ウェルビーイング経営の企業事例5選

ここでは、ウェルビーイング経営に取り組んでいる企業の実践内容を紹介します。

楽天株式会社

楽天グループは、Eコマース、フィンテック、デジタルコンテンツ、通信など70以上のサービスを世界30ヵ国・地域に展開するグローバル企業です。

価値観・行動指針である「楽天主義」をベースに、ウェルビーイングを組織開発の中心に置いています。2022年には、一連のウェルビーイング活動などが評価され、経済産業省が定める健康経営優良法人認定制度の「ホワイト500」に認定されています。

■取り組みのポイント

「ある目的のもとに、ありたい姿を持つ多様な個人がつながりあった持続可能なチームの状態」を指す「コレクティブ・ウェルビーイング」という概念を提唱。

・「仲間」「時間」「空間」のそれぞれに「間(余)をデザイン」すること(「三間」と呼称)を推奨。「企業側(マネジメント)」には実践のチェックリストを提供し、「個人(社員)」には、自身にとってのありたい姿を見つめなおすための問いを提供。

・チームビルディングのためのオンライン朝会や、ラジオ体操・瞑想の実施。自宅での仕事環境へ配慮するためのツールを整備。

トヨタ自動車株式会社

トヨタ自動車は、日本を代表する世界最大の自動車メーカー。経営理念である「トヨタフィロソフィー」において「幸せを量産する」をミッションに掲げています。

代表取締役社長の豊田章男氏は、2020年3月期の決算発表において、企業が従業員の幸せにすること、そして、全従業員が社外の誰かを幸せにすることへの決意を表しました。同社では、全社を挙げてウェルビーイングに取り組んでいます。

■取り組みのポイント

「健康第一の会社を目指す」と宣言し、社員の心身の健康を重視。

・健康組合では、パフォーマンス発揮度を上げるため、アプリを使った肩こり解消チャレンジなどを実施。昼休みや隙間時間を活用したレッスン受講の促進や、健康に関するアンケートを実施。

ワークライフバランスを図る取り組みを継続的に実施。

株式会社アシックス

アシックスは、競技用シューズやスニーカー、アスレチックウェアなどを製造・販売するグローバル企業です。

「健全な身体に健全な精神があれかし」という創業哲学を体現するために、2017年に「ASICS健康経営宣言」を発表し、社員とその家族の健康的な生活の実現に取り組んでいます。

自社の事業を活かして、スポーツに関連した施策が多く、運動を通じたウェルビーイングへの取り組みが特徴です。

■取り組みのポイント

・経営陣のコミットメントのもと「ASICS Well-being」体制の立ち上げ。人事統括部長のCWO(チーフウェルビーイングオフィサー)との兼務を任命。

自社開発の健康増進プログラムを実施。現在と将来の健康評価・予測を行い、無理なく継続できる個別の健康増進プランを提供。

・社員の運動機会を創出するセミナーの実施。

株式会社USEN-NEXT GROUP

USEN-NEXT GROUPは、「未来を今に近づける“ソーシャルDX”カンパニー」として、「店舗・施設支援」「通信・エネルギー」「コンテンツ配信」という3つの事業に取り組む企業です。

2021年には、独自の健康サポート・持続的活躍支援プログラムであるSustainable Well-being Program「Well.U」を始動しました。「よく知る・よくする・よく生きる。」をテーマに、可視化した社員の健康状態の改善を図り、幸福な生活を営み、仕事で活躍し続けられることを目指しています。

■取り組みのポイント

・社員のコンディションチェックや検査体制の充実化。検査結果をベースにした健康状態の可視化。

・可視化された結果について、いつでも・どこでも対応可能なオンライン医療相談環境の整備。

・制度利用によるポイント付与・還元機能を含む独自のWEBサービスの開発。

株式会社デンソー

デンソーは、トヨタグループに所属する国内最大手の自動車部品メーカーです。

2016年に「デンソー健康宣言」を表明しました。経営理念にある「個性を尊重し 活力ある企業をつくる」ために、より社員が健康でいきいきと働くことのできる会社づくりに努めることを宣言しています。

