし、労働基準法や労働協約に反する内容を含むことはできません。

労使協定と労働契約との違い

労働契約とは、個々の各労働者の労働条件を定めるために、労働契約法に基づいて、使用者と「個々の労働者」との間で結ばれる契約です。

「労働者が使用者に使用されて労働すること、使用者は労働に対して賃金を支払うこと」をお互いが合意することで成立します。口約束でも契約自体は有効ですが、使用者は労働条件を明記した「労働条件通知書」を労働者に交付することが義務付けられています(労働基準法第15条)。

労使協定と労働契約の主な違いを、以下にまとめました。

労使協定

労働契約

当事者

使用者と労働者の過半数代表または労働組合

使用者と「個々の労働者」

内容

労働基準法の特例として許可される特定の労働条件や働き方に関する約束事

労働者の労働条件を定める契約

適用対象者

労働者全員

労働契約を結んだ個々の労働者

目的

労働基準法の範囲外の特殊な働き方や労働条件に対応するため

使用者と個々の労働者間の労働条件を定めるため

労使協定が労働者全体に関わる労働条件を定める一方、労働契約は従業員個人の労働条件を定める点に違いがあります。

企業によって締結すべき労使協定は異なる

労使協定にはさまざまな種類があり、企業によって必要な労使協定は異なります。企業は自社の労働環境や法令をふまえて、「どの労使協定を締結すべき」かを把握して締結しなければなりません。

最適な労働条件および労働環境づくりは、従業員満足度や生産性の向上にもつながるため重要です。

必要な労使協定を締結しなかった場合には、労働基準法違反になることもあります。主な労使協定について正しく理解し、締結の必要性を判断する必要があります。

次の章で、主な労使協定について「どのようなものか」「どのような企業が結ぶべきか」など詳しく紹介するので、自社では締結すべきかどうかしっかり判断していきましょう。

主な10種類の労使協定の一覧【締結が必要か確認しよう】

労使協定にはさまざまな種類があります。ここでは、代表的な10種類の労使協定について、概要や締結すべき企業、労働基準監督署への届出の有無を紹介します。参考にしてみてください。

労使協定の種類

結ぶべき企業

届出

時間外労働・休日労働に関する労使協定(36協定)

法定労働時間外の残業・休日労働が発生する企業

必要

労働者の貯蓄金管理に関する協定

社内預金制度を導入する企業

必要

事業場外労働のみなし労働時間制に関する協定

事業場外での時間外労働が発生する企業(みなし残業を導入する企業)

必要

変形労働時間制に関する協定

1年・1カ月・1週間の単位で変形労働時間制を導入する企業

必要

専門業務型裁量労働制に関する協定

専門的な業務を行う労働者へ裁量労働制を導入する企業

必要

フレックスタイム制に関する協定

フレックスタイム制を導入する企業

必要

/不要

賃金の法定控除以外の控除に関する協定

賃金から法定控除(税金や社会保険料など)以外の賃金控除を行う企業

不要

一斉休憩の適用除外に関する協定

決まった休憩時間以外の休憩(交替休憩)を導入する企業

不要

年次有給休暇に関する協定

年次有給休暇に関して、以下のいずれかを導入する企業
・計画的付与
・時間単位での付与
・標準報酬日額で算出

不要

育児休業や介護休業などの適用対象外に関する協定

育児・介護休業などの適用対象者を限定する企業

不要

なお、ここでは主な労使協定として10種類紹介しましたが、業種や働き方に応じて他のな労使協定が必要な場合があります。状況に合わせて適切な労使協定を締結しましょう。

時間外労働・休日労働に関する協定(36協定)

