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基礎知識

原価管理とは|目的や必要性・手順を具体例付きで解説

著者:チームスピリット編集部

原価管理とは、商品やサービスを提供する際の原価を正確に把握し、維持や見直しを行うことを指します。

  • 原価管理とは具体的に何をするのか、正しく行うことでどんなメリットがあるのかを確認したい
  • 実際に原価管理を行えるように、やり方や全体像を確認したい

このような方も多いのではないでしょうか。

原価管理は、家計に例えると「家計簿をしっかりと付け、支出の把握と見直しをすること」に近い考え方です

モノの製造やプロジェクトの完了までに、何にいくらの費用がかかっているのかを把握し見直すことで、利益率の改善策を考えられます。

本記事では、原価管理の必要性と、それを効果的に実行する手法について分かりやすく解説します。

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原価管理とは

原価管理とは、商品やサービスを提供する際の原価を正確に把握し、利益の最大化を図るための手法やプロセスを指します。

そもそも「原価」とは、製品やサービスを提供するために必要な費用のことを指します。詳しくは後述しますが、具体的には材料費、労務費、間接費などの合計額となります。

まずは原価管理についてイメージしていただくために、簡単な具体例から説明していきます。

BtoBの原価管理の具体例

まずはBtoBの原価管理例について説明します。

例えばホームページ制作会社が企業のホームページ制作を行う場合にかかる主な原価は、人件費とソフト・サーバー費用です。

直接労務費

直接経費

人件費

・開発ソフト代

・直接経費

人件費は「各メンバーの工数単価×稼働時間」の合計で算出します。ここでは、プロジェクトマネージャー、プログラマー、デザイナーの人件費が合計で100万円だったとします。

さらに開発ソフトとサーバー費用で20万円だとした場合、合計原価は120万円となります。

※人件費の部分を直接労務費といい開発ソフトとサーバー費用のことを直接経費といいます。

このように原価を算出することができれば、

  • 得たい利益を確保できるように販売価格を調整する
  • 基準となる原価を上回っていないかを確認しながらプロジェクトを進める

といったことができるようになり、結果として適切な利益率の維持、もしくは改善が期待できます。

BtoCの原価管理の具体例

次に、BtoCの原価管理の例を簡単に説明します。

例えばカフェを経営しているとします。そのカフェで人気の「キャラメルマキアート」を1杯作るのに必要な原価がエスプレッソが50円、ミルクが30円、キャラメルシロップが20円だとすると、原価の合計(直接材料費)は100円です。

原価合計がわかれば、商品の価格をいくらに設定すれば、利益を確保できるかという判断が行えます。

ただし厳密にいうと、ホームページ制作やキャラメルマキアートの原価は今説明した直接費(直接材料費、直接労務費、直接経費)だけではありません。

なぜなら、他にも間接費と呼ばれる費用が原価の中には含まれるからです。

それでは次に間接費を含めた原価の種類について詳しく解説します。

そもそも原価とは?原価の3つの種類

原価の種類は、主に材料費労務費、経費の3つに分けられます。

さらに、材料費は直接材料費間接材料費に、労務費は直接労務費間接労務費に、経費は直接経費間接経費に分かれます。

材料費

直接材料費

材料費、買入部品費など

間接材料費

補助材料費、(工場)消耗品費、消耗工具(器具)備品費など

労務費

直接労務費

直接的に製造に関与した労働者への賃金など

間接労務費

間接的な作業に対する賃金、給料、退職給与引当金、福利厚生費、法定福利費など

経費

直接経費

外注加工費など

間接経費

光熱費、通信費、租税公課、旅費交通費など

以下にわかりやすいようにコーヒー店の原価を例に挙げて表にまとめました。

直接費

間接費

材料費

製品の製造に直接使用した原材料

例:コーヒ豆、ミルク、シロップ、水など

製品を製造する過程で使われるが、特定の製品や作業に直接的に割り当てるのが難しい材料のコスト
例:紙コップ、ストローなど

労務費

製造作業に関わった人件費など

例:実際にコーヒーを入れる従業員の給与など

直接は製品の製造に関わっていない従業員の人件費など

例:監督者やマネージャーの給与など

経費

製品を作るために直接的に関わる経費(直接材料費と直接労務費に該当しないもの)

