ウェルビーイング経営とは
ウェルビーイングは、心身ともに健康で社会的に満たされた状態を指します。よって「ウェルビーイング経営」とは、心身の充足に関する概念をもとに、組織の環境を整える経営手法です。
昨今、働き方改革や健康経営が推進される中で、新しい方針のひとつとしてウェルビーイング経営を取り入れる企業が増えてきました。多様な働き方を取り入れるうえでも、社員一人ひとりの幸福を考えるウェルビーイング経営は注目される取り組みです。
ウェルビーイング経営の実践で得られる効果
ウェルビーイング経営は新しい考え方として、導入する企業が増えつつあります。
ここでは、企業がウェルビーイング経営に取り組むメリットを3つ紹介します。
労働生産性の向上
ひとつは、労働生産性の向上です。
心身ともに健康な状態であれば、仕事に対する意欲やモチベーションが高まります。自ずと欠勤・休職する社員の割合が減少するでしょう。
個々のパフォーマンスの質も高まり、労働生産性の向上や、企業全体の業績アップが期待できます。そのほか、生産性向上による人件費の抑制、社員の健康状態が保たれることによる医療費の削減も見込めます。
離職防止・人材確保
特に、人材不足が課題となっている企業では、ウェルビーイング経営の実践が重要です。社員の幸福度やエンゲージメントを向上させることで離職の防止も期待できます。
ウェルビーイングの明確な指標をもつ企業は、社員の心身の変化に気づきやすくなります。早期退職などを考えている社員に対し、早期からフォローを行うなど効果的な対処が可能です。
さらにウェルビーイング経営を実践していることで、社員に「自分たちのことを考えてくれる会社」だと感じてもらいやすくなります。人材の定着率の上昇や会社への貢献意欲の向上が期待できるでしょう。
また、対外的なアピールにもつながります。社外からの企業イメージが向上すれば、優秀な人材を新たに確保することも容易になります。
従業員満足度の向上
企業がウェルビーイング経営に取り組むことは、従業員満足度の向上に寄与します。働きやすい環境が整い、人間関係が改善されると社員のストレスが軽減されるためです。
従業員満足度の向上により、企業への貢献意欲や帰属意識を高める効果を期待できます。
ウェルビーイング経営を実現させる5つの要素
ウェルビーイング経営を実現させるために、必要な5つの要素を下記に紹介します。
Positive emotion | 嬉しい・楽しいといったポジティブな感情(ポジティブな感情につながれば、悔しいという感情も含む) |
Engagement | 没頭や没入できているか。 |
Relationship | 良好な人間関係、安心できる他者とのつながり。 |
Meaning | 人生の意味や意義を感じているか。 |
Accomplishment | 目標を達成したり完遂したりする感覚。 |
上記の頭文字をとって「PERMA理論」ともいわれています。アメリカの心理学者、マーティン・セリグマンにより提唱されました。
ウェルビーイング経営を推進するには、マーティン・セリグマンが発展させたポジティブ心理学をビジネスで活用することが必要だと考えられます。
ウェルビーイング経営の具体的な取り組み内容
「PERMA理論」におけるウェルビーイングは、持続的な幸せを意味しています。ウェルビーイング経営の機運が高まる中「世界幸福度リポート2020(World Happiness Report 2020)」において、日本の幸福度は153カ国・地域中62位でした。
企業は、社員の幸福度を高めるために、どのような取り組みをするべきでしょうか。ここでは導入しやすい取り組みを5つ紹介します。
労働環境の改善
労働環境の改善や社員のメンタルヘルスは最優先すべき事項です。労働条件の整備は、PERMA理論における「Positive emotion」の改善につながります。
ストレスをもたらす過度な残業を減らしたり、休暇申請を行いやすくしたりするなどして労働条件を整えましょう。また、必要に応じてリモートワークの環境を整えるなど、多様な働き方に対応する柔軟性も必要です。
従業員満足度の調査
働きやすい環境を整備するために、従業員満足度調査(ES調査)も有効です。ES調査は従業員が会社に対して何を求めていて、どんな不満を解決したいかを可視化できます。できるだけ答えやすいように具体的な質問を用意しましょう。
また、ウェルビーイング経営の成果を確認する際にもES調査を実施すれば、改善点を把握することが可能です。社員の不満を改善することで、「Engagement」の向上につながります。
なお、Engagementは人材開発において「会社や仕事に対する愛着」「コミュニティへの帰属意識」を意味します。
コミュニケーションの活性化
職場におけるコミュニケーションの活性化は、PERMA理論の「Relationship」の改善につながります。人間関係や雰囲気が悪い職場では、ストレスが増加し、生産性が低下しかねません。
手軽にコミュニケーションを取れるツールや、社内専用のSNSを導入する施策が有効です。ほかにも部活動を推進したり、懇談会を実施したりするなどしてコミュニケーションの活性化に努めましょう。リフレッシュコーナーを設け、他部署の社員との交流を促進する企業も増えています。
働きがいを感じられる環境を整える
社員一人ひとりが働きがいを感じられる環境の整備も重要です。仕事だけでなく、育児・趣味・ボランティア・パートナーとの関係を含め、人生全体をひとつのキャリアとして考慮する必要があります。
具体的には、フレックスタイム制や時間単位の有給休暇制度を導入し、キャリアプラン、ワークライフバランスなどの研修を実施しましょう。自身が企業に貢献できているなど、働きがいを感じられる環境を整えれば、PERMA理論における「Meaning」が改善されます。
ただし、環境整備にともない、社員の勤怠管理面に不備が生じることがあります。そこで、HRテクノロジーの活用もあわせて検討することをおすすめします。
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安定した生活基盤の維持
「幸福」を感じるためには、安定した生活基盤を維持できる収入があり、将来の不安がないことも大切です。たとえば資格取得の推奨や取得支援制度の導入、FP(ファイナンシャルプランナー)によるライフプラン研修などの制度を整えましょう。
目標を達成することや、成功体験を重ねることで、ポジティブ感情を引き寄せ、人生を充実したものに導く効果が期待されます。
まとめ
ウェルビーイング経営は、社員の仕事に対するモチベーションや、会社への帰属意識を高める効果があります。
今後、ウェルビーイング経営は、企業の成長に欠かせない取り組みになると予測できます。ウェルビーイング経営を実現するためには、労働環境の改善はもとより、社員一人ひとりの幸福に着目することが必要です。
ウェルビーイング経営を検討している場合は、今回紹介した具体的な取り組み方法を参考に自社の現状を確認してみてはいかがでしょうか。