法定労働時間「1日8時間、1週40時間」を超えて労働者に時間外労働(残業)や、休日労働をさせる場合に必要な労使協定(労働基準法第36条)です。

  • 結ぶべき企業:法定労働時間外の残業・休日労働が発生する企業
  • 労働基準監督署への届出:必要

また、36協定は届出をしなければ有効となりません。

労働者の貯蓄金管理に関する協定

企業が従業員の委託を受けて、お金を預かり貯蓄する「社内預金制度」の導入に必要な労使協定です(労働基準法第18条)。

  • 結ぶべき企業:社内預金制度を導入する企業
  • 労働基準監督署への届出:必要

こちらも36協定と同じく届出をすることで有効となります。

事業場外労働のみなし労働時間制に関する協定

事業場外での業務において、労働時間の管理が難しい場合に「みなし労働時間制」を取り入れる企業が結ぶべき労使協定です(労働基準法第38条の2)。

締結すると、労働者の実労働時間に関わらず、あらかじめ定められた時間を労働したものとみなす「みなし残業」を適用できます。

  • 結ぶべき企業:事業場外での時間外労働が発生する企業(みなし残業を導入する企業)
  • 労働基準監督署への届出:必要

変形労働時間制に関する協定

季節や業務量に応じて労働時間を柔軟に変更するための労使協定です。働き方が時期によって変わる場合や、繁忙期・閑散期がある事業の場合に役立ちます。下記の通り1年・1カ月・1週間単位の変形労働時間制があります。

  • 1年単位の変形労働時間制(労働基準法第32条の4)
  • 1カ月単位の変形労働時間制(労働基準法第32条の2)
  • 1週間単位の変形労働時間制(労働基準法第32条の5)

※1週間単位の変形労働時間制を導入できるのは、規模30人未満の小売業、旅館、料理・飲食店の事業に限られます。

上記の各期間において「平均週40時間以内」の範囲となるように労働時間を調整できます。

  • 結ぶべき企業:変形労働時間制を導入する企業
  • 労働基準監督署への届出:必要

専門業務型裁量労働制に関する協定

専門的な業務に従事する従業員において、実際の労働時間ではなく、あらかじめ定めた時間を労働したものとみなすことを認めるための労使協定です(労働基準法第38条の3)。

専門的な業務には、情報処理システムの分析・設計の業務や弁護士の業務、税理士の業務など、全19業務があります。全19業務を確認したい方は、「厚生労働省|専門業務型裁量労働制のページをご確認ください。

締結することで労働時間にとらわれず、効率的な働き方を実現できます。

  • 結ぶべき企業:専門的な業務を行う労働者へ裁量労働制を導入する企業
  • 労働基準監督署への届出:必要

フレックスタイム制に関する労使協定

始業と終業の時間を自分で決められる「フレックスタイム制」の導入に必要な労使協定です(労働基準法第32条の3)。

清算期間が1カ月未満には、労働基準監督署への届出は不要です。清算期間が1カ月を超える場合には、届出が必要となります。

  • 結ぶべき企業:フレックスタイム制を導入する企業
  • 労働基準監督署への届出:清算期間が1カ月未満の場合は不要、1カ月を超える場合は必要

賃金の法定控除以外の控除に関する協定

税金や社会保険料などの法定控除以外の項目を、賃金から控除する場合に必要な労使協定です(労働基準法第24条)。例えば、社員食堂の利用費や社内設備の利用費を控除するケースなどがあります。

通常は法令で定められたもの以外を控除できませんが、この労使協定を締結することで、賃金からそのような費用の控除が可能になります。

  • 結ぶべき企業:賃金から法定控除(税金や社会保険料など)以外の賃金控除を行う企業
  • 労働基準監督署への届出:不要

一斉休憩の適用除外に関する協定

休憩時間を一斉に付与する例外の休憩時間を認めるための労使協定です(労働基準法第34条)。原則として休憩時間は一斉に取る必要がありますが、締結すると休憩時間を柔軟に設定できます。

ただし、以下の業種は締結不要です。

運輸交通業、商業、金融広告業、映画、演劇業、通信業、保健衛生業、接客娯楽業、官公署

  • 結ぶべき企業:決まった休憩時間以外の休憩(交替休憩)を導入する企業
  • 労働基準監督署への届出:不要

年次有給休暇に関する協定

年次有給休暇のルールを定めるための労使協定です。以下のような制度を導入する企業は締結が必要です。

  • 年次有給休暇の計画的付与(労働基準法第39条6)年次有給休暇の付与日数のうち5日を除いた日数は、計画的に休暇取得日を割り振れる制度
  • 年次有給休暇の時間単位での付与(労働基準法第39条4)年次有給休暇は原則1日単位ですが、年5日の範囲内で時間単位の取得ができる制度
  • 年次有給休暇の賃金を標準報酬日額で算出する場合(労働基準法 第39条9)有給取得時の賃金を標準報酬日額で算出できる制度
  • 結ぶべき企業:年次有給休暇に関する上記の制度を導入する企業
  • 労働基準監督署への届出:不要