例:器具の減価償却費など

特定製品への使用を明確にするのが難しい経費

例:電気代、ガス代、保険料など

直接費は販売している商品そのものに関わる原価であり、間接費は製品そのものに直接関わらないものの、商品を販売する上で必要不可欠な原価ということができます。

原価管理を行う際は、このように自社の製品を販売するうえで何が原価になるのかを正しく把握しておかなくてはいけません。

原価管理の目的と必要性

原価管理の目的は、コストを正しく把握すること、さらにはコストを削減し利益率を向上させることにあります。

例えば、先ほどのカフェの例ではキャラメルマキアートの原価は直接材料費しか含まれていませんでした

しかし実際には、従業員やテナント代、光熱費などの間接費も原価に含まれます。間接費も考慮しなければ、適正な販売価格を決定できません。

原価管理を適切に行わずに販売価格を設定した場合、利益を確保できず赤字経営に傾いてしまう危険性や競争力が低下してしまう可能性もあります。

次の章で、具体的に、原価管理をすると何が良いのか、3つのメリットを解説していきます。

原価管理を行う3つのメリット

以下に原価管理を行うことで得られる3つのメリットについて解説します。

メリット1:損益分岐点を把握することができる

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損益分岐点とは、売上高と費用の額がちょうど同じになるポイントのことをいいます。

損益分岐点では、利益も損失も出ていない「利益ゼロ」の状態になります。

例えば上記の画像の場合、テナント代や光熱費などの固定費に加えて変動費(仕入代など)などが積み重なると、費用のラインが上がり、損益分岐点が高くなります(利益を出すために、より大きな売上が必要になります)。

原価管理を行い、何にいくらかかっているのかを整理することで、損益分岐点を把握し、より具体的な原価目標を立てやすくなります。

メリット2:利益率の改善策を考えられる

原価管理を適切に行うことで、原価が実際にどれだけかかっているかを正確に把握でき、利益率を向上させるための策を考えられます。

例えばコーヒー1杯の販売価格が500円で、その原価(豆、水、電気、カップなど)が300円だとすると、コーヒー1杯あたりの利益は200円となります。しかし原価管理を行ったところ、原価の内、コーヒーを販売するためのカップが占める割合が大きいことが判明したとします。

その対策として、顧客に再利用カップの使用促進やマグカップを使ってもらうなどの手段を取ることで、利益率の向上を図れるでしょう。

また、戦争や災害などの影響で光熱費価格が上昇しているような場合、原価が上昇する可能性が高いため、適切に上昇分のコストを把握し、販売価格に反映する必要性があります。

メリット3:価格競争で優位に立つことができる

原価管理を適切に行うことで販売価格を下げることができ、価格競争で優位に立てる可能性があります。

緻密な原価管理を行うことで、「どこまでコストを下げれば利益が出るか」「どのコストを削減できるか」を検討することができます。

販売価格の安さは、差別化を図るための手段の1つであり、顧客から選ばれるために重要なポイントとなります。

同じ内容の商品またはサービスであれば、基本的に顧客は販売価格が安い方を選ぶことが多いため、原価管理を適切に行い、コストを削減することが重要です。

このように原価管理はコスト削減以外だけでなく売上アップにも良い影響を与える可能性があるのです。

原価管理は業種によって異なる

原価管理は業種によってかかるコストの種類や性質が異なります。そのため、原価管理で重視するポイントも業種によって異なってきます。

ここでは、製造業・小売業・IT業の3つの業種について、原価管理のポイントを解説していきます。

製造業の原価管理のポイント

製造業とは1から原材料や部品を加工・組み立てて製品を生産する業種です。

製造業の原価管理のポイントは、「間接費の配分を適切に行う必要がある」という点にあります。

間接費は製品ごとに明確には分けられないため、適切な配分方法を考える必要があります。間違った配分は製品の原価を歪め、誤った判断を引き起こす可能性があるため注意が必要です。

