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基礎知識

36協定の電子申請の方法とは? メリットやデメリット、注意点も解説

著者:チームスピリット編集部

法定労働・法定休日を超えて従業員に働かせる場合に届け出る必要がある「36協定届」の申請方法には、窓口で直接提出や郵送で送るほかに、電子申請で届け出るやり方もあります。電子申請はいつでも提出が可能で労働基準監督署まで行く必要もないため、提出する担当者の時間がない場合に役立ちます。

ただ、今まで直接窓口に提出していたり、郵送で送ったりしていた担当者の方は、電子申請のやり方がよく分からず、電子申請に移行したいができないと悩んでいるケースも多いかもしれません。

この記事では自社が電子申請にすべきかどうかや電子申請の手順、届け出る際の注意点について解説します。この記事では、36協定の電子申請を迷わずできるように申請方法を細かい手順に分けて説明しており、はじめて電子申請する場合に役立ちます。

前提知識として、36協定の基本について知りたいという場合はこちらの記事をご参照ください。

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・36協定届の書き方がわからない
・時間外労働の上限規則に対して企業がするべきこととは?
・残業管理でよく耳にする36(サブロク)協定ってどんなもの?

そもそも法改正前後での変更点はどこにあるのか、企業として取るべき対応策をこちらの資料におまとめしております。労務担当者様の業務に直結する内容が満載ですので、是非お手元のマニュアル資料としてご活用ください。

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36協定は電子申請で対応すべき?

2023年6月現在、36協定を労働基準監督署に届け出る方法は、以下の3パターンがあります。

  • 電子申請で提出
  • 窓口に直接提出
  • 郵送で提出

この章では、電子申請で対応するのがおすすめであるケースと、電子申請以外の方法を検討すべきケースについて解説します。

提出期日までに余裕がある場合は電子申請がおすすめ

36協定の提出期日に対して、余裕がある場合は電子申請で届け出るのがおすすめです。電子申請で届け出ると、ほかの申請方法と比べて以下の2つのメリットがあります。ただし、締切までに余裕がない場合は起算日までに受理されない可能性があるため、おすすめできません。

【メリット①】時間を問わずに申請が可能

  • 電子申請であれば24時間365日いつでも提出が可能であるため、自身の都合の良い時間に合わせて申請が可能
  • 労働基準監督署に行って提出する必要がないため、余計な移動時間の削減が可能

【メリット②】本社一括届出による事務手続きの負担の減少

  • 窓口で直接提出するまたは郵送で提出する場合は、事業場ごとに36協定届を提出しなければならないが、電子申請であれば本社一括で申請が可能で、事務手続きの負担が減る(本社一括届出の詳しい方法は「【手順に沿って解説】36協定における電子申請の方法」の章で解説します)

【メリット①】時間を問わずに申請が可能

労働基準監督所窓口の受付時間は8時30分〜17時15分ですが、電子申請であれば24時間365日申請が可能です。労働基準監督署までの距離が遠かったり、他の業務で多忙だったりする場合には、申請にかかる負担を軽減できます。

【メリット②】本社一括届出による事務手続きの負担の減少

自社に事業場が複数ある場合、事業場ごとに36協定を提出しなければならず手間がかかってしまうこともあるでしょう。電子申請であれば本社で一括して申請できるため、提出が一度で済み、事務手続き負担の減少につながります。

電子申請を行うか検討すべきケース

36協定届の締切が近い場合は、電子申請を行うべきか検討した方が良いでしょう。

電子申請は提出したからといってすぐに確認・受理されるわけでなく、チェックされるのに一定の時間がかかる可能性があります。そこでもし書類に不備があれば、予定した起算日に36協定を締結できないということになりかねません。

また、うっかり書類の記載方法を間違えてしまい、再提出が必要になるケースもあります。そうした場合、締切が迫っていると予定していた起算日に間に合わず、受理されるまでの期間に時間外・休日労働を指示できなくなります。

