罰則回避に必須な労働時間管理(勤怠管理)とは

罰則回避に必須な労働時間管理(勤怠管理)とは

当記事は2019年10月に公開されました。公開当時と法律や手続き方法、名称などが変更されていることもありますので、その点はご留意ください。

これまでの日本では長時間労働を是とする風潮があり、「残業=頑張っている」という考え方が根付いている企業も少なくありませんでした。労働基準法によって定められている法定労働時間は、原則1日8時間・1週間で40時間ですが、労働者と使用者が締結する「36(サブロク)協定」によって時間外労働は月45時間・年360時間まで可能。さらに「特別条項付き36協定」を結んだ企業の場合は年間で6ヶ月まで各社の規定内での残業も認められていました。

しかし、2019年4月に働き方改革関連法の順次施行が開始されたことで、常態化していた残業や休日出勤などの長時間労働の現状の趨勢が変わりつつあります。現在では規模の大小を問わず、多くの企業が法改正への対策を講じ始めています。なぜなら、法令遵守をしない企業に対して罰則のある改正事項があるからです。企業の労務人事担当者は今後、法改正後の罰則を回避するためにも、これまで以上に徹底した労働時間管理や勤怠管理を行う必要性に迫られています。

働き方改革関連法による違反企業への罰則

これまでは長時間労働を強いる企業に対しても明確なペナルティがなく、それが世の中に長時間労働が常態化してしまう1つの要因となっていました。働き方改革関連法においては、違反企業において罰則が定められているものがあります。もちろん、罰則がないものについて「守らなくても良い」「無視できる」というわけではありませんが、是正の緊急度を鑑みれば罰則付きの改正事項を優先すべきかもしれません。まずは改正事項の罰則の有無について正しく把握・理解しましょう。

改正事項の罰則の有無について

その1:【罰則あり】 残業時間の上限の規制

残業時間の上限は、原則月45時間、年360時間までです。また、冒頭で紹介した労使の合意に基づく「特別条項付き36協定」にも制限が加えられ、その上限規制を超えて違反した会社には罰則が与えられます。罰則内容や上限規制については「時間外労働の上限規制」の罰則で紹介します。

その2:【罰則あり】 年5日の年次有給休暇付与の義務化

年10日以上の年次有給休暇が付与される従業員に対して、使用者が当人の希望を踏まえて時季を指定して年5日の有給休暇を消化することが義務付けられました。「義務」というだけあって、違反した企業には罰則が与えられます。罰則内容については、「年5日の年次有給休暇の義務化」の罰則をご確認ください。

その3:【罰則あり】 月60時間超の残業に対する割増賃金率の引き上げ

現状では大企業だけの適用ですが、2023年4月からは中小企業も対象になるのが月60時間超の残業に対する割増賃金率の引き上げ。これまで中小企業は月60時間超の割増率は25%でしたが、法定割増賃金率が50%以上に引き上げされます。違反した場合は、「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科せられるので、今後に向けて長期的な準備が必要となります。

その4:【罰則あり】 フレックスタイム制の拡充

労働時間の調整が可能な期間、つまりフレックスタイム制の清算期間の上限が1ヶ⽉から3ヶ⽉に延⻑されました。しかし、清算期間が1ヶ月を超える場合は労使協定を所轄労基署長に届け出る義務があり、それに反すると「30万円以下の罰金」が科されます。そのため、フレックスタイム制の拡充を検討する場合は、届出を怠らないようにしなければなりません。

その5:【罰則あり】 高度プロフェッショナル制度に伴う医師の面接指導

新たな技術や商品、または役務の研究開発に係る業務につく従業員、特定高度専門業務・成果型労働制の対象者に関して労働時間規制から外した新たな規制が「高度プロフェッショナル制度」です。端的には、年収1,075万円以上の高水準の仕事を行う従業員に対して残業代の支払義務がなくなります。高度プロフェッショナル制度自体には違反の罰則はありませんが、長時間労働による健康悪化防止のため、医師の面接指導が義務化されました。これに違反すると「50万円以下の罰金」が科されます。

その6:【罰則なし】 労働時間の客観的な把握の義務付け

フレックスタイム制や裁量労働制が適用されている従業員、いわゆる管理職と呼ばれる管理監督者も含め、高度プロフェッショナル制度の対象者を除くすべての従業員の労働時間を客観的に把握することが義務付けられています。これは明確な罰則は規定されていませんが、労務担当者の基本とも言える事項になります。正しい勤怠管理を徹底することでクリアできるはずです。

