働き方改革により、多様な働き方を取り入れる企業が増えています。時代の流れにともない、働き方の見直しを検討している方も多いのではないでしょうか。

しかし、導入した働き方が自社に合わなければ従業員の生産性を落としかねません。まずは、働き方の種類や特徴を知ることが大切です。今回は、多様な働き方の種類や得られるメリット、導入時の注意点について紹介します。

多様な働き方が広がる背景

個々の価値観を尊重して柔軟な働き方を進める背景には、どのような理由があるのでしょうか。

自身の価値観に合った働き方を望む人が増えている

柔軟な働き方が広まった背景に、従業員のニーズの多様化が挙げられます。個々の価値観や状況に合わせて、自分の望む働き方を選択する人が増えているからです。

「仕事で成果を上げたい」「ワークライフバランスを考えて働きたい」など、事情に合わせて働きたい従業員もいます。そのため、仕事内容、働く場所や時間、仕事のかけもちなど、従業員のニーズに合わせた柔軟な働き方が広まりつつあります。

ダイバーシティへの対応が重要視されている

少子高齢化やグローバル化が進む現代では、多様性を受け入れて個々の特性を活かしながら働ける環境を用意することが重要です。

少子化による労働人口の減少が加速するなか、従業員一人当たりの負担は増え続けています。そのため年齢、性別、ライフスタイル、価値観などを活かし、多様な人材を確保することで労働力を補う必要性があるのです。

国も働き方改革を推進し「フレックスタイム制の拡充」「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」など、働きやすい環境を整備することで従業員の定着率アップを目指しています。

従来の働き方の種類

働き方の種類は多種多様で、それぞれの特徴は異なります。ここからは従来の働き方の種類について解説します。

正社員

直接雇用(企業と労働者が直接雇用契約を結ぶ雇用形態)のフルタイム勤務で、雇用期間の定めがないため定年まで働けます。

給与や待遇の面で優遇されている場合が多く、安定性が高いのも特徴です。勤続年数が長くなれば、昇進も見込めるため社会的信用も得やすいでしょう。企業にとっては教育や育成に時間をかけて、有能な人材を育てられるメリットがあります。

契約社員・嘱託社員

直接雇用ですが、正社員と違い雇用期間が定められています。嘱託社員は定年退職後に再雇用された高齢者が多く、契約社員よりも短い労働時間で働く場合が多いです。

専門的スキルや経験を活かして働ける雇用形態であり、企業にとっては必要なタイミングで有能な人材を確保できるメリットがあります。

派遣社員

派遣会社が仲介して、企業に派遣されて働く雇用形態です。給与や勤務・労働条件は、個々の派遣会社によって異なります。

職場によっては時間の融通が利きやすく、専門的スキルを有する場合には月給が正社員よりも多くなる場合もあるようです。企業にとっては、正社員よりもコストをかけずに即戦力となる人材確保につながるメリットがあります。

パート・アルバイト

直接雇用で短時間勤務が多く、主婦や学生が働きやすい雇用形態です。パートタイマーは配偶者の扶養範囲内で働く主婦層が多く、家庭の事情に合わせて勤務しています。

アルバイトは学生やフリーターに多く、幅広い時間帯で勤務可能です。企業にとっては、低コストで必要な人材を確保できるメリットがあります。

近年増えている新しい働き方の種類

近年注目されている働き方の種類について解説します。

テレワーク

ICT(情報通信技術)を活用し、オフィスから離れた場所で業務を行う働き方です。自宅やサテライトオフィスなど、自由に働く場所を選択できます。

労働者の通勤時間がなくなり、育児や家事と両立しやすくなるのも特徴です。企業としては、家庭の事情による離職を防げる、遠方の優秀な人材を雇用しやすいなどのメリットがあります。

フレックスタイム

1ヶ月の労働時間を定め、出勤時間や退勤時間を労働者が自由に決められる働き方です。トータルの労働時間が確保できれば問題ないため、労働者はプライベートの都合に合わせて時間を調整できるメリットがあります。

