工数の見積もり方法|失敗する理由や正しいやり方・手法を解説
著者:チームスピリット編集部

- 工数の見積もりと実績に差が出てしまうことが多い
- 見積もりを任せられたが、どうすれば良いのかわからない
- 部下の見積もり精度を改善したい
このような悩みを持つ方も多いのではないでしょうか?
この記事では、工数見積もりのよくある失敗例を元に、精度の高い見積もりを作るポイントなどを解説していきます。
納得感のある見積もりが作れれば、クライアントからの信頼獲得にも繋がります。
また会社としての信頼だけでなく、見積もり作成者個人の評価や信用にも直結します。ぜひこの記事を参考にしてご自身やチームの工数見積もりに活かしてみてください。
目次
勤怠管理の基本を改めてチェックしてみませんか?
- 勤怠管理の基本的なルールの理解や実務の知識が乏しく、不安がある
- 勤怠管理の目的など基本的なことを知りたい
- 勤怠管理を適切に実行する上で、自社の課題も把握しておきたい
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人事労務担当者なら知っておきたい、適切な勤怠管理の必要性や労働時間の基本ルールについて解説していますので、これから適切な勤怠管理を導入・運用しようと考えている方は、ぜひ本資料をお役立てください。
工数の見積もりがうまくいかない理由
工数の見積もりには一定の根拠が必要であり「なんとなく」では精度の高い見積もりは作れません。
赤字やスケジュール遅延が発生してしまう場合は、以下のような原因が考えられます。
- タスクが細分化されていない
- スケジュールにバッファを持たせていない
- 過去の工数実績を参考にしていない
- 過去の工数実績が正しくない
上記の課題を抱えたまま見積もりを行うことにはどんな問題点があるのか、また具体的な解決策について解説していきます。
1.タスクが細分化されていない
タスクが細分化されていない工数見積もりの例は、以下のとおりです。
<システム開発の工数見積もり例>
- 設計・・・1人日
- 開発・・・3人日
- テスト・・・2人日
上記のように大枠の業務で工数を見積もってしまうと、「誰が、何を、どのように行うか」といった細かな情報が不透明になりやすいという問題点があります。
具体的な作業がイメージできないため、「なんとなく」で工数を考えてしまい、不正確な見積もりとなる可能性が高くなるのです。
例えばシステム開発であれば、「設計」のなかには「UIの設計」「機能の設計」「設計したもののレビューや確認のミーティング」といった作業が含まれているはずです。上記の例を、より正確性のある見積もりに変えると以下のようになります。
<システム開発の工数見積もり例>
設計 |
1人日 |
タスクA・・・5時間 |
---|---|---|
タスクB・・・3時間 |
||
開発 |
3人日 |
タスクC・・・2時間 |
タスクD・・・4時間 |
||
タスクE・・・5時間 |
||
(略) |
||
テスト |
2人日 |
タスクF・・・1時間 |
タスクG・・・3時間 |
||
(略) |
このようにタスクを細分化すれば、プロジェクト完了までに必要な作業内容と工数を把握しやすくなるのです。
業務開始後にタスクごとの進捗管理が行いやすくなるため、遅延などに対しピンポイントで対応できるようにもなります。
タスクを細分化するコツ
タスクが細分化できておらず工数の見積もりがうまくいかないと感じている場合、以下の手法を試してみましょう。
- 「設計」「開発」といった大粒のタスクを、「UIの設計」「A機能の開発」といった小粒のタスクに分割する
- タスク分割の際、小規模プロジェクトなら1タスク3時間前後、大規模プロジェクトなら1タスク数日前後の業務にまで細分化する
- タスクの工数を見積もる際は、「人月」単位ではなく30分~1時間区切りで見積もる
- WBSとガントチャートを活用する
