株式会社インフォバーン
新たな人事制度「リア充手当」でメディアの働き方を改革する!
事例ポイント
課題
- 長時間労働を是正したかった
- 新制度運用のため、勤怠管理の脱Excel化を進めたかった
決め手
- 分析レポートの自由度が高い
- ICカードによる打刻ができるなど、ユーザー体験(UI)が良い点も評価
効果
- シンプルなICカード打刻の効果もあり、グループ全体で勤怠打刻が定着化
- 残業時間の自動集計・レポーティング機能により、先手の労務管理が可能になった
- 新制度運用に向けた環境が整った
事例概要
機能 | 勤怠管理, 工数管理, 経費精算, 電子稟議, レポート・ダッシュボード |
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業種 | コンサル・士業, 広告・メディア |
従業員数 | 100~499人 |
特徴 | 自動化による作業時間の削減, ペーパーレス・脱エクセル, データの見える化・分析 |
リアルタイムに働き方を"見える化"して、現場も満足な残業抑制に取り組む
IT業界でなくとも「ギズモード・ジャパン」や「ライフハッカー[日本版]」、「ビジネス インサイダー ジャパン」といったオンライン・メディアの記事を読んだことがある、という方は多いはずだ。これらのメディアを運営しているのが、業界の雄として有名なインフォバーングループ(以下インフォバーン)である。
同社は「イノベーション創出こそが、究極のブランディングである」とのビジョンを掲げ、20年近くにわたりオウンド・メディアの運営を続けるかたわら、その運営ノウハウや配信ネットワーク等を活かして様々な企業のブランディングを一気通貫で支援している。まさに日本におけるデジタル・マーケティングを牽引してきた企業のひとつと言えるだろう。
しかし、そんな先駆的なメディア企業であるインフォバーンでも、他のメディア企業同様 "厳しい労働環境"が問題視されていたそうだ。そこで、それを払拭する取り組みが2017年4月から始められた。働きやすい職場環境の実現に向けた人事制度の改革に着手することを社内外に発表し、同年7月からは、その取組みのひとつとして「リア充手当」制度を導入した。この「リア充手当」制度の実現に一役買っているのが「TeamSpirit」とのこと。これについて、株式会社インフォバーングループ本社 経営管理部門 人事総務部マネージャー足代氏に話を聞いた。
優秀な若年層の確保を目指して導入された「リア充手当」制度とは?
さて、「リア充手当」とはどういったものか? 足代氏は、「昨年から半年以上かけて議論したグループ全体での人事制度改革の取組みのひとつです。具体的には、毎月の残業時間目標値に伴う会社全体の残業手当をあらかじめプールしておき、実際に発生した支給額がそれを下回った場合、余った金額を対象社員に還元する、という制度です」と解説する。
「以前よりグループでは、インフォバーン行動計画を定め、従業員がその能力を発揮し、仕事と生活の調和を図り働きやすい雇用環境の整備に取組んでいました。
しかし、常態化傾向にある長時間労働を十分に改善するには至っておらず、さらに、これから労働人口が減少していく中で、高度化するデジタル・マーケティング業界で活躍しうる優秀な若年層の確保はますます難しくなるという危機感がありました」と、このユニークな制度が生まれた背景を語る足代氏。
この危機感は日本の労働環境の抱える課題とも合致するものだと言えよう。
解決策が模索されて久しいこの難題に対し、インフォバーンでは「リア充手当」の制度をもって、長時間労働の是正で働く人たちの健康を保ちつつ、残業代が減ることで「手取りが少なくなってしまうのではないか...」と考える働く人たちの懸念までをも解消しようとしたわけだ。
しかし、ここでひとつの問題が浮上した。この制度を運用するためには、毎月の残業時間目標値とのその差分をリアルタイムで把握することが必要になるのだが...
「インフォバーンはシステムによる勤務管理を行っていましたが、メディアジーンはそれまで人数も少なかったことから、月末に勤務時間をExcelで申告してもらって、人事が集計するという手作業で管理していました。
グループ全体でリア充手当制度を設定するためには、グループの全従業員が共通の方法で毎日勤務時間を記録し、人事側で簡単にグループ全体の勤務状況をレポートできる仕組みが必要になったのです」と、足代氏は当時の課題を振り返る。
また、インフォバーンで利用されてきたプロジェクト別の採算を管理するための勤怠・工数管理ツールでは、「新制度を運用するにあたっては、勤務時間管理レポートが要件を満たさない」ということも分かったという。
そこで、グループ全体で勤怠管理ツールを再選定する必要が出てきた、というわけだ。
「UXデザインに妥協は許されない」選定のポイントはシンプルな"使いやすさ"
「いくつかのクラウドサービスを比較してみましたが、レポートの自由度が高く、ICカードによる打刻を始めとした日々の使いやすさという点を評価して、TeamSpiritに決めました。メディアで働いている人間はシンプルな操作を好みます。複雑な操作だとストレスが溜まります」と足代氏。
また、デジタルメディアを運営するIT企業だけに「UX(ユーザー体験)デザインについて妥協は許されなかった」という。
「今後会社が大きくなる上で重要な取組みであること」と説得し、新ツールの定着を働きかけ
「導入は、グループ会社のメディアジーンからはじめました。4月から勤怠打刻を開始し、最初は打刻忘れに対する人事からの督促や、勤怠の修正申請と承認が多発し、一時的にフォローが必要でした。しかし、今後会社が大きくなる上で重要な取組みであることをマネージャー含め全員に理解してもらい、定着を図ってきました。
いまではシンプルなICカード打刻の効果もあり、グループ全体での利用が定着してきています。部分的にTeamSpiritでの経費申請も使い始めており、従業員からは『経費精算の手間が減った!』と、喜ばれています。
勤務時間や残業時間のレポートをカスタマイズして、速報として共有することも簡単にできるようになりました。まずは月次の結果レポートの共有を定期運用していく予定ですが、将来的には、『今月のリア充達成率はこのままいくと何%です』といった風に予測を行い、マネージャークラスに共有できるようになれば、と考えています。そうすることで、さらなる残業時間の抑制につながるのでは、と思っています」と、今後の運用の展望を語る足代氏の声は力強い。
もともと現場でプロジェクトを推進する立場だったこともあり、日々の現場業務を熟知している同氏。経営企画部を経て、人事マネージャーとして活躍する今日、現場サイドと経営サイドの両方の意向を理解した上で実施される「働き方改革」は、インフォバーンブランドをさらに強くしていくことになりそうだ。
勤怠・工数・経費精算などをクラウドで一元化
株式会社インフォバーン
- 設立
- 1998年10月30日
- 事業内容
- インターネット・メディア運営、コンテンツ企画制作、メディアコンサルテーション
- URL
- https://www.infobahn.co.jp/
- 取材年月
- 2017年8月