したがって、36協定届の締切が近い場合は直接窓口に行き、その場で質問したり、添削してもらったりしながら、自社が設定している起算日に間に合うように提出しましょう。

【手順に沿って解説】36協定における電子申請の方法

36協定における電子申請の方法は、事業場ごとに電子申請をする場合と、事業場すべてをまとめて本社一括届出をする場合で方法が少し異なります。

どちらの申請方法もステップごとに解説しています。自社がすべき方を確認して申請をしてください。なお、今回は事業場ごとや一括で届け出る場合のどちらも、スタンダードな様式である36協定の一般条項での申請を例にします。

事業場ごとに電子申請を行う場合

事業場ごとに36協定の電子申請を行う場合は、以下の3ステップを進めていきます。元々提出には電子署名・電子証明書が必要でしたが、2021年4月から不要になったため、2023年7月現在はさらに手続きが簡単になっています。

【ステップ1】e-Govからアカウントを登録する

【ステップ2】アプリをインストールする

【ステップ3】申請ページに進み、フォーマットに必要事項を記入する

【ステップ1】

e-Govのアカウントを持っていない場合は、はじめに登録する必要があります。こちらのe-Govのトップページから以下の画像内で赤で囲まれている「e-Govを初めてお使いの方へ」をクリックします。

出典:厚生労働省|いつでも、どこでも申請 仕事を効率化するe-Gov電子申請

その後、「e-Govを初めてお使いの方へ」というタイトルのページに遷移します。そして、「1.e-Govアカウントの取得」、「e-Govアカウントの登録」とクリックしていき、メールアドレスを登録してください。

【ステップ2】

「e-Govを初めてお使いの方へ」のページに戻り、以下の画像で赤く囲まれている「2.アプリのインストール」をクリックします。その後、Windows、macOSのどちらか自身のPCのOSに合った方のやり方を見てインストールしてください。

出典:厚生労働省|e-Govアカウントを初めてお使いの方へ

【ステップ3】

マイページにログインして、以下の画像の①の箇所の「手続検索」に「時間外労働・休日労働に関する協定届」と入力して検索すると検索結果が下に表示されます。次に②の箇所の「申請書入力へ」をクリックして、入力画面に移動します。そこから、36協定届に必要事項を記入し、内容が間違っていないか確認した後、「提出」をクリックしましょう。

出典:厚生労働省|手続検索結果一覧

参考(PDF資料):厚生労働省|「36協定届」や「就業規則(変更)届」など労働基準法などの電子申請がさらに便利になりました!

参考:e-Gov|いつでも、どこでも申請 仕事を効率化するe-Gov電子申請

本社一括届出を行う場合

本社一括届出を行う場合は、以下の6ステップを順番に進めていきます。ステップ1、2は事業場ごとに電子申請を行う場合と同様です。ステップ1、2については、「事業場ごとに電子申請を行う場合」で解説しています。この章ではアカウント作成、アプリのインストールが完了しているステップ3から解説します。

【ステップ1】e-Govからアカウントを登録する

【ステップ2】アプリをインストールする

【ステップ3】「時間外労働・休日労働に関する協定届(本社一括届出)」の申請ページに進む

【ステップ4】一括届出事業場一覧作成ツールをダウンロードする

【ステップ5】一括届出事業場一覧作成ツールの中の事業所一覧を記載する

【ステップ6】届出の内容を入力し、「一括届出事業場一覧作成ツール」を添付して提出する

【ステップ3】

以下の画像の①の箇所である「手続検索」に「本社一括」と検索して、②の箇所に出てくる「時間外労働・休日労働に関する協定届(本社一括届出)(一般条項のみ)」や「時間外労働・休日労働に関する協定届(本社一括届出)(特別条項のみ)」などの中から自社が提出したい届出をクリックします。