WBS(Work Breakdown Structure)を作成してプロジェクトのタスクを細分化したうえで見積もりを立てる手法を「ボトムアップ法」と呼びます。なおWBSとは、プロジェクトタスクを大きな粒から小さな粒に階層別に分けた構成図のことです。
ボトムアップ法に関する詳細な情報は、「正しい工数見積もりの手法とは」で解説します。
2.スケジュールにバッファを持たせていない
以下のような工数の見積もりにはバッファが無いため、想定外の事態が起こった際にスムーズな対応ができなくなる可能性があります。
- 担当者が一日中担当業務に注力できると仮定して、工数を見積もっている
- 担当者のスキルやレベルを考慮して見積もりを作成していない
- 未知の案件であっても、過去の似た工数の事例をそのまま転用して見積もりをしている
例えば5人日(※)かかる業務のスケジュールを考える際に「5人のメンバーをアサインできるから1日で完了する」と考えるのはNGです。なぜなら、それぞれのメンバーは他の業務を掛け持ちしていることも多く、実際には1日の50%しかその案件にリソースを割けない、といったこともあるからです。
※「人日」とは、業務を終わらせるために必要な工数を「人数×日数」で表したものです。5人日の場合は、「1人×5日」「5人×1日」などを表します。
また「集中すれば終わらせることができるスケジュール」は、あくまでも「理想値」であると認識する必要があります。
実際の担当者は、担当業務以外にも労務作業や別件への対応、ミーティングなどに追われており、集中して案件に注力できるわけではないからです。それにもかかわらず理想値のみで工数を見積もると、不測の事態に対応することが困難になってしまいます。
予想外のエラーや担当者の体調不良、クライアントからの急な要件変更などがあっても柔軟に対応できるよう、工数見積もりの段階でバッファを設定することが重要です。
バッファを含めて工数を見積もるコツ
バッファを考慮するには、次の方法で工数を見積もるようにしてみましょう。
- 過去と同様の案件であっても過去の工数実績をそのまま見積もりに転用することは避け、担当者のスキルの差などを考慮する
- スケジュールだけでなく、リソースにも余裕をもたせる
- 各タスクに対して、小さなバッファを設ける
- 未知の案件に対しては、通常より大きめのバッファを設定する
- 理想的な工数だけでなく「楽観値・最可能値・悲観値」の3つを用いて工数を見積もる(三点見積もり法)
理想的な進め方ができた工数を「楽観値」、最もできる確率が高い工数を「最可能値」、最も遅くなったケースの工数を「悲観値」といい、3つの値を計算してバッファを設ける手法を「三点見積もり法」と言います。三点見積もり法に関する詳細は、「正しい工数見積もりの手法とは」で解説します。
3.過去の工数実績を参考にしていない
新しい案件の工数を見積もる際、過去の似たプロジェクトの工数データを参照すれば、少ない労力で工数の見積もりを作成することができます。
過去の工数データを有効に活用できていない場合、以下のような課題が隠れている可能性があります。
- 過去の工数データの保存場所が明確に定められていない
- 工数実績をエクセルなどで保存しており、共有や検索が難しい
- 工数管理ツールを使っているが、過去データの保存に制限がある
過去の工数実績をそのまま現在の案件に転用するのは避けるべきですが、実績をベースに調整が加えられればより精度の高い見積もりの作成が可能です。予想できなかったトラブルや考慮しきれなかったタスクなども含めた工数をもとに、見積もりが作れるからです。
経験のない新規案件であっても、一部のタスクなどは見積もりの参考にできるケースもあります。
過去のデータを参考にするには、過去実績の検索がしやすい工数管理ツールを使用したり、工数データをいつでも呼び出せるように管理することが大切です。効率よく過去のデータを使うことで、工数見積もりの負担を最小限にすることができます。
過去の工数実績を参考にして工数を見積もるコツ
正確な数値の工数実績データがあれば、以下の手法で見積もりを作成することができます。
- 小規模かつ、何度も経験のあるプロジェクトであれば、過去の工数実績をほぼそのまま転用する(類推法)