例えば、自動車メーカーが「高級車A」と「一般車B」を製造しているとします。「高級車A」は高性能で製造が複雑であるため製造に時間がかかる一方で「一般車B」はシンプルな設計であるため迅速に製造可能だとします。

これらを考慮せずに間接費(現場に関わっていないマネージャーの労務費など)を、仮に生産時間に応じて均等に配分するとどうなるでしょうか。「A車」の間接費が過大に計上され、「B車」の間接費は過小に計上されることになります。その結果「高級車A」は実際の利益よりも少ないと誤認され、経営戦略や投資判断に影響を及ぼす可能性があります。

正確な間接費の配分は、製造業における経営判断の基盤となるため、非常に重要です。適切な配分方法を採用することで、企業はより正確な経営判断を下すことができます。

小売業の原価管理のポイント

小売業は製造業で完成した商品を仕入れて販売するスーパーマーケットやコンビニエンスストア、家電量販店などが該当します。

小売業の原価管理上のポイントは2つあります。

在庫リスクがある

小売業は商品を仕入れて販売することが主であるため、在庫を持つことが一般的であり、その在庫のコストが利益を大きく左右します。

例えばスーパーマーケットが過剰に野菜を仕入れて売れ残りが発生し、このロスが原価を上昇させるといったことが考えられます。

このような在庫リスクを無くすためには 需要予測を基に、適切な量・時期での仕入れを行うことで在庫コストやロスを最小化する必要があります。

シーズンやトレンドの影響を受けやすい

小売業は流行の影響を受けるジャンルもあるため、そのトレンドが一過性であった場合や予想以上に市場が飽和してしまった場合には、商品が売れ残るリスクが生じます。

例えば、スマートフォンやタブレットなどの電子製品は比較的短いサイクルで新製品が登場します。特定のモデルを大量に仕入れた後すぐに新しいモデルや機能が登場した場合、旧モデルの需要が急激に低下し、在庫リスクが生じる可能性があります。

以上の点から小売業は、需要を高度に分析して仕入れを行う必要があることが分かります。

IT業の原価管理のポイント

IT業はシステムやアプリなどのサービス開発や、広告代理事業などが挙げられます。システム開発を行うエンジニアや、プロジェクトを進めるメンバーの人件費などが主要な原価となります。

IT業の原価管理のポイント2つについて解説します。

工数管理を適切に行う必要がある

IT業では前述の通り、プロジェクトメンバーの稼働に応じて原価が決まるケースが多いです。

そのため、日ごろから工数管理を行い「誰が」「何に」「どれくらいの時間をかけたのか」を把握することが重要です。

例えば月給40万円の社員が3人月で終えられるプロジェクトにアサインする場合、原価は人件費だけで120万円かかる計算になります。すると見積もりは最低でも120万円以上の金額を提示しなければ、原価が売上を上回ってしまうことになります。