育児休業や介護休業などの適用対象外に関する協定

育児休業や介護休業などの対象者のうち、一部を対象外にする場合に必要な労使協定です(育児介護休業法第6条1項、第12条2項)。

  • 結ぶべき企業:育児・介護休業などの適用対象者を限定する企業
  • 労働基準監督署への届出:不要

労使協定の締結・届出・周知の流れ(36協定を例に解説)

ここからは、労使協定を締結して労働基準監督署に届出をし、周知するまでの流れを説明します。

ただし、労使協定によって書類の種類や書く内容、届出の有無、周知の必要性は異なります。今回は、36協定を締結・届出する場合を例に、簡単に解説していきます。

他の労使協定の締結・届出をする場合の手順や流れを理解するためにも参考にしてみてください。

※労使協定によって、締結後に周知する義務がある協定と、義務がない協定があります。ここでは周知義務がある場合の例を説明します。

手順1:締結する内容を議論してまとめる

労使協定の内容について、労働者側と交渉して締結する内容をまとめていきます。合意が得られたら、その内容を書面として作成します。

例えば36協定の場合、特別条項を結ぶのか、結ぶとしたら上限時間は何時間に設定するかなど、細かい内容を労使間で交渉して決めていきます。

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労使協定の書式や様式は特に定められていません。ただし36協定の場合は、労働基準監督署に届け出る場合の協定届が協定書を兼ねることができます。

社内での労使協定様式がない場合は、作成する労使協定の法律で検索して、それを参考に書面を作成して労使間で締結するのがおすすめです。

手順2:労働基準監督署に届出を行う

労使協定の中で「労働基準監督署への届出義務がある」場合には、用紙を記入して届出を行います。ただし、届出が必要ない労使協定を締結する場合には、この工程は必要ありません。

例えば、労使協定の中で「36協定」を結ぶ場合は、労働基準監督署への届出が必要となるため、記載して提出しましょう。

なお、労働基準監督署に提出する様式は以下より確認・ダウンロードできます。届出が必要な労使協定を締結する場合は、以下から様式を確認してみてください。

主要様式ダウンロードコーナー(労働基準法等関係主要様式)|厚生労働省

提出する労使協定ごとに、記載の注意点が定められているので、厚生労働省の解説をよく読んで記載し、提出しましょう。

また、持ち込みや郵送での提出は労働基準監督署までの交通費や時間といったコストがかかってしまうため、電子申請による届出がおすすめです。

電子申請は次の流れで行います。

  1. e-Gov電子申請アプリケーションをインストールする
  2. アプリケーションを立ち上げログインする
  3. 手続検索で、【必要な労使協定】を検索する
  4. 様式を選択して、必要事項を入力する
  5. 審査後、受付印が付与された控えが届く

持ち込み、郵送、電子申請のいずれにしても、4月前後は労働基準監督署が混み合うこともあります。その前後で届出を行う場合で、期限などがある協定の場合には、余裕をもって届け出ることをおすすめします。

手順3:必要があれば就業規則の反映と社内周知を行う

労使協定によっては、就業規則への反映と社内周知の義務があるケースがあります。例えば36協定は、締結・届出が完了したら、就業規則の記載を変更した上で従業員に周知する義務があります。

その他、以下に周知が必要な労使協定の例を掲載するので、参考にしてください。

▼周知が必要な労使協定など(17については、労働安全衛生法に基づく)

  1. 貯蓄金管理に関する協定(労働基準法第18条)
  2. 賃金控除に関する協定(労働基準法第24条)
  3. 1ヶ月単位の変形労働時間制に関する協定(労働基準法第32条の2)
  4. フレックスタイム制に関する協定(労働基準法第32条の3)
  5. 1年単位の変形労働時間制に関する協定(労働基準法第32条の4)
  6. 1週間単位の非定型的変形労働時間制に関する協定(労働基準法第32条の5)
  7. 一括休憩の適用除外に関する協定(労働基準法第34条)
  8. 時間外労働・休日労働に関する協定(労働基準法第36条)
  9. 月60時間超の時間外労働をさせた場合の代替休暇に関する協定(労働基準法第37条)
  10. 事業場外労働に関する協定(労働基準法第38条の2)
  11. 専門業務型裁量労働制に関する協定(労働基準法第38条の3)
  12. 年次有給休暇の計画的付与に関する協定(労働基準法第39条)
  13. 年次有給休暇取得日の賃金を健康保険の標準報酬日額で支払う制度に関する協定(労働基準法第39条)
  14. 時間単位の年次有給休暇に関する協定(労働基準法第39条)
  15. 企画業務型裁量労働制にかかる労使委員会の決議内容(労働基準法第38条の4)
  16. 寄宿舎に関する規定及び寄宿舎規則(労働基準法第95条等)
    ※寄宿舎に寄宿する労働者に対して、寄宿舎の見やすい場所に掲示するか、または備え付ける等の方法により周知する必要があります。
  17. 安全衛生委員会(安全委員会・衛生委員会)の議事の概要(労働安全衛生規則第23条)