出典:厚生労働省|手続検索結果一覧

36協定届の本社一括届出は、一般条項や特別条項、研究開発事業、適用猶予事業のものがあります。 自社で作成した様式と同一の本社一括届出を設定しましょう。

【ステップ4】

遷移したページ内に出てくる赤く囲まれた「一括届出事業場一覧作成ツール」をクリックし、ツールをダウンロードしてください。

出典:厚生労働省|1年単位の変形労働時間制に関する協定届(本社一括届

【ステップ5】

ダウンロード後、「一括届出事業場一覧作成ツール」の事業場一覧に必要事項を記載します。 必要事項は以下の通りです。

  • 事業の名称
  • 事業の所在地(電話番号)
  • 事業の種類
  • 労働者数
  • 業務の種類
  • 協定当事者
  • 協定成立年月日
  • 管轄労働局
  • 所轄労働基準監督所長名
  • 労働保険番号

「一括届出事業場一覧作成ツール」は以下の画像のようになっています。「一括届出事業場一覧作成ツール」内のステップ1の箇所で、自社が出す届出を選択してから、記入しましょう。

出典(PDF資料):厚生労働省|一括届出事業場一覧作成ツールの利用方法


【ステップ6】

「一括届出事業場一覧作成ツール」内の事業所一覧を記入した後は以下の流れで進めましょう。

  • e-Gov内の「一括届出事業場一覧作成ツール」をダウンロードした画面内にある「申請書入力へ」をクリック
  • 申請書に申請者情報、連絡先情報を記入
  • 必要事項を記入
  • 「36協定届」に「一括届出事業場一覧作成ツール」で記載した事業場一覧を添付して「提出」をクリック

参考(PDF資料)厚生労働省|一括届出事業場一覧作成ツールの利用方法

36協定届を電子申請で届け出る際の注意点

36協定届の電子申請ならではの注意点は2つあります。注意点を守らずに36協定届を申請した場合、36協定が締結されたことにならない可能性があります。

36協定書を別途作成・締結する必要がある

電子申請の場合は、協定届と協定書をそれぞれ別で作成する必要があります。

前提として、労使間で締結する36協定書に関しては、使用者が押印・署名をしなければなりませんが、36協定届には押印・署名をする義務はありません。

紙で提出する場合は、36協定届に押印・署名欄を設ければ協定書としても使用可能でしたが、電子申請には押印・署名欄はありません。そのため、電子申請で届出を提出する場合は、届け出る前に36協定書を作成し、労使間で締結する必要があります。

36協定書は事業場ごとに締結する

36協定届を提出しただけでは36協定を締結したことにはならないため、まずは36協定書を事業場ごとに締結しなければなりません。

電子申請で可能なのは、あくまで一括でできるのは届出の申請のみであって、まとめて協定を締結させる効力はないため、前もって事業場ごとに締結した上で届出を申請しなければなりません。

まとめ

この記事では、自社が36協定の届出を電子申請にすべきかどうかや電子申請の手順、届け出る際の注意点について解説しました。

電子申請は24時間365日提出が可能であり、直接窓口に提出したり、郵送で提出したりする方法よりも、手軽で便利な方法であるといえます。また、本社一括届出が可能であることで事務負担の軽減につながります。

ただし、36協定届の締切まで時間があまりなかったり、担当者に知識が不足していたりした状態で提出してしまうと、不備があった場合に予定した起算日に間に合わない可能性があります。以上を踏まえ、自社に合った適切な方法で36協定届を提出するようにしましょう。

【労働基準監督署もすんなり受理】
36協定届の様式と記入例までわかりやすく解説

・36協定届の書き方がわからない
・時間外労働の上限規則に対して企業がするべきこととは?
・残業管理でよく耳にする36(サブロク)協定ってどんなもの?

そもそも法改正前後での変更点はどこにあるのか、企業として取るべき対応策をこちらの資料におまとめしております。労務担当者様の業務に直結する内容が満載ですので、是非お手元のマニュアル資料としてご活用ください。

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