テレワークは柔軟な働き方や業務効率を促進する方法である一方、勤怠管理が困難であることも事実です。
「労働時間が見えづらい」という課題が生まれやすい状況でもあります。テレワークを導入することで、実際に給与計算でミスが発生したり、成果が見えにくいため人事評価しづらくなったりした会社も多いのではないでしょうか。
今回はテレワークの勤怠管理が難しい理由や、従業員の実績を正しく管理できる最適なツールをご紹介します。今後、テレワークの導入を考えている方は、参考にしてみてください。
テレワークの勤怠管理における従業員の不安
総務省が発表した資料によると、テレワークによるメリットを実感している従業員がいる一方、下記のような不安を抱えている従業員がいることがわかります。
・仕事の成果が適切に評価されるか不安
・仕事振りが適切に評価されるか不安
・業務報告が煩わしい
・オフィス勤務者との評価の公平性
・孤独感や疎外感
・勤務時間管理が働き方にそぐわない
(参考:「コロナ下でのテレワークの課題とは ―「日本型テレワーク」を目指して― 鶴 光太郎」)
テレワーク環境では上司など管理者の目が行き届かないので、タイムカード上で退勤しているにもかかわらず残業する「隠れ残業」があっても発覚しづらくなります。反対に、業務時間中にサボったり家事をしていたりしてもバレにくく、働く側のモラルが問われることも考えられます。
こうした課題が積み重なると、「勤務時間管理が働き方にそぐわない」「仕事の成果が適切に評価されるか不安」の声があがるきっかけとなります。
このように、自由なj働き方のひとつとして知られるテレワークですが、勤怠管理や評価制度において、デメリットとなる部分も発生するのです。
テレワーク下での勤怠管理は難しい
実際に、テレワーク下での勤怠管理はオフィスワークと比べて難しいことが多いです。企業には従業員の正確な勤怠管理が義務づけられており、従業員一律の勤務時間を記録していたり、課題に気づきながらも対処を怠っていたりする場合には、企業側の責任も問われます。
ここではテレワークの勤怠管理が特に難しいといわれている理由をご紹介します。
従業員の自己申告頼りになりがち
テレワーク環境下における勤怠管理は、従業員の自己申告に頼りがちです。オフィスのようにカードキーやタイムカードを使った記録ができず、オンライン上の打刻によって自己申告する手段しかありません。
勤務を開始していないのにオンライン上で出勤の打刻をしたり、残業しているのに自発的にタイムカード上で終業していたりすることも起こり得ます。休日に業務をしても、打刻や報告をしない従業員がいるおそれもあるのです。
申告通りに実働実績があるのかも監視しにくく、実態を把握しやすいのがテレワークの難点といえます。
従業員の評価が難しい
テレワークの場合、成果物・実績・進捗など、目に見える内容の人事評価になることも多いです。直接対面して働けないからこそ、熱意・モチベーション・エンゲージメントなどのチェックがしづらくなります。
また、人事・総務・法務などバックオフィスや事務職など、目に見える形で実績が出ない職種も存在します。人事評価制度や評価項目次第では部署ごとの不公平感を生む要因になることもあるので、特に注意する必要があります。
テレワークで勤怠管理を行う方法
では、テレワーク環境下でも正確に勤怠管理するには、どうすればよいでしょうか。ここでは代表的な解決案をご紹介します。
裁量労働制の導入
裁量労働制とは、実際の労働時間とは関係なく前もって定められた時間を労働時間とみなす制度です。実労働時間に関わらず一律で給料を支払うため、いわゆる「定時」の考えがなくなり、残業の実績に応じて給与計算を変動させる必要がありません。
もちろん、会社として正確な勤怠実績を把握したり、一定以上を超えた残業および休日出勤には手当を支給する必要があります。
しかし、あまり残業がなく一定の労働時間内で仕事が終わる会社であれば、管理の工数を大幅に減らしやすくなります。フレックスタイム制とあわせて導入すると、人材採用の幅も広がります。
勤怠管理ツールの活用
勤怠管理ツールを導入し、実働時間を正確に把握する方法もあります。オンライン上で手動打刻できる機能もあれば、社内システムやパソコンの使用歴に応じて打刻してくれる機能もあり、実労働時間の把握に役立ちます。
勤怠の上長承認をワークフロー上で完結する機能を使えば、タイムカードを別途経理部に提出する手間からも解放されるのがメリットです。
チャットやメールでの報告
チャット・メール・オンラインミーティングツール・電話などを活用し、都度勤怠状況をチェックする方法もあります。次の業務へ移るタイミングや離席時に報告するルールを設定するだけで、従業員の現状を共有できるようになります。
長時間残業が疑われるときや、許可のない中抜けなどが心配なときに役立つ方法です。チャット内で雑談もできるので、社内コミュニケーション活性化施策としても効果的であり、テレワークによる孤独感を解消できます。
タスク管理の共有
タスク管理に最適な共有用ツールを使い、誰がいつどこまで業務を進めたかを可視化するのにもおすすめです。担当分野が一目でわかるため業務の重複や連携ミスを防ぐ効果も高く、勤怠管理だけでなく業務効率化の面でもメリットがあります。
ただし、作業内容とタスク内容がリンクしておらず、タスクリストだけが形骸化しないよう注意しましょう。リアルタイムで更新されていくタスクリストになるよう工夫しながら運用していくことがポイントです。
Web会議システムの活用
Web会議システムを活用し、都度コミュニケーションを取りながら働き方を確認することもできます。場合によってはWeb会議システムをつなぎっぱなしにして、細かな相談や気兼ねない雑談を促進する方法もあります。
「様子を監視されているようで落ち着かない」「見られて困る私物がある」という従業員もいるので、意義や目的を理解してもらいながら活用していきましょう。
勤怠管理ツールの活用がおすすめ
テレワークの見えない勤怠を管理するおすすめの方法は勤怠管理ツールの導入です。勤怠管理に関するさまざまな機能が搭載されているので、管理側の工数を大幅に削減できます。
勤怠管理ツールの性能は製品によっても異なります。そのため、勤怠管理ツールを自社に導入する際は、持ち合わせている機能を確認することが大切です。
例えば、従業員の作業状況や進捗が確認できるかどうかです。従業員の作業中のパソコンをランダムにスクリーンショットしたり、パソコン操作を記録したりする機能が導入されている勤怠管理ツールもあります。従業員の作業状況を効率的にチェックできる機能が付いていれば、管理工数の削減も期待できます。
また、社員にとって使いやすいツールであることも大切です。テレワークを行うにあたって、勤怠管理ツールは毎日操作します。使用しにくいツールは操作ミスにもつながり、従業員のストレスの原因や、打刻漏れが頻発するおそれもあります。そのため、インターフェースが見やすく操作が簡単であることが大切です。
近年は多機能型の勤怠管理ツールも多数提供されています。タスクやスケジュールの共有や経費精算の機能を搭載しているものにするのもおすすめです。
クラウド型の勤怠管理ツールの場合、インターネット環境さえあれば自宅からでも使用できるので、テレワークに最適です。
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まとめ
テレワークの勤怠管理は、従業員の労働実態を把握しづらい分、オフィスワークとは違う施策をしなければなりません。
しかし、自社の働き方や従業員ニーズに合った勤怠管理ツールを使えば、実績を可視化できるケースがあるのでチェックしてみましょう。場合によってはタスクやスケジュールも一元管理し、働いている時間だけでなく内容を共有できるツールもあります。
自社に合ったツールを選定し、工数を削減しながら勤怠管理をしていくことがポイントです。