フレックスタイム制導入のデメリットとは?よくある疑問や導入事例を解説

フレックスタイム制導入のデメリットとは?よくある疑問や導入事例を解説

「フレックスタイム制」は出社・退社時間を従業員自身が決めて働くことができる制度です。従業員は業務に合わせて柔軟に働く時間を調整できたり、企業も優秀な人材を確保しやすくなったりするなどのメリットがあります。一見、メリットが多いフレックスタイム制ですが、デメリットになり得る部分もあります。今回はフレックスタイム制導入によるデメリットについて詳しく解説していきます。

●目次

1.フレックスタイム制とは

  ・フレックスタイム制の導入企業数

  ・フレックスタイム制が向いている職種

2.【企業側】フレックスタイム制導入による4つのデメリット

  ・導入できる企業・職種が限定される

  ・社内コミュニケーション不足に陥る可能性がある

  ・自己管理ができない従業員は時間にルーズになる可能性がある

  ・労務担当者の負担が増える可能性がある

3.【従業員側】フレックスタイム制導入による3つのデメリット

  ・コアタイムに業務が集中するおそれがある

  ・スケジュール調整に手間がかかる

  ・不在の従業員の代わりの対応が必要になる

4.フレックスタイム制に関するよくある6つの質問

  ・残業代はどのような扱いになるのですか?

  ・従業員は出勤日も自由に決めて良いのですか?

  ・裁量労働制とフレックスタイム制との違いは何ですか?

  ・フレックスタイム制に遅刻や早退の概念はありますか?

  ・フレックスタイム制の清算期間を2カ月または3カ月とした場合に考慮すべきことを教えてください

  ・フレックスタイム制の導入にあたって必要なことは何ですか?

5.フレックスタイム制の導入事例

  ・アステラス製薬株式会社

  ・花王株式会社

  ・株式会社SUBARU(スバル)

6.まとめ

7.フレックスタイム制の管理を簡単に行う方法

1.フレックスタイム制とは


フレックスタイム制とは一定の期間であらかじめ決めた総労働時間の範囲内で従業員自身が出社・退社時間を決めることができる制度です。フレックスタイム制では、従業員はあらかじめ決められた総労働時間(所定労働時間)のなかで、働く時間をコントロールしながら働くことができます。

一般的なフレックスタイム制では、必ず出社して働かなければならない時間帯である「コアタイム」と、いつ出社・退社しても良い時間帯の「フレキシブルタイム」が設定されます。

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引用:厚生労働省|フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き

例えばコアタイムが11時〜15時の場合、11時〜15時の間は休憩時間を除き必ず勤務しなればなりませんが、出社時間は9時でも10時でも、また退社時間も15時以降であれば16時でも17時でも問題ありません。ただし、コアタイム・フレキシブルタイムは必ずしも設ける必要はありませんので、会社の実情に合わせてどちらも設定しないことも可能です。

フレックスタイム制は、出社・退社時間が決められている通常の勤務時間制度と比べて、自由度の高い働き方が実現できます。例えば、共働きで働いている夫婦であれば、保育園の送り迎えを日替わりで担当したり、プライベートの予定に合わせていつもより早く(もしくは遅く)出社したりすることも可能です。

・フレックスタイム制の導入企業数


1988年に日本にフレックスタイム制が導入されてから30年以上たった現在、どれくらいの数の企業がフレックスタイム制を採用しているのでしょうか。

厚生労働省の調査によれば、フレックスタイム制を導入している企業は全体の6.5%でした。

企業規模別導入企業数によると1,000人以上の企業が28.7%、300〜999人の企業が15.6.%、100~299人の企業が8.7.%と、企業規模の大きい企業ほど導入が進んでいることがわかります。

これは、フレックスタイム制が「必ずしも会社単位ではなく、部署や個人単位でも導入できる」という側面があるため、「人数の多い企業ほど導入できる確率が高い」という背景があると考えられます。

参考:厚生労働省|令和3年就労条件総合調査 結果の概況

・フレックスタイム制が向いている職種


従業員個人単位でも導入できるフレックスタイム制ですが、導入に向いている職種と向いていない職種があります。導入に向いているのは次のような職種です。

● エンジニア
● プログラマー
● 企画職
● 事務職
● デザイナー
● 研究職


上記のように個人業務が多い職種や専門的な業務がメインの職種は、取引先やチームとの時間調整が相対的に少なく、勤務時間の融通が利きやすいため、フレックスタイム制との相性が良好です。

【関連記事】
フレックスタイム制導入前に押さえたい制度概要と注意点

2.【企業側】フレックスタイム制導入による4つのデメリット


フレックスタイム制導入にあたってはメリットだけでなく、デメリットも十分に検討する必要があります。まずは企業側におけるフレックスタイム制導入によるデメリットを4つ解説していきます。

・導入できる企業・職種が限定される


働く時間の自由度が高いフレックスタイム制は、企業・職種によって相性の良し悪しがあり、現実的にはすべての企業・職種が導入できるわけではありません。以下、導入が難しい企業・職種の特徴です。

