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ミツワ電機株式会社

創業108年 時代先行を旨とする企業が進める「働き方改革」の実像

事例ポイント

課題

  • 6つの子会社統合にあたり、勤怠管理やワークフローの整理・統一をしたかった
  • 時間外労働の削減と有給休暇の取得率向上を進めたかった
  • 勤怠管理のペーパーレス化を進めたかった

決め手

  • 勤怠管理や電子稟議などを1つのシステム内で完結できる

効果

  • 複数の紙で管理していた勤怠情報の一元化により、作業時間が大幅に削減された
  • 勤怠や経費の二重チェックが不要になった上、入力ミスも減少した
  • 会社全体の働き方が可視化され、今後の人事施策等の打ち手を考えやすくなった

事例概要

機能 勤怠管理, 工数管理, 経費精算, レポート・ダッシュボード
業種 卸売・小売・商社
従業員数 500~999人
特徴 自動化による作業時間の削減, ペーパーレス・脱エクセル, データの見える化・分析

一般的に、設立年数が若い企業ほどIT環境の整備や新たなサービスの導入に対する抵抗は少なく、いわゆる老舗企業や制度体系がしっかりと定まった大企業ほど影響の大きさを鑑み、そうしたチャレンジに積極的になりづらい、とも言われるものだ。

だが、そうした世の中に広がる"一般論"を覆してくれる企業がある。
1910年(明治43年)創業、電設資材商社のミツワ電機株式会社だ。

ビルやマンションなどの大型施設を建設する際に、その電気系統のトータルコーディネートを担う同社は2015年、5代目となる社長に代替わりを果たした。その際、トップメッセージとして掲げられた内容のひとつが「働きやすい職場・働きがいのある職場の実現」だ。

では、実際にどのような取り組みがなされているのか? また、その中で「TeamSpirit」はどう活用されているのか?  ミツワ電機株式会社 代表取締役社長 滝澤健雄氏に話を聞いた。

代表取締役社長 滝澤 健雄 氏

子会社統合で明らかになった課題

2014年、ミツワ電機では、それまであった6つの子会社を統合する大規模な変革が行なわれた。このとき、それまで十数年の間、別々の会社として経営していたこともあり、オペレーションや物事の進め方、理念などが必ずしも一致しない部分が明るみになったという。
「ひとつの会社になったことをきっかけに、改めて『我々の強みはなにか?』と考え、それはやはり『現場力』であり、現場力を高めるには『総合力』の強化が欠かせない、ということになりました」と、滝澤社長は振り返る。

総合力の強化には、人事制度の再整備も含まれていた。現場を支える従業員あっての「現場力」と考えるなら、その判断は当然と言えよう。では、具体的にはどのような制度を実践し始めたのか? 滝澤社長はいくつかの例を挙げてくれた。

時間外労働を減らし、有給休暇を"必ず"取得させる仕組みを導入

まず、着手されたのは勤務体系の統一だ。特にここで重視されたのは、いま一度、労働時間を正しく記録するよう徹底することと、有給休暇取得率の向上だ。後者についての徹底ぶりは、特筆すべきものだと言える。

有給休暇については、やはり取りづらいと感じる部分が現場にはあったようです。特に、地方の営業所、4〜5人の規模では、より『一緒に働いているメンバーに対して申し訳ない』という気持ちが先に立ってしまって、うまく有給休暇の取得ができないというのが実情だったようです。それを気兼ねなく取得できるようにしたのが、『プレミアムホリデー』です」。

プレミアムホリデーの仕組みはこうだ。
営業所、チームや部署内で話し合いをし、上期2日、下期2日を前期のうちに決めて有給休暇取得日を確定させる。事前に計画したその日は、必ず休みとなるわけだ。

これに加え、以前から夏期休日の前後どちらか2日間、有給休暇を取得する制度も実施しているとのこと。この2つの方法で、年度で6日間の有給休暇を計画的に取得できるようになっている。

この考え方は、2019年4月から始まる改正労基法にも通じるところがある。まさに、時代先行の取り組みだと言えよう。

だが、休みたい日が他の人と重複するなどの懸念はあるだろう。これについて滝澤社長は、「現場ごとに工夫してやってくれています。確かに、当初は『そんなことできない』と言う人もいましたが、今は制度が浸透し、そうして有給休暇を取得することが当たり前になってきています。それどころか、休みの日にお互いにフォローし合う動きが出始めていて、非常に良かったな、と感じています」とのことだ。

制度の設計・導入と社員の理解・実践がうまく噛み合った好例だと言えよう。さらに、時間単位や半日単位でも有給休暇の取得を可能とし、より柔軟な制度として運用されていると言う。

「働き方改革」し続けてきた老舗企業がクラウドサービスを導入

このように、各社がこぞって取り組む「働き方改革」を自社流で実践し、自社にとっての最良を見極めているミツワ電機。だが、こうした取り組みを行なうことは、世の中の流れに合わせたものというわけではない。「働き方を世の中に先んじて変えていく」という姿勢は、創業来続けられてきたことなのだ。

たとえば、戦後間もなくから完全無料の「社員食堂」をオープンさせているし、1960年代には「誕生日休日制度」が、1970年代からは「誕生日祝い金制度」が設けられている。また、電設資材業界では、他社に先駆けて「週休二日制」を導入したことも、この会社の「時代先行」を地で行くエピソードだ。

