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フレックスタイム制・1週間単位の変形労働時間制とは?

「勤怠管理」の基礎知識

フレックスタイム制の基本

フレックスタイム制は、一定期間(清算期間)についてあらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が日々の始業および終業の時刻、労働時間を自主的に決めて働くことができる制度です。一般的には1日の労働時間帯をコアタイム(必ず勤務すべき時間帯)と、フレキシブルタイム(その時間帯のなかであればいつ出社または退社してもよい時間帯)とに分け、出社・退社の時刻を労働者の決定に委ねるケースが多く見受けられます。ただし、必ずしもコアタイムを設ける必要はありません。

フレックスタイム制はデザイナーや研究職、設計業務など1日や1週の労働時間の拘束を受けながら仕事をするよりも、本人の裁量で業務効率が上がるように働いたほうが成果が出やすい仕事に向いている制度です。

フレックスタイム制を導入する際の手続き

フレックスタイム制を導入するためには、①就業規則等への規定、②労使協定の締結が必要です。

労使協定には、5つの事項を定めます。

  • 1. フレックスタイム制を適用する労働者の範囲

  • 2. 3ヶ月以内の清算期間とその起算日(※1)

  • 3. 清算期間中に労働すべき総労働時間

  • 4. 標準となる1日の労働時間

  • 5コアタイム、フレキシブルタイムを設ける場合はその開始・終了時刻

(※1) 「働き方改革関連法」により、2019年4月1日より、フレックスタイム制の「清算期間」の上限は1ヶ月から3ヶ月に延長されます。

フレックスタイム制における時間外労働の考え方

フレックスタイム制では、1日8時間・週40時間という法定労働時間を超えて働いても、ただちに時間外労働とはなりません。反対に、1日の標準労働時間に達しない場合でもただちに欠勤扱いとはなりません。

フレックスタイム制の場合、割増賃金の対象となる時間外労働は、単純に清算期間における法定労働時間の総枠を超えた時間になります。

清算期間における法定労働時間の総枠は下記のように計算します。
法定労働時間の総枠 = 1週間の法定労働時間 × (清算期間の暦日数 ÷ 7日)

例えば、清算期間を1カ月とした場合の法定労働時間の総枠は下図の通りです。

清算期間の暦日数

法定労働時間の総枠
(1週40時間の場合)

法定労働時間の総枠
(1週44時間の場合)

28日

160時間00分

176時間00分

29日

165時間42分

182時間12分

30日

171時間25分

188時間30分

31日

177時間08分

194時間48分

注意しなければならないのは、清算期間における実際の労働時間が法定労働時間の総労働時間に足りなかった場合です。フレックスタイム制には、「総労働時間(総枠)」に不足があった場合に、不足分を翌月の労働時間に加算して労働させることができるという特別な調整方法が認められています。もしくは、不足分に相当する賃金をその月の賃金から控除してもかまいません。

フレックスタイム制で日々の労働時間が労働者本人に任されていたとしても、使用者が労働時間の管理をしなくてよいわけではありません。適切な賃金計算をするためにも、正しい労働時間管理を行いましょう。

フレックスタイム制の法改正事項

2019年4月1日の法改正により、清算期間の上限が「3ヶ月」になります。清算期間が1ヶ月を超える場合には労使協定の締結と労働基準監督署への届け出が必要です。

法改正後のフレックスタイム制における時間外労働の考え方

清算期間が3ヶ月に延びることによって注意しなくてはならないのが、時間外労働の管理です。1ヶ月を超える清算期間を定める場合、下記のいずれかを超えた時間が時間外労働となります。

①清算期間における法定労働時間の総枠
②1ヶ月ごとの法定労働時間の総枠(週平均50時間)

①清算期間全体での法定労働時間の総枠

最初に述べた通り、フレックスタイム制における割増賃金の対象となる時間外労働は、単純に清算期間における法定労働時間の総枠を超えた時間になります。
法定労働時間の総枠 = 1週間の法定労働時間 × (清算期間の暦日数 ÷ 7日)