各タスクの工数を入力するための環境作りや、その工数実績を分かりやすく可視化して分析できるツールなどを活用することがおすすめです。

学習コストがかかる

新しいプロジェクトに向けてこれまでとは違うプログラミング言語やツールが必要となる場合、新しい人材を雇うか、既存の従業員に学習してもらうためのコストがかかります。

また学習初期には、新しいプログラミング言語の利用に慣れるまでの間、生産性が一時的に低下する可能性や誤解や知識の不足からミスが発生するリスクも高まります。

この分の追加コストも原価として考える必要があります。

原価管理を行う大まかな手順を3ステップで解説

原価管理は主に次の3ステップで行います。

原価計算の3ステップ

  1. 標準原価計算で理想の予算を算出する
  2. 実際原価計算で実際にかかった原価を算出する
  3. 差異分析で増減分のコストを分析する

つまり、あらかじめ目安となる原価を決めておき、実際にかかった原価を正しく把握したうえで、それらを比較する、という手順を踏みます。

その結果、目安と実績の差を比較することで、ボトルネックの特定や改善策の立案などが行えるようになります。

本章では具体的な手順について、製造業を例に説明していきます。

ステップ1:標準原価計算で理想の予算を算出する

原価計算の最初のステップでは、標準原価(理想のコスト)がいくらになるかを計算します。

標準原価計算とは、生産コストをあらかじめ設定した標準(理想)のコストに基づいて計算する方法です。

例えば、1つの製品を作るのに以下の原価がかかるとします。

直接材料費

単価(1kgあたり)150円の材料が2,000kg必要

→150円×2,000kg=300,000円

直接労務費

・従業員の時給が1,500円

・労働時間が合計100時間必要

→1,500円×100時間=150,000円

製造間接費

・電気代が1時間500円

・機械の維持費が1時間300円

・管理費が1時間200円

・かかる時間が100時間

→(500円+300円+200円)×100時間=100,000円

すると標準原価は、それぞれの合計で550,000円となります

このように、標準原価計算を行うには、直接材料費・直接労務費・製造間接費の3つの標準原価を、過去の実績データや業界の標準・専門家の意見などを参考に決めます。そして、最後にそれらの3つを合計して、製品1個あたりの標準原価を計算します。

すると、次のステップで行う「実際原価」が550,000円と比べてどのような費用になるかを確認することで、目標原価が達成できたかどうかや、目標原価を達成するためにどの部分を改善したらよいかを考えられます。

ステップ2:実際原価計算で実際の原価を算出

次のステップでは、実際に「いくらのコストがかかったか」を計算し、標準原価との差分を確認するための準備をしていきます。

実際原価計算とは、実際に発生したコストを元に製品の原価を計算する方法を指します

例えば、1つの製品を作るにあたって、実際に以下の原価がかかったとします。

実際にかかった原価

標準原価

直接材料費

材料の価格の変動などで320,000円かかった

300,000円

直接労務費

通常よりも早く製品が完成し、140,000円しかかからなかった

150,000円

製造間接費

通常よりも早く製品が完成し、80,000円しかかからなかった

100,000円

合計

540,000円

550,000円

計算により、実際原価は合計540,000円かかったことが分かりました。

ステップ3:差異分析で増減分のコストを分析

標準原価計算と実際原価計算の間には差異が生まれます。

この差異の原因を分析することで、生産活動の効率や原価管理の状況を評価し、改善することができるようになります。

実際にかかった原価

標準原価

直接材料費

320,000円

300,000円

直接労務費

140,000円

150,000円

製造間接費

80,000円

100,000円

合計

540,000円

550,000円

ここからは、標準原価と実際原価の差異を理解するため、内訳ごとに差異を確認していきます。

3-1:直接材料費の差異を分析する

実際にかかった原価

標準原価

直接材料費

320,000円

300,000円

直接材料費に差異が出た場合は、主に以下の要素を確認します。

  • 価格
  • 消費量

例えば、仕入先との交渉がうまくいかない場合や為替レートの変動などにより、価格が上昇又は下落することが考えられます。

また、デザインの変更や製造過程でのロスが発生し、実際にはもっと多くの材料が必要になった場合などは、その分材料の消費量が増えるため、直接材料費が高くなってしまいます。

3-2:労務費の差異を分析する

実際にかかった原価

標準原価

直接労務費

140,000円

150,000円

直接材料費に差異が出た場合は、主に以下の要素を確認します。

  • 賃率
  • 作業時間

例えば、労働者全員が一律の時給ではないため、賃率改定や残業代の支給などによって実際賃率は変動することがあります。ある労働者が病気で休み、その分の人件費が発生しなかった、もしくは他の労働者が効率よく作業を進めて時間を短縮した結果、労務コストが節約されることもあります。

