テレワーク下でコミュニケーションが不足する原因
まずは、テレワーク下でコミュニケーションが不足する原因を解説します。
意識的にコミュニケーションを取ろうと努めていても、オフィスワーク時に比べて頻度が下がってしまう理由を探っていきましょう。
コミュニケーション機会が減る
テレワーク中は、業務上必要な情報共有が多くなるため、業務関連のコミュニケーションに偏りやすくなります。
また、相手の顔が見えないテレワーク下では、「相手の業務の邪魔になるのでは?」とやりとりを遠慮してしまいがちです。
そのため、業務外のコミュニケーションが減ってしまいます。ちょっとした愚痴を吐いたり悩みを相談したりする雑談の場がなくなってしまうのです。
新しいコミュニケーションツールに慣れていない
チャットやオンラインミーティングなど新しいコミュニケーションツールに慣れていないと、コミュニケーションの取りにくさを覚えることがあります。
特にチャットでは、挨拶のない短文や絵文字を使ったやり取りが中心です。使い方に慣れずうまくコミュニケーションが取れないと、ストレスが増えるうえやり取りそのものが面倒になってしまいます。
結局、「電話のほうが早い」と感じて電話ばかりのコミュニケーションになるケースも少なくありません。ツールを導入しても、使いこなせないと期待通りの効果が得られないので注意が必要です。
タイムラグや認識のずれが生じやすい
テレワーク下でのコミュニケーションでは、質問に対する返答が来るまでにタイムラグが生じます。
そのため、オフィスワーク時のような「今ちょっといい?」から始まる円滑なコミュニケーションが困難です。返事が来るまで手が空いてしまうなど、生産性を下げる要因にもなります。
また、文章でのやりとりは細かなニュアンスが伝わらず認識のズレが生まれたり、情報の抜け・漏れが生じたりする場合があります。
円滑なやりとりが難しいことから、さらにコミュニケーションが不足する状態に陥ってしまうかもしれません。
【テレワーク】コミュニケーション不足にまつわるリスク
ここでは、社内のコミュニケーション不足によって生じるリスクを紹介します。課題を見直すために改めて確認してみましょう。
業務ストレスの増加や生産性の低下
コミュニケーション不足によって業務の抜け・漏れや認識のずれが続くと、業務ストレスが増大します。
たとえ小さなトラブルであっても、解決には時間も労力がかかるものです。定期的に取引先へ頭を下げたり、トラブル解消のために思わぬ残業が発生したりする日々が続けば、自ずと生産性は低下します。
生産性が低下したまま業務し続けると、チーム全体の目標達成も遠ざかってしまうでしょう。社内全体の士気の低下も招きかねません。
信頼関係の構築が困難になる
コミュニケーション不足によりお互いの意思疎通ができないと、社員間の信頼関係が損なわれます。「言っていることがなぜ伝わらないのか」「この前伝えたことが徹底されていない」など不信感が募り、上司や同僚を嫌いになってしまうおそれもあるのです。
社員の孤独感が強まり、帰属意識が希薄になると、当然ながらエンゲージメントも下がります。最終的に「このチームにいる意味はない」と見限られてしまい、退職につながるケースもあります。
また、企業文化の継承やナレッジの共有ができないなど、目に見えにくいデメリットも発生しやすくなります。
評価や運用体制に不満が高まる
テレワーク中のコミュニケーションが不足すると、社員の勤怠状況や進捗を把握しづらくなり人事評価にも影響を及ぼします。
思うように昇進・昇格できずモチベーションが低下したり、オフィスワーク中の社員と格差が生じたりすることも少なくありません。
結果的に人事評価や運営体制に対する不満が募り、会社全体への信頼度が下がるおそれがあります。
特にバックオフィス部門やサポート部門は、業務を定量評価しにくいため、テレワーク導入には注意が必要です。既存の人事評価基準がテレワーク環境に適用できないケースもあるので、事前の見直しが求められます。
テレワーク下のコミュニケーション不足を解消する方法
ここでは、テレワーク下のコミュニケーション不足を解消する方法を紹介します。
自社の文化に合った施策を取り入れ、ストレスのないコミュニケーションを取れる仕組みを構築できるよう工夫しましょう。
コミュニケーションツールを活用 する
まず、従来のやり方に近いコミュニケーションツールを導入し、円滑に情報共有できる環境を整備することが大切です。
コミュニケーションを促進するツールとして、下記のようなものが挙げられます。
・チャットツール
・オンラインミーティングツール
・社内SNS
・グループウェア
・バーチャルオフィス
・プロジェクト管理ツール
・ナレッジ(ノウハウ)共有ツール
・オンライン社内報
・オンラインワークスペース
コミュニケーションツールを導入するときは、機能面の精査が必要になります。例えば、コミュニケーションに特化するあまり、ファイルやデータをやり取りしづらい場合があるためです。導入実績などから、自社に合った機能が備わっているか確認しましょう。
また、運用方法にも目を向けることが重要です。マニュアルやルールを整備してコミュニケーションしやすい環境を整えれば、最大限の効果が発揮されやすくなります。
1on1ミーティングを実施する
1on1ミーティングとは、マネージャーと部下が1対1で行う個人面談のことです。頻度の目安は、週1回から月2回程度です。1対1で話すことで、チームでは発言しづらい日頃の悩みやアイディアを共有しやすくなります。
業務に関する情報共有や指示出しも円滑になり、生産性を担保するきっかけになるかもしれません。「上司が積極的にコミュニケーションしようとしてくれる」という心理的安全性の向上も期待できます。
定期的に業務外コミュニケーションをとる
オンライン会議が始まってから5分間は雑談に専念したり、オンラインでできる社内イベントを開催したりするのもおすすめです。
業務外のコミュニケーションを取ることで、雑談や相談のハードルを下げられ、組織の風通しを良くする効果を期待できます。
また、気軽なやりとりはテレワークにおける孤独感やストレスを解消するきっかけにもなります。
共通の出社日を設定する
定期的に出社日を設け、完全テレワーク化しないこともコミュニケーションを活性化させるポイントです。特にテレワーク用のコミュニケーションツールに慣れていない段階では、リフレッシュも兼ねてオフィスワークの機会を設けましょう。
普段チャット上でしかやりとりしない人とも顔を合わせられるため、テレワーク時でもコミュニケーションを取りやすくなります。
出社日は月末や月初など忙しいタイミングは外し、業務を控えめにしてコミュニケーションに重点を置きましょう。
まとめ
テレワーク下では「積極的なコミュニケーションをしよう」と意識しているつもりでも、いつの間にか最低限のコミュニケーションになってしまいがちです。
定期的な出社制度やツールの導入など、コミュニケーションできるように、ある程度の強制力をもつ対策も検討しましょう。