社員の健康状態の見える化を進めてきたことなどが評価され、2021年には健康経営優良法人「ホワイト500」に認定されています。

■取り組みのポイント

各職場に健康リーダーを設置し、メンバーの特性やチームの状態を確認して、現場に合った施策を考案・実施。

・本社にトレーニングルームを設置するなど、誰でも気軽に運動できるような環境づくりを実施。

・日頃からメンバー同士がお互いの体調の変化に気づき、コミュニケーションが円滑になるように配慮。

ウェルビーイングを導入するメリット

前述したように、業界問わず多くの企業でウェルビーイング経営が実践されています。では、企業がウェルビーイング経営に取り組むことに、どんなメリットがあるのでしょうか。企業側・社員側両方の視点から導入するメリットを紹介します。

企業側のメリット

まず、企業側の3つのメリットを紹介します。

・社員の愛着精神や帰属意識が高まる
・人材流出の防止、優秀な人材確保ができる
・生産性が上がる

社員が心身ともに健康を維持できる状態であれば、その環境を提供している企業への愛着が湧きます。また、帰属意識を育むことにもつながるでしょう。

そうなれば、人材の流出を防ぐことも可能です。さらに、評判が社外にも広がれば、新たな人材の獲得にもつながります。

企業に愛着のある社員の多くは、企業への貢献に積極的です。高いパフォーマンスを発揮してもらえるため、結果として組織全体の生産性向上を見込めます。

社員側のメリット

社員側のメリットは、以下の3つが挙げられます。

・仕事へのモチベーションが向上する
・ストレスが軽減される
・ワークライフバランスを実現できる

先述したように、ウェルビーイングに取り組むことで、社員の仕事に対するモチベーションを向上させることができます。

また、職場に心身ともに健康でいられる環境であれば、仕事のストレスは大きく軽減されることでしょう。

さらに個々のパフォーマンスが最大限発揮されることで、組織全体の生産性が高まります。工数を削減できれば、プライベートの時間を確保することにもつながるでしょう。自ずと社員が趣味の時間や家族との時間を満喫できるようになり、より豊かな人生を送れるようになります。

ウェルビーイングに基づく3つの施策

ここでは、ウェルビーイング経営を実践する際に有効な施策を解説します。

労働環境を改善する

社員のワークライフバランスを実現するには、社員に任せるのではなく、企業が率先して支援することが大切です。

長時間労働など、ウェルビーイングに反する状況があれば是正しましょう。フレックス制度や在宅勤務の導入を検討・促進することをおすすめします。

また、福利厚生の見直し・充実化など、社員の生活基盤を整備することも効果的です。社員が有給を取得しやすいように、有給取得した社員に対して、インセンティブを支払う事例もあります。

労働時間や有給取得率をはじめとする自社の労働環境の現状を素早く把握するには、HRテクノロジーを活用することが有効です。TeamSpiritを活用すれば、自社の「今の働き方」がどのようなものかを直感的に把握して、課題にいち早く対応することが可能です。

テレワーク・オフィスワークを併用した複雑な勤務体系にも対応しています。36協定に基づいたアラームやレポートも自動で作成が可能です。これにより、長時間労働の是正をはじめとする労働環境の改善に素早く取り組めます。

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コミュニケーションを促進する

企業が労働環境を整えても、人間関係が悪いと社員の幸福度は上がりません。社内のコミュニケーションを促進させ、人間関係を円満にするための取り組みが大切です。

1on1制度やメンター制度など、上司と部下、先輩や後輩などが、より率直な意見交換がしやすくなる仕組みを導入するのも良いでしょう。

また、オフィスの環境を見直して、社員同士がより気軽にコミュニケーションをとれる、快適な場所を設けることも効果的な方法です。リフレッシュスペースやオープンなミーティングスペースを取り入れると良いでしょう。

健康やメンタルサポートを行う

社員が自分の健康やメンタル状態を把握して、セルフケアできるようにサポートしましょう。定期的な健康診断や検診費用の補助に加えて、産業医や保健師との面談を気軽に行える環境の整備もおすすめです。

栄養バランスの良い食事を摂ってもらうために、食事補助制度を導入している企業もあります。社員食堂やオフィスへの食事配送サービスだけでなく、テレワーク中の社員に、全国各地の飲食店で利用できるチケットを配布する方法もあります。

まとめ

社員のウェルビーイングを意識した経営を行うことで、企業と社員のどちらにとっても大きなメリットがあります。本記事で紹介した、ウェルビーイングの企業事例や具体的施策を、自社で実施する施策の参考にしてみてはいかがでしょうか。