例えば精算期間が3ヶ月で、その間の暦日数が91日の場合の法定労働時間の総枠は520時間です(40時間 × 91日 ÷ 7日 = 520時間)。3ヶ月の労働時間がこの枠以内であり、かつ1ヶ月ごとの労働時間が週平均50時間以内であれば、時間外労働は発生しません。この枠を超えて労働させる場合には、36協定の締結と届け出が必要です。

② 1ヶ月の法定労働時間の総枠

清算期間中の労働時間の総枠が①法定労働時間の枠内であったとしても、1ヶ月毎の期間において、週平均が50時間を超える労働については、その月の時間外労働として取り扱われます。

1ヶ月の法定労働時間の総枠 = 50時間 × (各月の暦日数 ÷ 7日)

月の暦日数

週平均50時間となる時間

28日

200時間

29日

207.1時間

30日

214.2時間

31日

221.4時間

例えば、下記の場合の時間外労働は何時間になるでしょうか。

・清算期間3ヶ月
・実労働時間が、4月 220時間、 5月 160時間、 6月 140時間

4月(30日)

5月(31日)

6月(30日)

合計

実労働時間

220

160

150

530(a)

1ヶ月の法定労働時間(週平均50時間)の総枠

214.2

221.4

214.2

---

週平均50時間を超える時間

5.8

0

0

---

清算期間の法定労働時間の総枠

40×91÷7

520 (c)

時間外労働時間

5.8(b)

---

---

(a)-(b)-(c)
530-5.8-520

最終月の時間外労働時間

---

---

4.2

---

この場合、4月に5.8時間、6月に4.2時間の時間外労働をしているので、その時間に応じた割増賃金が発生します。

もちろん、フレックスタイム制でも時間外労働の上限規制には気をつけなくてはなりません。特に清算期間を1ヶ月ごとに区分した最終期間は、他の月と比べて時間外労働が大きく増える可能性があります。

「単月100時間未満」と「2ヶ月ないし6か月の平均が月80時間以内」という規制に違反しないよう、注意しましょう。

※フレックスタイム制における時間外労働の考え方については、「労基法改正に向けて、今知っておきたい「フレックスタイム制」の基礎知識」の記事もご参照ください。

※こちらの資料でも、フレックスタイム制度の細かい内容が解説されています。
▶フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001138969.pdf

1週間単位の非定型的変形労働時間制

「1週間単位の非定型的変形労働時間制」は、

  • 常時使用する労働者が30人未満の

  • 小売業/旅館/料理店/飲食店の事業者

に限って適用することができる制度です。

1週40時間の範囲内で1日10時間まで労働させることができます。

この制度を導入するためには、事業場の過半数労働組合、もしくは過半数労働者の代表者との書面による協定を締結し、所轄労働基準監督署に届出なくてはなりません。また、従業員には翌週各日の労働時間を文書で通知することが必要です。


労働時間管理に関してどのような制度を採用するかは、単に残業時間を短縮するだけではなく、働く人のモチベーションやサービス戦略とも密接に関係しています。したがって、企業の事業戦略の方向性に合わせて、労働時間管理の方法も俊敏に変更できるような体制を整えておくことが重要です。
厚生労働省が発表している「平成30年就労条件総合調査」( https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/18/dl/gaiyou01.pdf )によると、変形労働時間制を採用している企業数の割合は60.2%だそうです。種類別で見ると、「1年単位の変形労働時間制」が35.3%、「1か月単位の変形労働時間制」が22.3%、「フレックスタイム制」が5.6%となっています。

「変形労働時間制」は、労働時間の短縮や割増賃金コストの削減には大変効果があると考えられますが、正しく運用するにあたっては手間がかかります。社内システムとしては、ある一つの方法のみを対象にした勤怠管理のシステムを構築するのは簡単ですがそれでは柔軟性に掛けてしまいます。やはり、あらゆる勤務体系に対応できる専用のサービスを活用することが、成功の鍵となるのではないでしょうか。

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