そんな先駆的な企業風土があるためか、クラウドサービスの導入についても「反対する意見は見られなかった」という。

課題を解決するツールがちょうどセットになっていた

現在はすべての社員が利用している「TeamSpirit」だが、この導入を提案した総合企画部のメンバーは「相当よく検討した上で提案してきていると感じた」と、滝澤社長は振り返る。

3〜4つのサービスを経営会議で議論して、その中から「TeamSpirit」を選んだ経緯を滝澤社長は次のように説明した。
「もともとの導入目的は、統合した子会社との総合力を高めるため、『ひとつに合わせよう』というところから始まっています。一番の課題を解決するには、勤怠管理やワークフローの整理が必要でした。『TeamSpirit』はそれがひとつになっているという点で、人事部や総務部のニーズに合致していたようです。また、ちょうどセットになっていた点も利便性が高いと感じました」。

導入後、すぐに作業時間の削減と効率化が実感できた

人事部によると、「TeamSpirit」の導入による効果が最初に見られたのは「人事部だった」と言う。今まで何種類かの紙の書類で管理していた勤怠情報が「TeamSpirit」によって一元管理されたことで、作業時間の削減と作業の効率化がはかられたというわけだ。

以前は休みの届け出を紙で管理していたので、そのチェックを行なう担当者がいました。しかし、『TeamSpirit』を導入してからはそれをやる必要がなくなったので、人事採用の仕事を担当してもらっています。そうした例はほかにもあります」と、現状を評価する。

また、勤怠管理や経費精算については、それぞれ社員本人が「TeamSpirit」に入力したあと、部門責任者が二重チェックしている上、作業自体が単純化されたことにより入力ミスの減少も見られるようになったとのことだ。

この他にも効率化が見られるかはまだ経過観察中とのことだが、「事務作業の効率化、省時間化ができたら、本来の仕事に注力して決められた時間のなかでしっかり仕事をして帰って欲しい」と、滝澤社長は語り、次のように続けた。

「時間外労働の手当は、ある意味で生活給になっているところもあります。それを"保ちたい"と考えることは当然だと思います。もし時間内に仕事が終われば、当然ながら給料が減るわけですから、そのために『働き方改革』をやらされていると思うと、うまく進まないでしょう。それならば、出てきた余剰分は全部社員のみんなに返してあげればいい。私は『仕組みを作ってみんなに返す』と宣言しています」。

時間外労働の手当を得られる人たち以外にも目を向ける

前述のように、一般の社員にとって時間外労働手当の有無は、所得を大きく左右する大問題だ。他方、最近ようやく目が向けられるようになった「管理職」についても、同社は懸念していたという。

「時間外手当をもらえる人は、当然しっかり入力をしてくれるのですが、他方、営業所長や営業部長といった時間外手当がもらえるわけではない人は勤務時間を自己管理してしまいがちでした。これでは、彼らの働き方の実態が見えてこない
しかし、『TeamSpirit』の導入によって、所長や部長といった立場の人もきちんと入力をするようになったことで、8時半に出社しているのか、8時なのか? 何時に帰っているのか? が見えるようになってきました。これは私が一番知りたかった情報です。確かに全社での時間外労働は減ってきた感がありますが、そのあおりを受けて所長や部長が始業前に働いているとしたら、会社として決して良いわけがありません。その実態が見える環境が整ったことは、次のアクションを考える上で重要です」と、滝澤社長。

「TeamSpirit」のダッシュボード機能は、会社全体の働き方の実態などを可視化してくれる。だが、それはあくまで現状を知る情報でしかない。この先、それをどう改善していくか、改善にあたって、どのように社員と向き合っていくか......マネジメントの新たな課題と言えよう。

「今後の打ち手を考えることは難しいですが、いま会社の成長の原動力になっているのは、ちょうど30代後半から40代前半あたりの課長や若手の所長なので、こうした稼ぎ頭として活躍している人たちのこともしっかり見守っていくべきでしょう。そうした人たちが『働きやすい会社、働きがいのある会社』と感じてくれないと、と考えています」と、滝澤社長は今後を見据える。

目指すのは、朝起きて「行きたくない」と思わない会社

前述のように、一般の社員にとって時間外労働手当の有無は、所得を大きく左右する大問題だ。他方、最近ようやく目が向けられるようになった「管理職」についても、同社は懸念していたという。

過去から続く制度に加え、有給休暇の取得率向上や時間外労働削減に伴う給与の減額へのケアなど、新たな制度を整えるミツワ電機。最後に、今後どのような「働きやすい会社」を目指していくかを伺った。

「私が考える『働きやすい会社』は、単純に言って『朝起きて行きたくないと思わない会社』です。日曜の夕方に『明日、嫌だな』と思わない会社、とも言えるでしょう。『あれをやらなきゃ、これをやらなきゃ』と思うのではなく、『明日はこれをやろう』と思って月曜日に出社してきてくれる会社は『働きがいのある会社』だと思います。
働きやすい、というのはまた別で、少し難しいですね。ただ、働きやすいと同時に、次に働くために心身ともに充電ができる、休めることは大事だと考えています。そうした環境を、できれば時代先行で取り組んでいけたら、と考えています」。

ミツワ電機株式会社

設立
1939年5月
事業内容
電設資材・住宅設備機器の販売
URL
https://www.mitsuwadenki.co.jp/
取材年月
2018年8月

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