その7:【罰則なし】 勤務間インターバル制度の導入

業務の終わりに当たる終業時間から、翌日の始業時間までに一定時間の休息の確保を目的とするのが「勤務間インターバル制度」です。前日に深夜まで残業をしたにもかかわらず、翌日に早朝出勤をしていたら、体を壊す危険性があります。イレギュラーな業務が多い職種の場合、注意が必要な改正事項ですが、現状ではあくまでも「努力義務」の範囲内のため、罰則はありません。

その8:【罰則なし】 産業医・産業保健機能の強化

法改正によって、企業は産業医に従業員の業務状況や健康状態に関してよりくわしく、適切に情報提供を行うことが求められます。こちらも明確な罰則は規定されていませんが、産業医は従業員の健康確保が必要だと認めた場合、企業に対して勧告することもあります。企業はその勧告内容を労使や産業医で構成される衛生委員会等に報告する必要があるため、速やかな是正が必須となるでしょう。

その9:【罰則なし】 同一労働同一賃金(雇用形態による待遇格差の是正)

近年、非正規雇用の従業員が増加傾向にあり、雇用形態による待遇格差が問題となっています。そのため、同程度の業務・責任を担う労働に対しては、正規・非正規を問わず公平な賃金(同じ給与)を与えるべきという「同一労働同一賃金」の義務化が法改正によって明文化されています。しかし、こちらも明確な罰則は規定されていません。

対応を急ぐべき2つの罰則付き改正事項

各企業で法改正に基づいた対応が急務と言えますが、未対応の事項については優先順位を付けたうえでの対処が求められます。前項で罰則のありなしを紹介していますが、明確なペナルティがある事項については特に対応が急がれます。働き方改革関連法の改正においても、特に多くの企業が急ピッチで対応に励んでいる「時間外労働の上限規制」と「年5日の年次有給休暇の義務化」について注目してみました。

対応を急ぐべき2つの罰則付き改正事項

「時間外労働の上限規制」の罰則

月45時間、年360時間という時間外労働の上限規制を超える場合は、労使の合意に基づく「特別条項付き36協定」の締結が不可欠です。そして、今回はその特別条項にも「時間外労働が年720時間以内」「休日労働を含む時間外労働は月100時間未満」「2~6ヶ月の休日労働を含む時間外労働を平均80時間以内」「月45時間を超えることができるのは年6ヶ月」の制限が加わりました。違反した会社は「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」の罰則となります。

違反しないための取り組み1:自社の勤怠管理の状況把握

働き方改革関連法のメインテーマとも言えるのが「長時間労働の是正」です。そのため、最も重要視すべきがこの「時間外労働の上限規制」と言えます。しかし、残業が常態化している企業では、「残業を減らしましょう」と勧告したところで主体的な変化は期待できないでしょう。そのため、まずは罰則規定に引っかからないようにどう運用するのか、またはどこまで対応ができているのかという現状を再確認しましょう。まだ具体的な策を講じることができていない場合は、自社の勤怠管理の状況把握が最優先となります。

違反しないための取り組み2:勤怠管理システムの導入で徹底的な勤怠管理の実施

時間外労働の上限規制は、たとえ「特別条項付き36協定」を締結していても制限があります。そのため、従業員各々の勤怠状況は常にチェックできる状態にあるべきだと言えます。リアルタイムに労働時間をチェックできるクラウド型の勤怠管理システムを導入すれば、システム上で一元管理が可能に。労務担当者の業務効率化にもつながるでしょう。また、罰則の規定に引っかかりそうな従業員がいる場合、その対象者に関するアラート通知が来る機能があると、「見過ごし」という最も恐ろしい状況を回避できるはずです。

「年次有給休暇の取得義務」の罰則

厚生労働省が発表した平成30 年「就労条件総合調査」の結果によると、労働者の有給取得率は51.1%に留まっています。有給休暇は雇用日から6ヶ月間継続的に勤務し、かつ勤務日の80%以上できちんと出勤した従業員に対して10日分が付与される仕組みです。そして、今回の法改正によって、10日以上の有給休暇が付与される従業員に対して、5日分の消化が義務付けられました。違反した場合は企業に対して「30万円以下の罰金」が科されます。