従業員の自由な働き方を受け入れつつ、コアタイムを設けることで業務を効率良く進めることが可能です。コアタイムに顧客とのやり取りや会議を組み込むことで、必要な時間に従業員を集められるでしょう。

短時間正社員

短時間正社員とは、正社員でいながら短時間のみ就業できる雇用形態です。3歳未満の子どもを育てる従業員や、介護が必要な家族がいる従業員に適用される短時間勤務制度とは異なります。

短時間正社員のメリットは、ワークライフバランスがとれた働き方をしながら、安定した雇用も維持できることです。

企業にとっては、家庭の事情による離職を防止できることに加えて、優秀な人材の確保や採用コストの削減、従業員のモチベーションアップが期待できます。

業務委託

業務委託とは、企業が雇用関係のない労働者へ仕事を依頼し、業務を遂行することで報酬が支払われる働き方です。依頼を受けたフリーランスの労働者は、企業と業務委託契約を締結します。

労働者は場所や時間に縛られずに自由に働けるメリットがあります。オンラインのみで完結できる業務であれば、余分な時間や手間もかかりません。

業務委託を活用すると、専門的なスキルをもつ人材を必要なタイミングで確保できるようになります。

多様な働き方の導入により得られるメリット

多様な働き方を導入することで、従業員と企業が得られるメリットについて解説します。

従業員が得られるメリット

フレックスタイムやテレワークを活用すれば、ライフワークバランスがとれた働き方ができます。無理なく働けるため、育児や介護などプライベートな時間も確保できます。

本業を活かした副業を行えば、スキルアップも可能です。さまざまな知識を身に付けることができて年収アップも見込めるでしょう。

企業が得られるメリット

多様な働き方を導入すると、家庭の事情や居住地が遠方で勤務が困難な従業員でも働きやすくなります。そのため従業員の離職を防ぐことができ、優秀な人材を確保しやすくなるでしょう。

通勤時間の削減やストレスの軽減により、従業員のモチベーションが高まれば生産性の向上も期待できます。専門的なスキルをもつ人材に必要なタイミングで依頼できるメリットもあります。

多様な働き方を導入する際のポイント

多様な働き方を導入する場合、評価制度やセキュリティ対策などを検討する必要があります。スムーズに導入できるように、以下のポイントを押さえておきましょう。

評価制度を見直して明確にする

従来の評価制度を見直して、個々の目標達成度による評価の基準を明確化する必要があります。テレワークやフレックスタイムなど、労働時間や業務範囲が異なる従業員同士が一緒に働くことになるため、従来の評価基準では判断しかねる部分が生じるためです。

セキュリティ対策を強化する

働く場所が自由に選べたり、さまざまなデバイスからアクセスできたりすると、ウイルス感染や不正アクセス、情報漏洩などのセキュリティリスクが高まります。

ツールの導入によるセキュリティ対策を施すことはもちろん、従業員の意識向上も重要です。

社内全体で同じ目的・意識を共有する

コミュニケーションの取り方や仕事の進め方など、それぞれが働きやすいように従業員同士で協力しあい、心地良く仕事できる環境を整えることが大切です。

協力体制が構築できていれば、体調不良や家庭の事情などにより仕事が滞りそうになった場合でも、お互いに補完しあうことができます。多様な働き方をスムーズに導入するために方向性を統一し、全従業員で共有することが大切です。

まとめ

多様な働き方を導入して労働者と企業がお互いにメリットを得られれば、離職率の低下や生産性の向上につながるでしょう。

しかし、フレックスタイムやテレワークなどの導入により、勤怠管理が困難になるケースもあります。また、勤務時間の複雑化や勤務態度が見えないなどの課題もあるでしょう。

多様な働き方をスムーズに導入するために、業務効率化をサポートする「TeamSpirit」の活用をご検討ください。「TeamSpirit」では、労働時間の推移の可視化による、従業員の状況把握も可能です。