- 過去のデータからタスクの工数係数を算出し、現在の案件に当てはめて工数を算出する(係数法)
類推法と係数法の詳細は、「正しい工数見積もりの手法とは」で解説します。
4.過去の工数実績が正しくない
工数の実績入力が正しく行えていないと、せっかく過去の実績を参考に見積もりを作ろうとしても、参考にならないどころか誤った情報で見積もりを作成してしまうおそれがあります。
以下のような場合は、工数の実績データが正確でない可能性が高くなります。
- 日常的に、工数の入力漏れや、後付けで入力するケースが多い
- 工数と勤怠の整合性が取れていない
- 工数入力に関するルールが定められていない
工数の見積もりに過去のデータを活用するには、そもそも日頃から正しい工数管理を行っている必要があります。
以下の工夫によって、正しい工数実績を入力するように心がけましょう。
- 勤怠管理と紐づいた工数管理ツールを使用する
- 入力ミスや入力漏れのアラート機能があるツールを使用する
- 社員が日々の工数入力を負担に感じず、習慣化ができるツールを使用する
- 工数入力に関する社内ルールを明確にする
工数管理を実践しているものの、うまく管理できていないと感じている場合は、こちらの記事も合わせてご確認ください。
正しい工数見積もりの手法とは
根拠のある工数を見積もるためには、正しい手法に則った見積もり作成が必要です。プロジェクトでよく使用される、代表的な4つの工数見積もり手法について解説します。
手法 |
解説 |
精度 |
ポイント |
---|---|---|---|
類推法 |
過去の工数実績を引用する方法 |
低~中 |
・過去実績を引用すればいいので手軽 ・過去案件と同一なら高い精度 ・メンバーやタスク内容に違いがあったときは精度が大きく下がる |
三点見積もり法 |
楽観値、最可能値、悲観値の三点を設定し、計算によって見積もりを求める方法 |
中 |
・バッファを設けつつ見積もりが作成できる ・詳細の情報が揃っていなくても見積もりが作りやすい |
ボトムアップ法 |
プロジェクト達成のタスクをすべて洗い出し、それぞれの工数を合算して全体の工数を見積もる方法 |
高 |
・作成に時間がかかる ・不確定要素の多い大規模プロジェクトには使いづらい |
係数(パラメトリック)法 |
過去の工数実績から係数を設定し、計算によって見積もりを求める方法 |
中~高 |
・過去データがあれば、精度の高い見積もりができる ・統計学などの専門知識が必要 ・クライアントからの信頼性が得やすい |
それぞれのやり方や考え方、メリット・デメリット等を確認していきましょう。
1. 類推法
現案件と似通った(または同一の)過去の工数実績を元に、見積もりを作成する方法です。
すべての工程が似通った案件の場合は、過去実績をそのまま現在の案件の見積もりとすることができるため、非常に手軽に取り入れられます。一部のタスクが同一の場合は、同一箇所のみを参考にすることも可能です。
類推法のメリットとデメリット
メリット |
デメリット |
---|---|
|
|
上記メリット、デメリットを考慮すると、類推法の使用をおすすめする場面は以下のとおりです。
- 工程や実作業の内容、参加メンバーのレベル等が過去実績と似ている案件について見積もる場合
- 普段から工数データを正確に取得し、管理している場合
- 参考にできる工数実績が多い場合
- 見積もり作成の経験が豊富な担当者が行う場合
2. 三点見積もり法
滞りなく進んだ場合の理想的な工数「楽観値」、最も現実的な工数「最可能値」、最も遅くなった場合の工数「悲観値」の3つを設定し、(「悲観値」+「4×最可能値」+「楽観値」)÷6の数式に当てはめて見積もりを取る方法です。
例をあげて、実際に計算してみましょう。
作業Aの工数を見積もる際、以下の意見が出たとします。
- 経験者が最速で作業すれば、1日で終わる
- 平均的には、3日で終わる
- 未経験者が担当する場合やトラブルがあった場合を想定すると、5日はかかる
