導入前の課題

自社で構築したオンプレミスの勤怠管理システムから、2013年に市販のシステムにリプレイスをしたが、社員から「システムが遅い、操作性が悪い」と不満の声が出ており、締め作業にも支障をきたしていた。
そんな状態を解消し、現場ごとに異なる就業時間や休日のスムーズな管理、工数のリアルタイムな把握によるプロジェクトの予実管理や原価管理、生産性向上の実現をしたかった。

導入効果とTeamSpiritへの評価

社員からはシステムのスピードや操作性はもちろん、モバイルアプリでどこからでも勤怠打刻や工数登録ができる点でも好評を得ている。
管理部門においても、100を超える勤務体系に応じた労働時間を自動集計し、安全衛生上や36協定上の労働時間を超過しそうな社員には自動でアラートを通知できるようになったことから、締め作業や労務管理が効率化できた。
さらに、社長自らがTeamSpiritにリアルタイムに蓄積されるデータを活用し、経営判断の迅速化や高度化に役立てている。

近年、首都圏や近畿を中心に、日本全国で再開発や建設ラッシュが続いている。そうした建築物を竣工させるまで、実に多くの人が関わることになる。ここで紹介する株式会社池下設計も1973年の創業以来、そんな中の主要なプレイヤーとして日本の建築業界を支えている。

業界に縁遠い人は「設計事務所」というとビルや住宅のデザインをするというイメージを持たれることが多いだろう。池下設計の場合もデザインをする部署もあるが、社員の約7割は建築の分野で言うところの「生産設計(施工図)」と呼ばれる、建築現場で職人や専門業者が施工をする為に用いる具体的な"指示書"の役割を果たす図面の作成を行っている。

生産設計を行なう上での特徴として、「プロジェクトごとに客先に常駐して仕事を行なう」という点が挙げられる。つまり、池下設計の社員は派遣先である、ゼネコンなどの事業者の指揮命令を受けることになる、ということだ。

そのため、自社の事務所に通勤して業務にあたっているのは管理部門や営業、請負で作図するスタッフなどごく少数。660名ほどの社員のうち、約7割の社員は社外にて業務にあたっている。

そうしたこともあり、同じ池下設計の社員であっても、出退勤の時間や休日など勤務体系がバラバラになる。そのままでは、「ルールに則った勤務体系になっているか? 超過勤務の状態に陥っていないか?」などが把握しづらいと懸念されるわけだ。これは、法令遵守や安全管理の点からも課題だと言えよう。

他方、社内にいながら請負で作図する社員の場合は、複数のプロジェクトを同時並行で進めるため、プロジェクトごとの原価が見えづらく、 "黒字/赤字プロジェクトがどれか"を把握することが難しい、という状態が心配される。

そうした状況を打開し、社員の働き方も企業経営も適正な姿にしようと考え、池下設計が採用したのが「TeamSpirit」だ。その経緯や実際に導入した後の変化などについて、同社の総務部総務1課の新妻淳氏、総務2課の池田誠氏、今泉雅子氏に話を聞いた。

池下設計様.png

〈左上〉総務部総務1課 新妻 淳氏、〈右上〉総務2課 池田 誠氏、〈下〉今泉 雅子氏

導入前の課題

システムの使い勝手に不満の声。本来取り組みたいプロジェクトの原価管理などに着手できない状態だった

「私たちの会社の社員の多くは、基本的には工事現場に常駐して仕事をするので、そこを指揮するゼネコン等の事業者と派遣契約を結んでいます。そのため、当社社員は、池下設計の社員ではありますが、ゼネコン側から見れば派遣社員でもあるというわけです」と、新妻氏。

そうした勤務の仕方であるため、同社の社員は現場で日報を付けて日々の勤怠や残業の状況を客先に報告承認を得ると同時に、自社の勤怠打刻もしなければならない。
例えば社内研修や健康診断などで『その日は派遣先には行かないけれど、自分の会社の業務として扱う場合がある』という状態になる場合もあります」と、同氏。

「TeamSpiritを導入する3年前の2013年頃、自社で構築したオンプレミスの勤怠管理システムから市販のシステムにリプレイスをしたのですが、社員からは『システムが遅い、操作性が悪い』と多くの不満が挙がっていました。特に、プロジェクト原価管理や生産性向上の目的で工数管理機能を利用しはじめてからは『画面が固まる』という不満の声も出て、入力がままならないため、本来の目的も達成できない状態でした。

そんな状態を解消し、「現場ごとに異なる就業時間や休日の管理をシステムを介してスムーズにできるよう環境を整えたい」「リアルタイムに工数を把握して、プロジェクト原価管理や生産性向上に役立てたい」と、池下設計の勤怠・工数管理システム刷新の取り組みが始まった。