また、新人とベテランでは同じ業務を行うにしてもかかる時間が異なりますし、人的要因以外にも機械の故障による時間ロスが起こった場合などは、直接労務費が余分にかかってしまうこともあります。

3-3:間接費の差異を分析する

実際にかかった原価

標準原価

製造間接費

80,000円

100,000円

製造間接費に差異が出た場合は、主に以下の要素を確認します。

  • 予算
  • 操業度

経営計画などで事前に設定した間接費の予算と、実際にかかった間接費の金額に差が出ることがあります。

例えば月々の事務所の光熱費(電気・水道・ガスなど)の予算を10万円と設定したが実際には月の光熱費が8万円だった場合は、2万円のコストがかからなかったこととなります。

この予算差異をチェックすることで、間接費が計画より多くかかっているのか、それとも節約できているのかを知ることができます。そして、その原因を探求し、今後の経営改善の手がかりとすることが可能です。

次に「操業度」とは、生産・販売可能な規模や能力に対する、実際の利用割合のことを指します。

例えば、ある工場では製品を月間は1,000個製造できるとします。そして固定製造間接費(機械の維持費や管理費など)の標準額が100,000円とされている場合、単位あたりの固定経費は100,000円÷1,000単位= 100円となります。

ここで、ある月に工場が実際に生産した量は900個(操業度90%)だった場合を考えてみます。

「900個(実際の生産量)−1,000個(標準操業度)」×100円/単位=−10,000円となり、これは不利な操業度差異が生じたことになります。

よりわかりやすく説明すると、本来1,000個作れたところ900個しか作らなかったため、固定経費の1単位あたりのコストが予想よりも高くなったということです。

このような操業度差異は、生産スケジュールの遅延、機械の故障、原材料の供給不足など、生産活動に関連するさまざまな要因によって生じることがあります。

これらの2つの差異をまとめると、標準原価とは事前に設定された予測値であり、実際原価は実際の生産活動を通じて発生したコストです。

両者の間の差異は、価格変動、生産効率、突発的な出来事など、さまざまな要因によって生じることがわかります。この差異を分析することで、生産プロセスの効率化やコスト削減の方向性を見つけ出すことができます。

原価管理を実践する方法

原価管理を実際に実践するための方法について以下に解説します。

なお、原価管理を行う際は、まず目的や目標を明確にしておきましょう。

例えば、材料費削減が目的であれば会計部または経理部などが材料のコスト構造を分析し、原価の振り分けや計算を行うといった対策が考えられます。一方、労務費の削減が目的であれば、人事部が業務のプロセスを見直したり、研修や教育を強化することで生産性の向上を図るなどの対策ができます。

そのうえで、以下のような手段で原価管理を行います。

方法1:外部の専門家やコンサルタントの雇用

原価管理が容易な業種の場合には、社内の人材で対応が可能な場合もあるかもしれません。

しかし製造業などの場合は専門的な知識が必要になりますし、業務過多で原価管理まで対応できないといったことも考えられます。

そのような場合には原価管理の専門家やコンサルタントを一時的に雇用して、現状の分析や改善策をアドバイスしてもらうという方法もあります。

方法2:原価管理のエクセルを導入して管理する

原価管理が比較的容易な業種であれば、エクセルで管理する方法もあります。

例えば以下のようなサービスを活用することで、あらかじめ簡単な枠組みなどが記入された、エクセルのテンプレートをダウンロードできます。

「原価」の書式テンプレート|bizocean

ただし、それぞれの原価を正確に把握した上で入力しなければ意味がないため、一般的には「外部の専門家やコンサルタントの雇用」を行って管理するほうが現実的です。エクセルでの管理は、あくまで「原価の把握が容易な製造業以外の業種」向けの方法である点に注意してください。