上記の場合、楽観値が1日、最可能値が3日、悲観値が5日となります。よって(5日+4×3日+1日)÷6=3日、つまり作業Aの工数は3日と見積もることができます。
三点見積り法のメリットとデメリット
メリット |
デメリット |
---|---|
|
|
上記メリット、デメリットを考慮すると、三点見積り法の使用をおすすめする場面は以下のとおりです。
- ある程度過去の実績を蓄積している企業の場合
- 参加メンバーの多い案件の見積もりをする場合
3. ボトムアップ法
ボトムアップ法とは、プロジェクトを構成するタスクそれぞれの工数を見積もり、合算することでプロジェクト全体の工数を見積もる方法です。
<WBSのイラスト>
上記のような構成図のことを「WBS」と呼び、プロジェクトタスクを大きな粒から小さな粒に階層別に分けたものを指します。ボトムアップ法ではまず、WBSを用いてタスクを細分化する作業から始めます。
タスクを洗い出したら、最終的にすべての工数を合算していきます。
以下のように、ガントチャート(カレンダー形式でプロジェクトの進捗を管理する一覧表)にタスクの内容と担当者や工数を設定すれば、プロジェクト管理も行えるようになります。
▼ガントチャートのイメージ図
※A列~F列(青枠~オレンジ枠)がWBSです。
ボトムアップ法のメリットとデメリット
メリット |
デメリット |
---|---|
|
|
上記メリット、デメリットを考慮すると、 ボトムアップ法の使用をおすすめする場面は以下のとおりです。
- プロジェクト開始後または要件定義後といった段階で再見積もりする場合
- 不確定要素が少ないプロジェクト
4. 係数(パラメトリック)法
過去の実績データから係数を設定し、統計的な法則を元にした計算式に当てはめて工数を算出する方法です。過去のデータを用いる点は類推法と同様ですが、数学的係数モデルに基づき、計算によって工数を導き出す点が、類推法とは異なります。
簡単な例で、係数法の見積もり計算を実践してみましょう。アクセサリーを50個製造する業務があるとします。そして過去に同様のアクセサリー10個を受注した際に、作成に10日間かかったとします。
すると、アクセサリーAを1個作るのにかかる時間は10個÷10日で1日という係数を求めることができるため、今回の業務にかかる時間は「50個×1日(係数)=50日」だとわかります。
ここまでの工程は類推法と似通っていますが、係数法の場合はさらに必要な各作業を「点数化」し、規模などの要素を変数として考慮して計算します。
統計学的な知識が必要になるため、統計ソフトなどのシステムにて行うか、専門家に相談するなどの対応が必要になるケースも多いでしょう。
なお工数計算に使用できる係数モデルは複数種類あるため、自社のプロジェクトに合った係数モデルを用いる必要があります。代表的な係数モデルは以下のとおりです(主にシステム開発の現場で用いられる工数見積もり法になります)。
- FP法
- LOC法
- COCOMO/COCOMO II
係数を使えば現在の案件に適した数値が求められるので、比較的精度の高い見積もりを行うことができます。
係数(パラメトリック)法のメリットとデメリット
メリット |
デメリット |
---|---|
|
|
上記メリット、デメリットを考慮すると、 係数(パラメトリック)法の使用をおすすめする場面は以下のとおりです。
- システム開発など、係数法による見積もり作成が有効な案件の場合
- 過去の工数を正確に取得している場合
- 工数実績が多い企業
- 係数法に用いられる係数モデルに対して、一定の知識がある場合
工数見積もりをする上で知っておきたい工数管理の基本
工数を見積もるには、工数管理の基本となる3つのポイントを知っておく必要があります。
工数管理の基本
- 工数の単位と計算方法
- 工数の管理項目
- 工数の見積もりから実績入力までの手順
それぞれ確認していきましょう。
1.工数の単位と計算方法
工数を見積もる際は、「◯人時」「◯人日」「◯人月」といった単位を用います。それぞれの意味合いや使い方は以下のとおりです。
単位 |
