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長崎空港ビルディング株式会社

長崎空港はいかに古い企業体質から脱却し、デジタルイノベーションを推進していったのか。TeamSpirit活用の裏側

事例ポイント

課題

  • 勤怠管理や経費精算など様々な業務が非効率なアナログでの業務フローであった
  • ハンコ文化が根強く残っており、稟議の承認や回覧に時間がかかっていた
  • 個人手帳でスケジュール管理を行うなど、デジタル活用ができていなかった

決め手

  • 勤怠管理から経費精算、また社内SNSなど、1ツールで様々な領域をカバーできる
  • 自社サーバー保有ではなく、SaaS型でコスト削減に繋げられる
  • ユーザビリティが高く、導入ユーザーからの評価も高い

効果

  • 勤怠管理業務の効率化、また適切な労務管理を実現できるようになった
  • Web上で申請・承認できるようになり、稟議スピードは6日から1.6日へと大幅短縮
  • 経費精算など様々な業務がペーパーレス化し、年間2万枚相当の紙印刷削減

事例概要

機能 勤怠管理, 経費精算, 電子稟議, 社内SNS, レポート・ダッシュボード
業種 サービス, その他
従業員数 100~499人
特徴 自動化による作業時間の削減, ペーパーレス・脱エクセル, コストパフォーマンスの向上

長崎空港旅客ターミナルビルの施設運営や案内サービス、また空港内の売店やレストランの運営、そして航空会社の地上支援業務や旅行業など、空港に関する多角的な事業を展開する長崎空港ビルディング株式会社。
同社ではコロナ禍による航空需要の大幅な減少をキッカケに、抜本的な経営改革に着手。紙の回覧やハンコ文化、また個人手帳でのスケジュール管理など古い企業体質を刷新し、本格的なデジタルイノベーションに取り組んでいる。

いままでの仕事をそのままデジタル化するのではなく、まずは当たり前だと思っていたことをゼロベースで見直し、そこからデジタル化に取り組んでいった」そう語るのは、長崎空港ビルディング 企画部IT推進グループ 田中氏だ。

同社ではデジタルイノベーションを推進していく上で、勤怠管理や経費精算、また社内コミュニケーションの領域でTeamSpiritを活用している。
そこで今回は、同社が抱えていた課題感からTeamSpiritの導入の決め手や効果、そして今後の展望について、田中氏に加え、企画部経営戦略グループ 町田氏、 古賀氏(導入時:人事グループ所属)、企画部IT推進グループ 武藤氏、貞包氏、総務部総務グループ 田中(章)氏、経理部経理グループ 瀨﨑氏に伺った。

コロナ禍による厳しい経営状況下で、いかに古い企業体質から脱却して強い会社へと変革するかが課題だった

新型コロナウイルス感染症拡大により、多くの企業が影響を受けた2020年。それは長崎空港ビルディングも例外ではなく、外出自粛要請や渡航制限などの行動制限下で、国内・国際航空旅客数が大幅に減少したことにより、厳しい経営状況へと追い込まれる。

そこでWITHコロナ、またAFTERコロナを見据え、時代の変化に対応していくべく、課題として浮き彫りになったのが、古い企業体質からいかに脱却するかということであった。

経営改革以前の状況について、町田氏はこう語る。「当時は紙の回覧やハンコ文化が根強く、稟議や回覧に時間がかかっていました。また、個人手帳によるスケジュール管理など、昔ながらのやり方が多く残っており、デジタルを活用しきれていませんでした。加えて組織間での縦割り意識など、古い企業文化が残っていました

そこで同社では、お客様の価値観や行動変化へ対応し、収益性、生産性、さらには社員満足度向上を図り、企業価値の向上を狙うべく、経営改革を実行。非接触や密回避のための施策として、飲食店でのモバイルオーダー導入や配膳ロボットの導入などを実施していった。

さらに抜本的な経営改革を行うために、働き方の見直しや組織・人員体制の再構築などにも取り組んでいく。いかに省力化を進め、収益構造を強固にするかという課題に対し、積極的なデジタル推進に取り組んでいったという。

いままでの当たり前だと思っていた仕事のやり方を、そのままデジタル移行するのではなく、まずはゼロベースで見直そうと。そこで業務の棚卸しから行い、そこからデジタル化を進めていきました」と田中氏は振り返る。

もちろん、従来までのやり方を抜本的に変えていくことは、そう簡単なことではない。そこで、お客様が減り、収支が減少している状況において、変化しないと生き残れないということを社員一人ひとりが意識するために、「当たり前を見直そう。」といったリーフレットの作成や社内発信を積極的に行っていった。

企画部IT推進グループ 田中氏

また、「社員満足度を上げ、社員一人ひとりがイキイキと働ける会社になることが、強い会社をつくる上で必要不可欠」と語る町田氏。これまでも福利厚生などの取り組みはあったものの、社員満足度調査を実施し、数値化して改善していくといった具体的なアクションは行われていなかったという。

そこで新たに策定した中期経営計画では、経営基盤に新たに「社員満足」という項目を追加。通年「ノーネクタイ、ノー上着」や分散していた業務フロアの集約化、また様々な取り組みによる社内コミュニケーション活性化など、社内風土改革、社員満足度向上にも積極的に取り組んでいった。

様々な業務領域をカバーできることが導入の決め手に。アナログな勤怠管理から脱却し、適切な労務管理を実現

アナログ文化からデジタル文化への変革を実現するため、同社では中期IT戦略を策定し、デジタルイノベーションの推進にも取り組んでいく。
災害発生時の意思決定の迅速化や復旧スピード向上を目指した災害ネットの運用開始に加え、2021年10月からは稟議や勤怠管理、経費精算等の社内ルーティン業務の一括クラウド化を実施。その際に採用されたのが、TeamSpiritだった。