※出典:36協定・就業規則は周知が必要です|⻑野労働局 労働基準監督署

上記を締結した後は、周知もセットで行いましょう。

労働基準法第106条により、就業規則の変更が必要な労使協定には周知義務があります。以下の方法で、全従業員が閲覧可能な方法で周知をしましょう。

▼就業規則・労使協定の周知方法

  • 掲示:作業場の入り口や休憩室など、従業員が頻繁に目にする場所へ36協定の内容を掲示する
  • 書面交付:36協定の内容をまとめた書面を全従業員に配布する
  • デジタルデータ:企業のイントラネットや磁気ディスク上などに36協定の内容を記録し、従業員がアクセスできる状態にする

※参考:36協定・就業規則は周知が必要です|⻑野労働局 労働基準監督署

※ただし、周知義務がない労使協定であっても、労使協定の内容を広く従業員に理解してもらうことは大切です。義務のありなしに関わらず、周知することをおすすめします。

労使協定に関する違反と罰則

労使協定を締結する際、注意すべきは法令違反です。「必要な労使協定を結んでいなかった」という締結前の違反もあれば、締結後に正しく運用ができずに違反してしまうケースもあります。

ここでは、36協定などを例に挙げながら、違反するケースと罰則の内容を解説します。

労使協定を結んでいないまま該当行為を行った

締結が必要な労使協定を締結しないまま該当行為を行った場合は、法令違反となります。

例えば36協定の場合、締結せずに「月45時間・年360時間」を超えて残業させたり休日労働をさせたりしてはいけません。労働基準法第32条もしくは労働基準法第35条違反の罰則として、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される恐れがあります(労働基準法119条1号)。

また、労使協定の有効期限がある場合、有効期限を過ぎると無効となります。よって有効期限を過ぎて該当行為をしていた場合も違反に該当するため注意が必要です。

労働基準監督署への届出をしなかった

労使協定の中には、締結後に労働基準監督署へ届出義務があるものと、締結すれば労働基準監督署への届出までは必要がないものがあります。

例えば、36協定の場合、労使間で締結したのち、労働基準監督署に届出を行って初めて効力を発揮します。届出義務があるのにこれを怠った場合には、30万円以下の罰金に処されます(労働基準法120条)。

労使協定を締結したら、届出義務があるかどうかをしっかり確認しましょう。

労使協定で定めたルールに違反した

労使協定を締結した後に、労使協定で定めたルールを守らなかった場合も違反です。

例えば36協定(特別条項なし)の場合、法定労働時間を超える時間数を、月45時間を超えない範囲で企業ごと・業務ごとに定めることができます。月30時間以内と定めて締結・届出を行った場合には、これを超えてはいけません(たとえ月45時間までであっても)。

労使間で定めた上限を超える労働をさせた場合には、第36条第4項(基は第32条)の規定に違反となり、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。

労使協定で締結した内容を、企業側も従業員側もしっかり理解しておき、そのルールから逸脱しないよう気をつけましょう。

周知が必要な労使協定の周知をしなかった

周知義務がある労使協定の締結後、従業員へ周知しなかった場合は違反になります(労働基準法106条1項)。違反が判明した場合、労働基準監督署による是正勧告の対象となります。改善されなかった場合は刑事罰の対象となり、30万円以下の罰金が科される可能性があります(労働基準法120条1号)。

例えば36協定は周知義務がある労使協定です。また、36協定を締結することで就業規則への反映が必要であり、就業規則にもまた周知義務があります。そのため、以下2つを必ず全労働者に周知しなければなりません。