導入の決め手

99%他社システムに決まりかけていた。決め手は、柔軟性や安定性、セキュリティの高さ

「実は、TeamSpiritを知る前に別のシステムを導入することがほぼ決まっていました」と、新妻氏は振り返る。「こんなシステムもあるようだ」とTeamSpiritを知り、操作デモを見た時に衝撃を受けた、とのことだ。

「派遣契約で現場に常駐している社員たちは、それぞれ派遣先で設定された様々な勤務時間や休日の定めに合わせて働いているため、勤務パターンは100種類を優に超えます。例えば、他社システムでは出来なかった『基本の勤務体系を個別に日毎に変更する』ことや、『勤務パターンごとに休憩時間を変更する』こと、『半休取得時には休憩時間を変更する』などの複雑な勤務体系もTeamSpiritなら全て設定で実現できることが分かりました。

さらに、Salesforceを基盤にしているので、安定性やセキュリティは担保されていて安心という点も決め手になりました」と、新妻氏。2016年2月に利用を開始すべく、導入プロジェクトが始まった。

TeamSpirit.png

金融機関も採用するSalesforce Paasを基盤としており、高度なセキュリティ環境を実現

導入の効果

社員や管理部門の業務効率化に成功。自動集計されるデータを活用し、労務管理や経営判断の高度化も

TeamSpiritの使用開始にあたり、やはり現場の社員からは「また変わるのか、大丈夫なのか?」という声はあったようだ。しかし、実際に導入してしまえばそうした声は消え、「操作性が良く、反応が速い。モバイル版があるから、どこからでも入力できる」と、苦情は一切なくなったと言う。また、特に説明がなくても操作できる、との評価もあったそうだ。

もちろん、現場の社員だけではない。登録がスムーズだからきちんと事務作業をしてくれるようになり、締め作業もスムーズに進んでいるとのことだ。

「TeamSpiritの導入後も社員数は右肩上がりに増えていますが、締め作業にかかる日数は以前と変わらず2営業日をキープできています。
これには、打刻をしていない社員とその上長に『打刻を忘れていませんか?』と日次でアラートメールが飛ぶよう設定したことで打刻率が上がり、打刻していない社員を特定して、入力を促すという手間がなくなったことも関係していると思います」と池田氏。

さらに同社の場合、月初に各派遣先から社員が送ってくる就業状況報告表と自社で管理している勤務状況を見比べて差を確認しているが、「以前は手作業で労働時間や残業時間、休暇日数等を集計していましたが、TeamSpiritならそれらのデータが自動で集計されるので効率性が大幅にアップしました」と、今泉氏も続ける。

また、「集計データをリアルタイムに把握できることは締め作業の効率化だけでなく、安全衛生法上や36協定上の労働時間を超過しそうな社員がいた場合、社員の所属上長に知らせ、派遣先にきちんと配慮を徹底するようお願いすることにも役立っています」と、新妻氏。

TeamSpirit2.jpg残業時間や休暇日数等の自動集計/可視化により、業務効率化と労務管理の高度化を実現(画像は利用イメージです)

また、冒頭に紹介した社内で請負の作図をしている社員がいくつものプロジェクトを横断的に担当していたとしても、勤怠と工数、さらに最近では経費の情報を元にプロジェクトごとの原価管理ができるようになったとのことだ。

「TeamSpiritの経費精算機能も利用して、経費をプロジェクト原価に直下することで、より正確に原価管理をおこなっています。経費精算機能を利用することで社員が利用した経費の申請をWEB上で完結させる事が可能となり、また管理部門の社員も現金の取り扱いが大幅に減った事により事務作業が効率化した為、社員の満足度も大きくしています」と、池田氏は教えてくれた。

さらに、最近では社長自らがTeamSpiritに蓄積されたデータを活用し、積極的に経営判断の参考にしていると言う。

「TeamSpirit上には社員の働き方に関する様々なデータが蓄積されており、プログラムを組んだり、csvに出力することなく、TeamSpirit上でリアルタイムのデータを見ることができるので、社員の労務に関することや、案件の可視化などの"見たいデータ"を自分でレポートとして出し、判断をしたり、考えを深めたりしています。

TeamSpirit3.png

リアルタイムに案件ごとの予実状況を可視化し、経営判断の迅速化と高度化を実現(画像は利用イメージです)

さらに、TeamSpiritのデータを社内のデータベースとプログラムで自動連携して、ほしいデータを帳票形式で更新できるようにし、経営判断の迅速化と高度化に役立てています。」と3人は声を揃えた。

株式会社池下設計Ikeshita Sekkei Co.,Ltd.

設立:
1981年5月
事業内容:

生産設計業務(建築施工図・仮設計画図・設備施工図) 
施工管理業務(建築工事・設備工事)
建築設計・監理業務(意匠設計・構造設計・設備設計)
耐震診断・設計 
FM業務(既存建物図面データ処理・ファイリング処理)

URL:
https://www.ikeshita-sekkei.com/
取材年月:
2020年9月
    

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