説明 |
例 |
---|---|---|
人時 |
業務を終わらせるために必要な工数を「人数×時間」で表したもの |
3人時→担当者1人が3時間で終えられる、または担当者3人がそれぞれ1時間かけて終えられる作業量 |
人日 |
業務を終わらせるために必要な工数を「人数×日数」で表したもの |
2人日→担当者1人が2日かけて終えられる、または担当者2人がそれぞれ1日かけて終えられる作業量 |
人月 |
業務を終わらせるために必要な工数を「人数×月」で表したもの |
4人月→担当者1人が4ヶ月かけて終えられる、または担当者4人がそれぞれ1ヶ月かけて終えられる作業量 |
細かなタスクの工数を見積もる際は「人時」単位を使い、プロジェクト全体の工数を出すときに「人月」または「人日」単位を使うのが一般的です。
見積書等に記載する工数には単位を明確に記載し、認識の食い違いがないように気をつけましょう。
上記の単位を用いた工数の計算方法は、以下のとおりです。
工数(人時・日・月)=作業人数×作業時間(時間・日・月)
例えば、ある作業に対し担当者5人で2ヶ月かかると見積もった場合、工数は10人月(作業人数5人×作業時間2ヶ月)となります。同様に2人で5ヶ月作業する場合も10人月となるため、案件の納期や投入できるリソースにあわせて調整を行います。
2.工数の管理項目
工数の見積もりを作成する際に必要となる項目は以下のとおりです。
- タスクの内容(大分類と小分類)
- 担当者
- 予想される作業時間(期間)
- 予想されるコスト
作業時間やコストを実際に見積もるときは、前章で解説した「正しい工数見積もりの手法とは」の手法を用います。エクセルの工数管理表などを活用して項目を洗い出し、見積もりを立てていきましょう。
工数管理をエクセルで!表の作成方法や使い方・テンプレートを紹介
3.工数の見積もりから実績入力の手順
工数の見積もりから実績入力までの流れと、やるべきことは以下のとおりです。
手順 |
実施タイミング |
具体的な内容 |
---|---|---|
1.見積もり作成の準備を行う |
クライアントからの依頼後 |
・依頼内容を精査する ・不明点をクライアントに確認する ・参加メンバー、部署などを設定する ・プロジェクト完成までのロードマップを作成する |
2.管理工数を見積もる |
1のあと |
・ミーティングなどの進捗管理や、レビューなどの品質管理といった、管理業務にかかる工数を見積もる |
3.実作業工数を見積もる |
1のあと |
・プロジェクト達成までの実作業にかかる工数を見積もる |
4.クライアントに見積もり内容を提示し、精査する |
社内での見積もり作成後 |
・見積もり内容をクライアントに提示し、数値の根拠や詳細の説明を行う ・必要に応じて見積もりを修正する |
5.実作業を開始し、工数実績を入力していく |
プロジェクト開始後 |
・プロジェクトが開始したら、作業工数を記録していく |
6.工数を分析する |
プロジェクトの節目、またはプロジェクト終了後 |
・見積もったスケジュール通りにタスクが進行しているかをチェックする ・プロジェクトでボトルネックとなっている部分を洗い出し、修正などを加える |
工数の見積もり作成から実作業までの工程の中で、特に注意すべきポイントは以下のとおりです。
- 見積もりの事前準備をおろそかにしない(クライアントとのコミュニケーションをどうするかや、トラブルがあったときにどのように対応するかなど細かな部分まで考えるなど)
- 作業だけでなく「ミーティング」や「クライアントとの打ち合わせ」といった管理工数も可能な限り正確に見積もり、根拠を提示できるようにしておく
- 工数の実績は正確に入力する
コミュニケーションや打ち合わせなどの工数を細かく見積もることは難しい場合も多いので、日々の工数管理をしっかりと行い、過去の実績を参照できる状態にすることがおすすめです。
これらのポイントを意識して工数見積もり・工数管理をすれば、工数データの信頼性は向上します。工数管理ツールなども活用しながら、精度の高い見積もりを作成してみましょう。
