フィードバックを効果的に活用すると、部下の成長につながり、組織全体の活性化が期待できます。人材育成の手法のひとつに、ポジティブフィードバックを取り入れたいと考えている企業も多いのではないでしょうか。
ポジティブフィードバックを取り入れると、部下のやる気を高め、信頼関係の構築に役立ちます。そこで今回は、人材育成におすすめのポジティブフィードバックの方法を紹介します。
ポジティブフィードバックとは
人材育成においては、ポジティブフィードバックが有効です。ここからは、ポジティブフィードバックの考え方や注目されている理由を解説します。
ポジティブフィードバックの考え方
フィードバックとは、相手の行動で改善が必要な点や評価を伝えて、軌道修正をしていく方法です。
特に、ポジティブフィードバックでは、業務上で感じた相手の良い面に注目し、前向きな内容になるように改善点を見出します。例えば「会議で積極的に発言してくれたおかげで、活発に意見交換ができた」と、相手のやる気を引き出すのが特徴です。
一生懸命に取り組んだ仕事を肯定されると、承認欲求が満たされます。さらに成長したいと思えるようになり、仕事に対する意欲が高まるでしょう。
なぜポジティブフィードバックが注目されるのか
ポジティブフィードバックが注目されている理由は、ネガティブな要素が緩和されて、モチベーションを高められるからです。
ビジネスにおけるフィードバックはネガティブなものが多く存在します。モチベーションが上がりにくくなり、生産性も低下してしまうでしょう。
その点、ポジティブフィードバックを行うと、モチベーションの改善につながります。好循環を生み出せるため、人材育成に取り入れられる場面が増えているようです。
ネガティブフィードバックとの違い
相手の行動の問題点を指摘するネガティブフィードバックは、ポジティブフィードバックと対極的な考え方です。
悪い面から改善点を見出すことが多いネガティブフィードバックの場合、ダイレクトに直すべき点が伝わります。そのため、部下の成長を促すとともに、立て直しを図る際に有効な手段といえるでしょう。
しかし、ネガティブフィードバックは、伝え方を誤ると叱責や批判的な内容に捉えられてしまい、部下にストレスを与える原因となるため注意が必要です。
ポジティブフィードバックを取り入れるメリット
この項目では、ポジティブフィードバックを取り入れる4つのメリットを紹介します。
モチベーション向上につながる
自己評価だけでは気づかない良い部分を客観的に伝えてもらえるため、受け手側のモチベーションアップにつながります。
ネガティブフィードバックは成長を促す反面、受け手側によってモチベーションが低下する場合も考えられます。ポジティブフィードバックの比率を増やし、ネガティブフィードバックとバランスを取りながら進めると、従業員のやる気を引き出せるでしょう。
高い期待を受けていると、その期待に応えようと頑張る人は多いものです。ポジティブフィードバックを行うことで、従業員の自信につながり、主体的な行動が増えます。褒められることで承認欲求が満たされて、仕事のパフォーマンスも高まるでしょう。
上司と部下の良い関係を築きやすくなる
ポジティブフィードバックは、基本的に相手を否定しません。頭ごなしに否定するのではなく、褒めた上で改善点を伝えるため、受け手側もフィードバックを受け入れやすくなります。こまかな点まで理解してくれていると従業員に伝わり、安心感や信頼感を得やすくなるのです。
また、ポジティブに伝わるため、人間関係を悪化させずに済むのもメリットのひとつです。相手の努力や成果を認められると、コミュニケーションの機会も増えるでしょう。
話しやすい雰囲気であれば、報告・連絡・相談もしやすくなり、トラブルを未然に予防できるようになります。従業員エンゲージメントも高まり、職場の定着率も良くなるでしょう。
部下の強みや成長に気づきやすくなる
ポジティブフィードバックを行うには、上司が部下の様子をしっかり観察する必要があります。良い部分を探そうとするため、仕事のプロセスや取り組み方などのこまかな点に気づきやすくなります。部下の新たな強みも発見しやすくなるでしょう。
自分の強みを客観的に把握し、仕事に活かすことができれば、組織全体に良い影響を与えられます。また、部下の強みや弱みが分かれば、適性を活かした人材配置もしやすくなります。能力が発揮できる部署へ移動すれば、活躍の場面も増えるでしょう。
部下が弱点を克服しやすくなる
部下が気づいていない良い部分を的確に伝えられるのが、ポジティブフィードバックのメリットです。弱点だと思っていたことでも、客観的に見ると良い部分が隠れている場合もあります。
苦手意識があると、「現状維持で良い」「失敗したくない」「努力が無駄に思えてしまう」など、ネガティブに傾きがちです。
しかし、ポジティブフィードバックで従業員の自信につながれば、新しいことに挑戦する意欲が湧いたり、努力を継続したりできるようになります。自分に自信がつけば苦手意識を取り除くきっかけになるでしょう。
ポジティブフィードバックを行う際のポイント
ポジティブフィードバックは良い評価が中心となるため、現状に満足してしまう可能性があります。ここからは、ポジティブフィードバックを行う際のポイントを解説します。
良いところは具体的に伝える
ポジティブフィードバックでは、良かった点を具体的に伝えることが大切です。
「会議で積極的に発言し、多くの意見を取りまとめてもらえて助かりました。仕事の進捗もまとめて情報共有してもらえたので、滞りなく進められました」と、部下の頑張りを具体的にフィードバックすることで、モチベーションアップや成長につながります。
「このプロジェクトは、〇〇さんの頑張りがあったから成功した」と、フィードバックが漠然としていると部下に伝わりにくくなるため、関連性が低い部分ではなく明確に伝える必要があります。
また、良い習慣や行動が継続できている場合は、適宜フィードバックを行いましょう。後で伝えようと思っているとタイムラグができてしまい、相手も褒められている内容に実感が湧きにくくなる場合があります。気づいた点は、その都度伝えるようにしましょう。
結果に結びついたアクションを伝える
目標の実現に結びついた行動を具体的にフィードバックすることで、従業員は自分のやり方の答え合わせができます。
「積極的な意見交換や情報共有により、円滑に進めてくれました」と、行動と結果を分けずに褒めることも重要です。言動によって得られた効果や影響などに着目しましょう。
成果につながった内容を具体的に伝えることで、「自分の行動は間違いではなかった」と部下が認識できるようになり、組織に貢献できたという実感が湧くようになります。
未来に対する課題もアドバイスする
ポジティブフィードバックを行う上で、改善点は見えてくるものです。そのため、褒めるだけではなく、未来に向けたアドバイスを行うことで、従業員のレベルアップも図ることも大切です。
例えば、「〇日までに、イラストを用いた資料を作成する」と、見やすい資料にするためにイラストを取り入れることを提案し、課題とすることもできます。現状を維持すべきか、あらたな行動を取るべきかなど具体的にアドバイスするのがポイントです。
まとめ
ポジティブフィードバックは、従業員のモチベーションを高め、職場内での人間関係の構築に役立ちます。上司は部下の良い部分を見つけ出そうとするため、小さな変化や成長に気づきやすくなります。
ポジティブフィードバックのポイントとして、具体的に良い面を褒めたり、結果に至るまでの行動をフィードバックしたり、未来への課題をアドバイスに取り入れると良いでしょう。