● 飲食業やエンターテインメント業など営業時間の決まっている企業
● 医療・福祉業など人と接する業界
● 営業職や工場勤務など取引先の勤務時間に影響を受ける企業・職種


また導入できる企業・職種であってもフレックスタイム制導入により生産性が落ちてしまうリスクもあります。業務内容や現場の実情をよく考えて、フレックスタイム制導入を検討しましょう。

・社内コミュニケーション不足に陥る可能性がある


従業員それぞれの出社・退社時間が異なるフレックスタイム制では、同僚や上司などと会う機会が少なくなり、社内コミュニケーション不足に陥る可能性があります。コミュニケーション不足は連帯感の不足、ひいてはチームとしての動きづらさにつながるおそれがあります。

対策として、社内で導入しているビジネスチャットツール内で雑談チャネルを作るなど、オンラインでのコミュニケーションを活性化させる工夫が必要になるでしょう。

・自己管理ができない従業員は時間にルーズになる可能性がある


自由度の高いフレックスタイム制は、自己管理ができない従業員に「自分のペースで働けるもの」と受け止められるリスクがあります。結果として通常勤務よりもダラダラと時間がかかる働き方をして生産性が落ちてしまうことも考えられます。

フレックスタイム制導入時に対象の従業員には導入意図をしっかり伝え、管理職は生産性低下が起きないよう適切にマネジメントをするなど、自己管理の苦手な従業員でもなるべく労働時間を意識して働けるような工夫が必要です。

・労務担当者の負担が増える可能性がある


フレックスタイム制を導入すれば、それぞれ勤務時間の異なる従業員の勤怠状況を管理しなければなりません。フレックスタイム制の残業時間は通常の勤務制度と異なり、清算期間とその期間の総労働時間に対する実労働時間の超過で考える必要があり、残業代の計算も複雑になります。そのため、労務担当者の勤怠管理における負担が増えてしまう可能性があります。

対策として、勤怠管理システムを導入し、業務の効率化を実現することで負担の軽減を図ることも可能です。(清算期間について詳しくは後述)

3.【従業員側】フレックスタイム制導入による3つのデメリット


続いて、従業員側におけるフレックスタイム制導入によるデメリットを3つ紹介します。

・コアタイムに業務が集中するおそれがある


フレックスタイム制導入により、すべての従業員が勤務しているコアタイムに打ち合わせなどの社内業務が集中する可能性があります。コアタイムに過度に社内業務が集中すると、自分の業務はコアタイム以外でこなさければならなくなり、仕事の効率が下がってしまう可能性があります。コアタイムが短ければ短いほど、この傾向は強くなります。

・スケジュール調整に手間がかかる


勤務時間が同僚や取引先と異なる可能性があるフレックスタイム制では、円滑に業務を進めるためのスケジュール管理が必須です。

例えば、取引先とコアタイム以外の時間帯に打ち合わせをすることになった場合、打合せに同席する上司や同僚の勤務時間を聞き取り、時間の調整をしなければなりません。

こうした聞き取りの手間を減らすには従業員同士のスケジュールを共有するツールを導入するなどの工夫が必要です。

・不在の従業員の代わりの対応が必要になる


フレックスタイム制では、コアタイム以外の時間帯(フレキシブルタイム)において、不在の従業員の代わりに、勤務中の別の従業員が対応をしなければならない場面も出てきます。急ぎの用事でなければ不在の担当者に引き継ぐこともできますが、緊急を要する場合は、その時勤務中の従業員が対応を求められます。代わりの対応をした従業員は自分の仕事を進められず、生産性が落ちたり、不公平感を感じたりする場合があります。

4.フレックスタイム制に関するよくある6つの質問


フレックスタイム制に関するよくある質問を6つまとめました。フレックスタイム制について理解しにくい点や法違反になりやすい点など疑問点を解消したうえで、導入の検討を進めましょう。

・残業代はどのような扱いになるのですか


総労働時間を超えたら、残業代が発生します。フレックスタイム制では1日ごとに残業時間を算出しません。例えば、実労働時間が180時間、総労働時間が160時間の場合、20時間分の残業代を支払うことになります。なお、逆に実労働時間が足りない場合は、給料の減額もしくは次の清算期間※の総労働時間を増やす必要があります。

※清算期間:労働者がフレックスタイム制において働かなければならない時間を決めた、一定の期間のこと。例えば清算期間3カ月で総労働時間(所定労働時間)が520時間の場合、従業員は月ごとの労働時間の凸凹はあっても良く、3カ月間で520時間を働くことになる。

・従業員は出勤日も自由に決めて良いのですか?


出勤日は自由に決めることはできません。従業員が決められるのはあくまで出社・退社時間や1日の労働時間です。従業員は企業の定めた出勤日に従い、勤務する必要があります。

・裁量労働制とフレックスタイム制との違いは何ですか?