工数の見積もりに使えるツールとは
工数を見積もる際に使うツールとして代表的なのは、「エクセル」か「工数管理ツール」です。
それぞれの使い方や特徴、メリット・デメリットを解説します。
エクセルで工数を見積もる
エクセルでWBSとガントチャートのテンプレートを作成すれば、工数の見積もりに活用することができます。
例えば上記の画像のような表であれば、「タスク」の列に細分化したタスク内容を入力し、「計画」の列に見積もった期間を入力することでプロジェクトの工数を見積もることが可能です。
プロジェクト進行中に「計画(H~J列)」と「実績(K~M列)」をしっかり記入していれば、今後はそれを実績として参照することもできます。
以下の記事では上記ガントチャートのテンプレートがダウンロードできます。また自作する場合の作成方法も解説しているので、エクセルで工数を見積もりたい場合は是非参考にしてください。
工数管理をエクセルで!表の作成方法や使い方・テンプレートを紹介
エクセルの場合、無料でガントチャートを作れることがメリットです。一度ガントチャートのテンプレートを作成してしまえば、見積もりだけでなく工数実績を管理する際にも活用できます。
一方で、共同編集や共有が難しい点がデメリットです。また、同じ表の中でコストの計算も含めるとなると複雑な関数が必要になり、自作や無料テンプレートでは作成が難しい可能性があります。
工数管理ツールを使って工数を見積もる
工数管理ツールとは、その名の通りプロジェクトの工数を把握・改善するためのツールです。
例えば以下の機能を活用することができます。
- プロジェクト管理機能(WBS、ガントチャート)
- プロジェクト予実管理機能
- 過去の工数実績の分析機能
- 過去の工数実績の出力機能
工数管理ツールを使用するメリットは、工数の集計を自動で行ってくれる点や、過去の実績を引き出しやすいことが挙げられます。工数の分析機能も豊富なため、どのタスクが遅延しやすいのか、どういったケースに遅延が発生しやすいのかなど、見積もりの際に予測を立てることも可能です。
一方デメリットは、一部の無料ツールを除いて月額費用が発生する点です。
とはいえ、工数管理ツールを使うことで正確な工数データを蓄積することができ見積もりの精度向上に役立てることができるため、結果的には利益率の改善に繋がるケースも多いです。
自社の工数見積もりや工数管理の課題と照らし合わせ、課題解決に役立つ場合は工数管理ツールの使用を検討してもよいでしょう。
工数管理ツールの詳細
工数の実績が正確に管理できておらず、見積もりに活かせないと感じている場合は、工数管理ツールの導入を検討してみましょう。
例えば工数管理ツールには、正確に工数を管理するための以下の機能があります。
正確に工数入力するための機能 |
工数実績を効率よく管理・分析する機能 |
---|---|
|
|
※機能の有無は製品によって異なります
特に勤怠システムと工数を紐付ける機能は、工数を正確に把握するために非常に有効です。勤怠と工数を紐付けると工数が勤務時間の範囲内でしか設定できなくなり、不整合がなくなるからです。
工数管理ツールの費用相場は、以下のとおりです。
相場 |
説明 |
|
---|---|---|
初期費用 |
0円~200,000円 |
導入時に一度だけかかる費用 |
月額費用 |
1ユーザーあたり300円~1,000円 |
ユーザー数に応じて毎月発生する費用※製品によって異なる場合があります |
製品によっては、追加料金でオプション機能が付帯できるものもあります。
次からは、見積もり精度の向上に役立つ工数管理ツールを2つ具体的に紹介します。
おすすめ製品1.チムスピ工数(+チムスピ勤怠)
特徴や主な機能 |
など |
---|---|
初期費用 |
150,000円 |
月額費用 |
チムスピMixで「チムスピ勤怠」「チムスピ工数」を導入した場合 1ユーザーあたり600円~(50ライセンスから利用可能) |
チムスピ工数の特徴は、直感的かつ正確な工数入力ができように工夫されている点です。工数入力には、以下の方法があります。