方法3:原価管理サービスを導入して分析する

原価管理を行う時間や人材が足りない場合は、原価管理システムを導入するという選択肢もあります。従来エクセルで管理していたが、原価計算を「見える化」するためにシステムに切り替える企業も多いです。

原価管理システムとは、原価計算や差異分析・損益の分析などを効率的に行うためのシステムです。例えば以下のようなことが行えます。

  • 原価計算業務を効率化する
  • 実際原価をデータベース化し、分析に活用する
  • 原価計算の仕訳を自動化する
  • 間接費の配分を「見える化」する

製造業・流通業に適した原価管理システムの例

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※引用:FutureStage|株式会社日立システムズ

FutureStageは、株式会社日立システムズが提供している原価管理システムです。「製造業向け」「卸売業向け」「小売業向け」などのパッケージが用意されており、売上や生産にかかった工数・在庫・仕入・債権・債務情報などをタイムリーに把握することができます。

製造業向けの製品であれば、例えば以下のようなことが行えます。

  • 未来在庫の把握と最適在庫のコントロール
  • 生産進捗の管理
  • 総合原価計算による製品、ロット別の原価把握
  • 製番管理による個別部品表の管理
  • 製番に紐づく手配と進捗の管理
  • 個別原価計算方式での製番毎の正確な原価把握 など

プロジェクト型ビジネスに適した原価管理システムの例

teamspirit_kosu.png

※引用:チムスピ工数 | チームスピリット

チムスピ工数は、株式会社チームスピリットが提供する原価管理システム(工数管理システム)です。

主にIT業やプロジェクト型ビジネス(広告代理店や制作会社・コンサルティング業など)を展開している企業が、プロジェクトにかかった人件費などの原価を正しく管理するためのシステムです。

どの作業にどのくらいの人数と時間を費やしたのか(=工数)という情報を取得・分析し、見積もりの作成や利益率の改善に役立てることができます。

例えば以下のようなことが行えます。

  • メンバーごとの作業時間、作業内容を入力することで、工数を管理する
  • 勤怠との連携で、労働時間と工数を一致させる
  • 工数の入力漏れや数値の不整合・プロジェクトの赤字化を察知してアラートを出す
  • プロジェクトやタスクをランクごとに単価を設定する(アドオンが必要)
  • 作業メンバーごとに単価を設定し、プロジェクトの原価を計算する(アドオンが必要)

これにより、プロジェクトの⼯数実績を「見える化」し、見積もりの作成や利益率の改善施策に取り組むことができます。

まとめ|原価管理は個々に適した方法を

原価管理は、商品やサービスを提供する際の原価を正確に把握・見直しを行うための手法です。原価管理を正しく行うことで、何にいくらの費用がかかっているのかを把握し、利益率を改善できる可能性があります。

原価計算の3ステップ

  1. 標準原価計算で理想の予算を算出する
  2. 実際原価計算で実際にかかった原価を算出する
  3. 差異分析で増減分のコストを分析する

つまり、あらかじめ目安となる原価を決めておき、実際にかかった原価を正しく把握したうえで、それらを比較する、という手順を踏みます。

原価管理を正しく行うには、専門知識や複雑な計算が必要になることも多いです。そのため、外部の専門家やコンサルタントに頼ったり、自社事業に適した原価管理システムを活用することが一般的です。

勤怠管理の基本を改めてチェックしてみませんか?

  • 勤怠管理の基本的なルールの理解や実務の知識が乏しく、不安がある
  • 勤怠管理の目的など基本的なことを知りたい
  • 勤怠管理を適切に実行する上で、自社の課題も把握しておきたい

このような人事労務担当者に向けて、「ゼロから始める勤怠管理」の資料を無料で配布しています。

人事労務担当者なら知っておきたい、適切な勤怠管理の必要性や労働時間の基本ルールについて解説していますので、これから適切な勤怠管理を導入・運用しようと考えている方は、ぜひ本資料をお役立てください。

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