導入の決め手について、田中氏はこう語る。「もともと勤怠管理のための社内システムはありましたが、老朽化していたため、新たなツールを探していました。そうした中、TeamSpiritであれば、勤怠管理以外の複数の業務領域もカバーできるため、全社的な業務効率化を期待できること。またSaaS型で、コスト低減に繋げられること。そしてユーザビリティが高く、実際のユーザー評価も高いことの3つが導入の決め手でした」

TeamSpiritの導入で、特に効果を実感いただいている機能のひとつが、勤怠管理機能だ。従来の自社サーバー型の勤怠管理システムでは社内PCでしか操作できず、さらに出退勤時間の登録は打刻機で行い、有給申請は紙による押印形式での申請・承認。また、毎月の出退勤の情報は紙で印刷して押印後人事部門に提出する業務フローとなっていたという。

しかしTeamSpirit導入後は、個人のスマホ端末から出退勤時間の登録や残業などの諸申請が可能となり、また有給申請等もTeamSpirit上で完結できるようになったりと、勤怠管理業務のペーパーレス化を実現。社員および人事部門の業務負荷も大幅に低減された。

「ペーパーレス化したことで、勤怠の締め作業も非常に進めやすくなりました。また、社員の勤怠関連の締め作業が翌月10日までだったところから5日までへと短縮できたため、その分人事部門の作業も早めることができ、業務効率化に繋がっています」と人事部門(導入当時) 古賀氏は語る。

企画部経営戦略グループ 古賀氏(導入時:人事グループ所属)

そして業務効率化だけでなく、労務管理の観点で重要な残業時間等の把握においても、TeamSpiritでレポートを作成し、適切なモニタリングおよび有給休暇取得の促進といった働きかけが可能になったという。

また、同社では経費精算においてもTeamSpiritを活用。従来までは都度現金精算で、一旦作業の手を止めて現金の払い出しが必要であったが、現在はTeamSpiritで申請を行い、給料日に振込みというフローへと変わった。

都度対応がなくなり、経理部のタイミングで経費精算の業務が行えるようになった他、申請する社員も出張先から各自の携帯端末で申請できるようになった。

経理部の瀨﨑氏はこう語る。「TeamSpirit導入は、あらためて自分たちの業務内容を見直すキッカケになりました。そしてTeamSpiritを使うためには、どういった業務フローにしなければいけないのか、どういった働き方をしないといけないか、といった意識の変化が社員一人ひとりに生まれたと感じています」

稟議スピードは6日から1.6日へと大幅短縮。さらにペーパーレス化で、年間2万枚もの紙印刷削減に繋がっている

従来までは紙ベースでの稟議書の提出・承認であった同社では、申請・承認フローもTeamSpiritを活用。インターネット環境があればいつでもどこでも申請・承認が行えるようになり、あわせて権限移譲も進めていったことで、稟議にかかる日数が6日から1.6日までへと大幅に短縮することができたという。

そうしたさまざまな領域でのペーパーレス化を進めていったことで、同社では紙印刷がA4用紙換算で年間2万枚もの削減を実現。さらに印刷・コピー業務がなくなったことで業務効率化にも繋がっている。「TeamSpirit導入以降、ペーパーレス化が進み、コピーパフォーマンス(紙印刷代)も大幅な削減を実現できた」と田中氏は語る。

そして業務効率化だけでなく、同社ではTeamSpiritのChatter (企業内SNS)を活用することで、社内コミュニケーションの活性化にも役立てている。

企画部の貞包氏はこう語る。「飲食店や売店、また空港業務に携わるスタッフはオフィスではなく現場で働くため、物理的な距離があり、他部門が何をしているのかがわかりませんでした。

しかしChatterを活用することで、他部門がどういった活動をしているのかが見えるようになり、社内イベントの情報も手軽に知ることができ、私も参加したいと思えるようになっていきました

以前までは部門間での縦割り意識が強かった企業風土であったが、いまでは部門横断的なコミュニケーションはもちろん、Chatterを使った全社的なGOOD JOB活動により、褒める文化が浸透し、理想のコミュニケーション体制が構築できているという。

今後は会計システムとの連携や工数管理機能の活用、またダッシュボードの活用など、よりTeamSpiritの様々な機能を活用し、さらなる省力化や業務効率化に取り組んでいく予定だ。最後に田中氏は次のように語った。

「従来までは自分たちの仕事のやり方にシステムを合わせていました。しかし、今回TeamSpiritを導入し、従来とは逆で、自分たちの仕事を、すでに業務効率化のために合理化されたシステムのやり方に合わせていこうと変えていきました。

その結果、省力化、業務効率化を実現でき、社員一人ひとりが主業務に注力できる環境をつくることができましたし、結果的にはコスト削減にも繋がっています。TeamSpiritを導入して本当に良かったと思っていますし、他の企業にもおすすめしたいと思っています」

長崎空港ビルディング株式会社

設立
1959年2月16日
事業内容
長崎空港ターミナルビルの管理や運営を請け負う。空港内で事業活動をする企業への貸室に加え、空港内の売店やレストランの飲食店の運営などを手掛ける。また、ANA長崎地区総代理店としてエアライン空港地上支援業務受託や旅行代理店なども展開。その他、催し物の企画や運営およびチケット等の販売も行う。
URL
https://nagasaki-airport.jp/nabic/
資本金
4億5,300万円
取材年月
2023年6月