【働き方改革セミナー】「なぜ、いま働き方改革なのか」 開催レポート

【働き方改革セミナー】「なぜ、いま働き方改革なのか」 開催レポート

12月6日(木)にチームスピリット内セミナースペースにおいて、読売新聞東京本社 社会保障部 大津 和夫 次長にお越しいただき、セミナー「なぜ、いま働き方改革なのか」を開催いたしました。

大津氏は2000年より約18年にわたり、読売新聞において働き方を取り巻くテーマを含む社会保障領域をご担当されています。政府で働き方改革の議論が本格化する前の状況、2015年以降に働き方改革の議論が本格化した経緯、産業界の働き方改革への取り組み状況、個人と組織に今後求められる対応等について網羅的にご説明をいただきました。

議論のポイント:

  1. なぜ、今、働き方改革なのか

  2. 求められる対策とは(独自調査などから)

  3. 労働時間と「お金」(残業代)を巡る労働政策を考える

1.なぜ、今、働き方改革なのか

大津氏は、数年で社会情勢が大きく変わった要因として3点が挙げられる、としています。

一つ目は政治的理由です。2016年参議院議員選挙にて自民党が「働き方改革」を公約に掲げました。大規模な政府支出が不要であり、一般論としても反論できない政策です。野党も含めこのキーワードでの議論が盛り上がったという背景があったと推察されます。

二つ目は社会構造の変化です。2016年以前からあった問題です。人口が減ったことにより、急激に働き手が減少しています。2040年は、高齢者がピークに達する年であり、支えられる側がピークに達し、支える側の現役世代が急減していくもので、2040年問題と言われています。現有勢力で生産性を上げて、企業や社会全体に活力の維持・向上を目指すためには、働き方改革を通して無理・無駄を省いていくことが必須です。

三つ目がレピュテーションリスクです。企業で起きた過労死事件などが報道され晒されてしまうことにより、その会社の評価が下がり、商品やサービスだけでなく、人材の流出、または人材を採るにあたってのレピュテーションが起きてしまうことについての危機感が非常に大きくなりました。そのなかで、サービス残業という言葉に象徴されるように残業代を払わないことや、うつ病になって一人前というような働き方が許されにくくなっている社会になり、働き方を改善しなくてはいけないという意識が根強く広まりました。

就活生等にブラック企業であるとレッテルを張られると採用難に陥ってしまいます。

労働時間を管理しない取締役個人にも過労死の賠償責任が発生する事例もあります。ある外食チェーン企業の取締役は、過労死した社員の両親が起こした訴訟において、会社法429条の規定により、

「経営陣に過重労働を抑制する措置を取る義務があることは明白。この義務懈怠で労働者が死に至った場合、悪意、重過失が認められる」

として賠償命令の判決を受けました。

2.求められる対策とは

 大津氏は、読売新聞の独自調査を中心に今後考えたい7つのポイントを挙げられましたので、以下に簡単に紹介します。

1.業務の見直し
 残業時間に規制を設けた場合に、業務に支障が出ないと回答した会社は、業務量や業績を落とさないための取り組みが進んでいる。逆に言えば、支障が出ると回答した会社は、そのような取り組みが進んでいないということが分かった。そのため、業務自体に無駄や重複するものがないかを見直す必要がある。

2.上司がカギ
 職場で多くの権限を握っている上司の方が重要になっている。制度だけでなく、風土も大切であり、それを作っているのは上司である。

3.目的は効率向上・健康管理
 長時間労働見直しの目的として多くの企業が挙げているのが「仕事の効率を上げること」と「社員の病気を防ぐなど健康管理をすること」である。

4.抱える問題は業界で異なる
 小売業では労働時間、金融業ではノルマや成果、進捗状況等。教育産業では対人系のサービスなどはお客様の対応などで労働時間が長いこと。職場が抱える問題は業界によってさまざまである。雇用の七割を占める中小企業では、労働時間の制限により受注側の納期遅れや、売上機会の逸失等が発生してしまう。中小企業から見て国に支援してほしいと一番考えているものは「人手不足の解消」であり、次は「長時間労働を生みかねない民間の商慣習・取引条件の是正」。

5.同一労働・同一賃金への対応は?
 正規労働者と非正規労働者の間の不合理な待遇差を禁止することが決まったが、66%の会社が困難であると答えている。その理由は、同じ仕事のように見えても、中長期で見れば役割や期待がある。また、責任の重さが違うことや転勤があるなど様々な違いが生じるためである。しかし、交通手当など、直接の労働成果とはかかわらない待遇差は見直すべきである。

6.今後予想される人事管理
今までは一律対応が人事管理の需要だったが、マンツーマン対応に変わっていくと考えられる。個々が抱えている事情や、置かれている健康、キャリア等を踏まえながらマンツーマンで対応していくことが必要になってくる。これまでは、子供がいる方や介護をしている方たちに焦点を合わせていればよかったが、そうでない方々へも個別の対応をしていく必要が出てくる。特にミドルキャリア層における、職場以外のネットワーク作りや、ロールモデル作りなど、個人の意識改革を促す施策も大切である。

7.時間と場所を選ばない雇用関係によらない働き方(フリーランス)が注目
 一般事務をAIが行うようになると、今までの社員を前提とした働き方が変わってくる。フリーランスのメリットとしては、自分のやりたい仕事を行うことができることであるが、デメリットとして、収入の不安定さや、取引先との関係などがかかわってきてしまう。社会保障が圧倒的に不利な状況であるため、そこの整備をしていかなくてはいけない。



3.労働時間と「お金」(残業代)を巡る労働政策を考える

働き方改革の議論で最も議論されているのは、主に残業代など給与等の支払いに関するものです。

お金と時間を切り離す仕組みとしては高度プロフェショナル制度があります。1,000万円超(1,075万円程度との報道もある)稼いでいる人を法律から除外するやり方で、端的に言えば残業代を払わなくてもいいということにります。その代わりに、休日確保や勤務間インターバル(例えば11時間以上)などを導入するというものです。

お金と労働時間を切り離して考えるべきという理由に、以下3つの理由を述べられました。

1.労働時間と成果の不一致
残業代を稼ぐために効率悪く働いている人も少なくなく、長時間働いている人の方が得をするようになってしまっている。ホワイトカラーの仕事だと成果と時間が必ずしも一致しないため。

2.そもそも論
 そもそも、「賃金」とは会社が個人の成果や業績で決めるものである。
 そもそも、「時間」を規制する目的は賃金の問題ではなく、労働者個人の健康を守るためのものである。

3.「お金」で「時間」は減らせない?
 2010年に労働基準法改正があり、時間外労働の割増賃金率が上がったが、2013年の厚生労働省の調査では月60時間以上の残業をする人は2005年比で7ポイント増加した。サービス残業を容認している社会ということになっており、「お金」で「時間」を減らす効果は薄いのではないか。

組合側も経営側も、本音では両者がリンクしてほしいと考えている面もあるのではないでしょうか。組合側は残業代が欲しい(時短よりも賃上げ)と考えており、一方で経営側は残業代を支払って残業させることができるようになります(繁忙期でも新規に人を雇わず対応できる)。日本では、1970年代にオイルショックが起こり景気が冷え込んだ際に、人員解雇をせず、景気回復後に人手を増やさず、労働時間を増やして対応していた経緯があります。そのため、時間と賃金の結びつきが強くなり、容易に切り離して考えることが困難になったと考えられます。加えて、「お客様は神様」、「おもてなしの文化」など、勤労観もサービス残業や長時間労働の転換を困難にしているのではないでしょうか。

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