人事配置を検討する中で適材適所の配置は重要です。個々の能力や資質が十分に発揮できる地位を与えることで、高いパフォーマンスの発揮が見込めます。また、限られた人的リソースで高い生産性を上げるうえでも適材適所は欠かせません。

今回は、ビジネスにおける適材適所の意味や効果、実現方法などを解説します。人材を有効活用するためにも、ぜひ参考にしてみてください。

適材適所とは

ビジネスシーンにおいての適材適所とは、従業員の経験やスキルを把握して、その性質を活かせるポジションに配置することを指します。具体的には、人材の以下の特徴を調査し、最適な人事配置を行うことが重要です。

■適材適所実現のために把握すべき人材の特徴

・得意分野、苦手分野
・経験やスキル
・資格
・価値観や目標 など

適材適所は、人的資源の最適化を実現するために必要とされる取り組みです。

近年では、少子高齢化による労働力不足に伴う人材確保が困難になっています。また、働き方の多様性も重視されているため、人事配置の重要性が一層高まっています。

適材適所で見込める3つの効果

適材適所によって見込める代表的な効果は、次の3つです。

1.生産性の向上
2.社員の離職防止
3.人件費の削減
この項目では、順番に解説していきます。

1.生産性の向上

従業員は、自分の得意な業務や適性の高い仕事に従事できます。作業が捗り、業務効率が良くなるでしょう。これまでの経験や身に付けたスキルを活かして作業に携われるので、モチベーションアップや積極性の向上も期待できます。

少ない人材で多くの業務をこなす必要があるときや、高い成果を上げることが求められる場合に、適材適所な人材配置は効果的です。

2.社員の離職防止

各人材の特性や能力に合った配置を行うことで、従業員は自分の経験やスキルを活かして働けるようになるからです。仕事に充実感が生まれて会社への帰属意識が高まることから、転職や退職に至りにくくなります。

よくある転職理由の「新しいことに挑戦したい」「やりがいが感じられない」などの不満をもたせないために、適材適所は効果的です。優秀な人材や、育成した従業員を失わないためにも、適材適所を実践しましょう。

3.人件費の削減

人材の力を最大限に引き出すことで無駄なコストを省けるのも、大きなメリットです。
適材適所によって業務効率化ができれば、人件費や経費などのリソースを削減できます。

作業効率が上がると、時間外勤務を減らせ、残業代の支出を抑えられます。また、仕事への満足感がアップし従業員の定着率が上がれば、新しい人材を補充するための費用や研修費用なども削減できるでしょう。

適材適所な人材配置に役立つ施策

適材適所な人材配置を実現するには、次のような施策が役立ちます。

1.適性検査を実施する
2.1on1などの面談を行う
3.大規模なプロジェクトにアサインする
4.ジョブローテーションを実施する
5. 従業員情報をデータ化する

どのような施策なのか見ていきましょう。

適性検査を実施する

適材適所の人材配置を行うには、適性検査で従業員の能力や性格を把握することをおすすめします。適性検査では、従業員のパーソナリティや志向性、ストレス耐性を客観的、定量的に把握できるためです。

上司や人事担当者などによる人事評価では、主観も入りやすいです。正確に適性を把握しきれない場合もあるでしょう。適性検査を活用することで、潜在的な能力も含め、正しい評価ができるようになります。

1on1などの面談を行う

面談を実施することで、データだけでは判断できない情報も把握できるでしょう。例えば、本人のモチベーションや仕事に対する価値観、今後のキャリアプランなど、面談を通して把握ができます。

理想とする働き方や目標をヒアリングし、それらに対応した人材配置にすることで、業務への積極性やモチベーションを引き出せるでしょう。

大規模なプロジェクトにアサインする

従業員がこれまでに関わったことのないような大規模なプロジェクトのメンバーに選任することも、適材適所な人員配置に役立ちます。

通常業務では接点のない同僚と、普段とは違うプロジェクトを進めることで、これまで認識していなかった自身の強みや関心ごとに気付けるでしょう。

さらに、新しいスキルの獲得や成長の機会にもなるので、人材育成やモチベーションの向上が見込めます。

ジョブローテーションを実施する

ジョブローテンションとは、人材の育成を目的として、さまざまな業務を経験できるよう計画的に人事異動を行うことです。このジョブローテーションを実施することも、適材適所な人員配置に役立ちます。

一定の期間さまざまな部署や職種を経験させると、「どのような業務と相性が良いのか」「現在認識している以外に、適性はあるのかどうか」などを確認できるでしょう。

加えて、さまざまなジャンルの業務を経験することで、得意な分野のスキルを伸ばすことにもつながります。

従業員情報をデータ化する

従業員のスキルや経験、資格、面談でヒアリングした内容などのデータを一元化することも有効です。データを関連づけて分析することで、より効果の高い適材適所な人員配置を実現できるうえ、長期的にも適材適所の判断がしやすくなるでしょう。

従業員情報のデータ化をするなら、従業員の情報管理に特化した「TeamSpirit」をぜひご利用ください。「TeamSpirit」では、現在の組織パフォーマンスや、従業員一人ひとりの業務負荷の状況も可視化できます。そのため、データに裏付けられた施策が取りやすく、生産性向上などの成果につながる配置を実現できます。

適材適所な人材配置を成功させるコツ

適材適所な人材配置を成功させるには、押さえるべき3つのコツがあります。
1.自社の課題や目標を明確にする
2.従業員のスキルや適性を見極める
3.従業員の希望や価値観を考慮する
それぞれを、以下で詳しく解説します。

自社の課題や目標を明確にする

組織の課題や目標を把握することで、人材配置の問題点や改善の方向性が明らかになります。

例えば、ある業務においてリソースが不足して業務過多の状態な場合は、組織全体で業務バランスを調整する必要があるでしょう。

従業員のスキルや適性を見極める

各従業員にとっての「適所」がどこかを判断するためのポイントとなるのが、社員の適性です。今回紹介した施策で適性を改めて把握することで、本人や周囲が認識していなかった適性を把握できるでしょう。

従業員の希望や価値観を考慮する

従業員の理想や意思を確認することも、適材適所な人員配置を成功させるうえで欠かせません。適材適所を実現するには、適正だけでなく、従業員本人の希望や目標とマッチしているかどうかも重要になるからです。

将来希望するキャリアビジョンに沿った部署に配置することで、モチベーションや仕事の効率を高められるでしょう。

まとめ

適材適所な人員配置をすると、人的リソースを有効活用し、業務効率化や生産性向上を実現できます。従業員一人ひとりの適性や目標、価値観を正しく把握し、人員配置に活用することが適材適所の成功には欠かせません。データ管理ツールを活用し、従業員のデータを人事異動に積極的に利用するのもおすすめです。