  • 労使協定で結んだ内容を反映させた就業規則
  • 労使協定の内容

前章で解説した周知方法の通り、労働者全員が閲覧できる状態にします。口頭だけでの周知や、一部の従業員しか立ち入らない場所への掲示などは、周知したことになりませんので注意してください。

労使協定の違反を防ぐポイント

労使協定の違反は企業の社会的信用や従業員からの信頼を大きく損なう可能性があるため、避けなければなりません。

これまで解説した違反のケースをふまえて、違反を未然に防ぐポイントは次の通りです。

  • 自社で締結が必要な労使協定をきちんと把握する
  • 必要な労使協定を忘れずに締結し、必要に応じて届出も行う
  • 労使協定が必要になるような働かせ方を、労使協定締結前に行わせない
  • 自社が締結している(締結する)各労使協定の有効期間を把握・管理する
  • 就業規則と周知が必要な労使協定は周知を必ず行う
  • 勤怠管理を正しく行い、従業員の労働時間をリアルタイムで正確に把握する

まずは、自社に必要な労使協定を把握し締結しましょう。その際、届出の有無や有効期限、周知義務などを確認し、抜け漏れなく対応することが重要です。

今回紹介した労使協定は、代表的なものでありこれが全てではありません。業種や働き方によって必要な労使協定が異なるので注意が必要です。

また、労使協定の多くを遵守するためには従業員の労働時間を正確に把握することが欠かせません。例えば36協定では、残業時間や休日労働の時間が上限に達してしまわないよう、適切に管理することが重要となります。

そして、適切に労働時間を管理するためには、勤怠管理システムの活用がおすすめです。

労使協定違反を防ぐには勤怠管理システムの活用がおすすめ

勤怠管理システムとは、出退勤時に打刻することで労働者の勤務状況を記録し、リアルタイムに集計・出力ができるシステムをいいます。

▼勤怠管理システムで実現できること

  • 労働時間の入力・集計・分析ができる
  • リアルタイムで従業員の労働時間が把握ができる
  • 残業時間の上限が超えそうな場合はアラート機能で通知される

勤怠管理システムがあれば、従業員全員の労働時間の正確な記録と管理ができ、リアルタイムで残業時間や有給休暇取得状況などを把握できます。そのため、労使協定で締結した内容が正しく遵守できているか確認することが可能になります。

▼勤怠管理システムのダッシュボード画面の例

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ただし、勤怠管理システムといってもさまざまな打刻方法や機能のものがあるため、自社に合ったシステムを選ぶことが非常に大切です。

下記の記事では勤怠管理システムの違いや選び方について解説し、11のシステムについて「打刻方法」「機能」「初期費用」「月額料金」をまとめています。労使協定の違反を防ぐ手段として、勤怠管理システム導入を検討したい方は「勤怠管理システムのおすすめ11選を比較|規模別に機能や費用を解説」をぜひご覧ください。

まとめ|自社に必要な労使協定の把握と従業員の勤怠管理が違反防止に重要

労使協定とは、使用者(企業)と労働者が交わす約束事の全般を指します。今回は主な10種類の労使協定を紹介しました。

自社に必要な労使協定の締結は、従業員の労働条件の改善や効率のよい経営につながります。また、「労使協定なしではそのような働かせ方ができない」というものもあります。本記事で紹介した労使協定の一覧を確認し、自社で締結が必要なものが何かしっかり把握してください。

労使協定の違反は、罰則や企業の信用失墜につながるため、避けなければなりません。意図せぬ違反を防ぐために、締結や届出の必要性、内容、有効期限、周知義務などを確認しましょう。加えて従業員の正確な勤怠管理も違反防止に効果的です。

勤怠管理システムで勤怠状況を正しく把握して違反を防ぎ、よりよい労働環境を実現しましょう。

【労働基準監督署もすんなり受理】
36協定届の様式と記入例までわかりやすく解説

36協定の正しい理解は、労働法令違反のリスク軽減や、労務トラブル回避、適切な労働管理の把握につながり、従業員の勤怠管理を正しく推進することにつながります。

チームスピリットでは、36協定を始めとした勤怠管理に必要な知識をわかりやすくまとめた「36協定の基礎知識」を無料でお届けしています。従業員の勤怠管理を担うご担当者さまは、ぜひ参考にしてみてください。

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