- スライダーを横に動かすだけで直感的に工数を入力できる機能
- 勤怠管理機能で取得した労働時間の範囲内で、各タスクやプロジェクトに使った時間の割合を指定して入力できる機能
- OutlookカレンダーやGoogleカレンダーを同一画面に映し、見比べながら入力できる機能
▼スライダーを横に動かすだけで直感的に工数を入力できる機能
つまみを左右に動かすことで、直感的に工数の入力が行えます。
また以下のように、画面右側に「1日の労働時間の何%をそのタスクに使ったか」を入力するだけで、工数を入力することもできます。
▼労働時間の範囲内で、各タスクやプロジェクトに使った時間の割合を指定して入力できる機能
例えば1日の労働時間が8時間だった場合に、40%(3.2時間)をプロジェクトAに、60%(4.8時間)をプロジェクトBに、といった形で指定することで自動で労働時間を算出し、簡単に工数入力を行えます。勤怠と工数の数値が整合するため、正確な情報を取得できます。
▼OutlookカレンダーやGoogleカレンダーを同一画面に映し、見比べながら入力できる機能
カレンダーとの連携機能では、スケジュールから工数を自動で割り当てることも可能です。
このように、なるべく工数入力が負担にならないような工夫が施されているため、日々の入力を習慣化することができ、より正確な工数情報を取得できます。
また取得した工数情報は、Salesforce(セールスフォース)を基盤とした分かりやすいダッシュボードで分析することができます。過去の工数実績を分析することで、新たなプロジェクトの見積もり精度を高めることができるでしょう。
おすすめ製品2.クラウドログ(CrowdLog)
※引用:クラウドログ公式サイト
特徴や主な機能 |
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---|---|
初期費用 |
要相談 |
月額費用 |
要相談 |
ガントチャートやタスク管理といったプロジェクト管理機能が充実しているため、ボトムアップ法で見積もり精度を高めたいと考えている場合におすすめのシステムになっています。
プロジェクトの工数予実をリアルタイムに把握することができるので、都度見積もりの内容と照らし合わせながらプロジェクトを進めることができるようになります。
工数管理ツールにはほかにもさまざまな製品があります。選び方や自社に最適なツールが知りたい場合は以下の記事も参考にしてください。
工数管理ツールのおすすめ8選を一覧比較|機能や費用を確認しよう
まとめ|工数の見積もり精度を上げるには、日頃から正しい工数を取得することも重要
工数の見積もり精度に課題がある場合、以下の手法を取ることでより正確な見積もりを作成することができます。
- プロジェクトのタスクを細分化して、各タスクの工数を見積もる
- 三点見積もり法や過去の実績を用いることで、バッファをもたせた見積もりを行う
- 普段から正確に工数管理を行い、過去実績を見積もりに活かせるようにする
工数を見積もる方法は、プロジェクトの規模や形態、担当者のレベルなどによっても適切なものが変わってきます。
基本的には、どんな見積もり作成の場面にも役立つ「過去の工数の実績」を正確に管理することで、見積もりの精度を上げることを目指すとよいでしょう。
勤怠管理の基本を改めてチェックしてみませんか?
- 勤怠管理の基本的なルールの理解や実務の知識が乏しく、不安がある
- 勤怠管理の目的など基本的なことを知りたい
- 勤怠管理を適切に実行する上で、自社の課題も把握しておきたい
このような人事労務担当者に向けて、「ゼロから始める勤怠管理」の資料を無料で配布しています。
人事労務担当者なら知っておきたい、適切な勤怠管理の必要性や労働時間の基本ルールについて解説していますので、これから適切な勤怠管理を導入・運用しようと考えている方は、ぜひ本資料をお役立てください。
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