あらかじめ企業が定めた時間を働いたとみなす制度が「裁量労働制」です。裁量労働制とフレックスタイム制の主な違いは以下のとおりです。

  • みなし労働時間の有無:裁量労働制はあらかじめ企業が定めた労働時間分(みなし労働時間分)を超えた時間に対して残業代が支払われる。一方、フレックスタイム制にみなし労働時間はなく、所定労働時間を超えた時間外労働に対して残業代が発生する。
  • 導入対象範囲の違い:裁量労働制は適応できる範囲が定められている(証券アナリストや弁護士、本社で企画・調査などを行う従業員など)。一方、フレックスタイム制には職種や業務内容の制限はない。
  • 導入手続きの煩雑さ:導入する際、裁量労働制の手続きの方が複雑。フレックスタイム制の導入要件は「就業規則への明記および労使協定の締結の2つ。

・フレックスタイム制に遅刻や早退の概念はありますか?


フレックスタイム制において遅刻や早退の概念はありません。ただし、企業ごとに定められた、必ず勤務しなければならない時間帯であるコアタイムに遅れれば遅刻、早く退勤すれば早退となります。

・フレックスタイム制の清算期間を2カ月または3カ月とした場合に考慮すべきことを教えてください


毎月の清算ではなく、2カ月または3カ月ごとに実労働時間が清算されますので、勤怠管理の時間軸が少し長くなります。従来、フレックスタイム制の清算期間は1カ月までとされてきましたが、働き方改革の一環として、清算期間の上限を3カ月まで認めるよう法改正がされ、2019年4月から施行されています。これにより、従業員は月をまたいだ柔軟な働き方が可能となりました。

・フレックスタイム制の導入にあたって必要なことは何ですか?


「企業規則等への規定」および「労使協定の締結」が必要です。就業規則等には、始業・終業時刻を従業員が決められることを定めます。また労使協定では以下の事項を定めます。

● 対象となる労働者の範囲
● 清算期間
● 清算期間における総労働時間(清算期間における所定労働時間)
● 標準となる1⽇の労働時間
● コアタイム(※任意)
● フレキシブルタイム(※任意)

参考:厚生労働省|フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き

5.フレックスタイム制の導入事例


ここでは具体的なフレックスタイム制の導入事例を3社紹介します。各企業が、自社に合わせてどのようなフレックスタイム制の運用をしているのか、確認してみましょう。

・アステラス製薬株式会社


アステラス製薬は、裁量労働制やスーパーフレックスタイム制など多様な働き方を導入しています。

アステラス製薬と国内のグループ会社では、2020年度4月より、フレックスタイム制からコアタイムを設けないスーパーフレックスタイム制を導入しています。2021年3月末時点において、44%以上の従業員が裁量労働制を含めていずれかの裁量が認められる制度の対象者です。

参考:アステラス製薬株式会社|主な制度(日本)

・花王株式会社


花王は、2008年よりフレキシブルタイムがなく、コアタイム(10時〜15時)ありのフレックスタイム制を導入していました。さらに2015年7月からはコアタイムを廃止しています。7時〜20時までをフレキシブルタイムに設定し、その間であればいつでも出社・退社できるようにしました。

コアタイム廃止の背景として、コアタイム以外の時間帯への業務のしわ寄せや海外企業とのやりとり発生による長時間労働是正などがあります。コアタイム廃止により、人事・経理部などで所定労働時間が減少傾向にあります。

参考:厚生労働省|働き方・休み方改善ポータルサイト|花王株式会社

・株式会社SUBARU(スバル)


SUBARUでは1998年度よりフレックスタイム制を導入し、さらに2016年度からはコアタイムを4時間から2時間に短縮しました。繁忙期・閑散期や従業員の業務内容に適した働き方を実現できるようにしました。

このほか、SUBARUでは長時間労働削減を目的として、管理職を含めた全従業員が定時退社を行う「ウルトラ定時間日」の設定や主に開発部門の22時退社の徹底といった取り組みを実施しています。

参考:株式会社SUBARU|ワークライフバランス

6.まとめ


従業員が出社・退社時間を自分で決められるフレックスタイム制にはメリットだけでなく、以下のようなデメリットも存在します。

● 導入できる企業・職種が限定される
● 労務担当者の負担が増える
● スケジュール管理の負担が増える

メリットも多いフレックスタイム制ですが、導入する前に自社に適しているのかどうかを慎重に検証する必要があります。特に労務担当者にとってはフレックスタイム制の導入が勤怠管理業務の負担増加につながるおそれがあります。

制度導入にあたり労務担当者の負担がネックとなる場合は一度、効率的に労働時間の集計や可視化ができる勤怠管理システムの導入も視野に入れてみてはいかがでしょうか。

7.フレックスタイム制の管理を簡単に行う方法


ほかの労働時間制と同じようにフレックスタイム制も労働時間の把握・管理が必要です。ただ、制度導入により、勤怠管理は煩雑になることでしょう。

クラウド勤怠管理ソフトの「TeamSpirit」であれば、フレックスタイム制を含め労働時間制ごとに労働時間を自動集計・可視化することができます。さらに、従業員側・管理者側から所定労働時間に対する過不足時間をリアルタイムに把握することも可能です。また、残業時間が特定の時間を超過した場合に、従業員本人やその上司にアラートメールを通知することもできます。フレックスタイム制導入にかかる労務負担軽減をしたい方はぜひTeamSpiritにお問合せください。

執筆:バックオフィスナビ編集部・@人事共同執筆

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