違反しないための取り組み1:有給休暇消化計画の徹底

有給休暇はあらかじめ従業員が上長や労務担当者に申請を行ったうえで権利を行使するものなので、社内で消化の計画を立てることが重要です。同じ時期に複数人がまとまって有給休暇を取得したり、年度末になって「規定の日数を消化していない」という事態になったりしないように、それぞれの希望の時季をある程度固めておくことが必要になります。特に有給休暇消化が定着していない企業ほど、そうした全社的な意識改善の取り組みを行うべきでしょう。

違反しないための取り組み2:勤怠管理システムで有給休暇取得状況をスケジューリング

従業員が先々の有給休暇取得の目安について日程を決めていたとしても、きちんと管理できていないと、就業状況などによって予定通りの有給消化が達成できないケースがあります。また、上長や労務管理者が従業員の有給消化予定日をきちんと把握できていない状況も想定されます。そのため、勤怠管理システムによって、先々の有給消化を事前に申請することで漏れの防止が期待できるでしょう。万が一、有給休暇の日程をずらしたい場合は、再申請し上長や労務管理者の受理を必須にすれば、変更に対しても状況把握ができないという事態は避けられるはずです。

「勤怠管理システムでの法令遵守」が当たり前の時代に

今回の法改正によって罰則のあるなしにかかわらず、企業が法令遵守に基づいた勤怠管理を行わなければならないのは既成事実となりました。なんとなく見過ごされることもなくなるので、管理徹底は言わば企業の義務であり、やって当たり前の時代に突入しているのです。労務管理者の負担は今まで以上に増えることが想定されるため、業務効率化を図れる優秀な勤怠管理システムの導入が求められます。アナログからデジタルへの移行がまだという企業の場合は、早めの検討をおすすめします。

従来までのアナログな管理では対応が困難に

勤怠管理は従業員の出退社・欠勤などの就業状況を追うだけではなく、法令遵守に基づいた管理体制の構築が求められるようになりました。タイムカードで打刻し、そのデータをエクセルで管理する多くの企業で採用されていたアナログな管理体制では、不備のない対応が難しくなりつつあります。WebブラウザやICカード、モバイル端末からの打刻が可能で、即時にそうした勤怠データが反映されるクラウド勤怠管理システムの導入が急がれます。働き方改革関連法は順次施行が開始されている状況なので、対応を後回しにすべき状況ではないのです。

罰則を受けることで"ブラック企業"としての悪評が立つ危険性

全社を挙げての勤怠管理体制の見直しが迫られている時代において、これまで同様に「従業員に無理強いさせる」「適切な勤怠管理ができていない」という法令遵守を怠った企業は間違いなく評判を落とすことになるでしょう。また、罰則を受けた企業に対して、厚生労働省は社会への啓発を目的に「企業名の公表」を示唆しています。これは世間に蔓延る長時間労働の流れに一石を投じる動きとなるでしょう。

法令違反で罰則を受けたという悪評が立てば、社会的なイメージダウンは避けられません。また、近年では就職関連の口コミサイトなどに従業員や元社員が勤怠状況の現状を赤裸々に語っているケースもあり、小手先ではなく会社全体で改革を果たさなければ、"ブラック企業"として認知されてしまう危険性もあります。SNSなどを通して情報がすぐに拡散されてしまう時代において、そうした悪印象をもたらす事象は採用面にも影響をもたらしますし、上場企業であれば株価にも影響する事態も考えられるでしょう。

イメージアップが期待できる「健康経営銘柄」「健康経営優良法人」

勤怠管理ができていないと"ブラック企業"のレッテルを貼られてしまう一方、健全な労働環境の整備に尽力している"ホワイト企業"が評価される動きも目立ってきています。経済産業省が選定する「健康経営銘柄」「健康経営優良法人」の取り組みもその1つです。従業員が健康的で安心安全で働ける環境の整備に積極的な「健康経営を実践できている優良企業」として経済産業省に認められることで、世間からはCSRを果たしている企業と認知され、企業価値が高まり、イメージアップも期待できます。

イメージアップが期待できる「健康経営銘柄」「健康経営優良法人」

経済産業省認定1:「健康経営銘柄」

経済産業省では東京証券取引所の上場企業の中から、優れた「健康経営」を実践している法人をリーディングカンパニーとして「健康経営銘柄」に選定しています。従業員の健康管理を経営的な視点で考えており、投資家にとっても企業価値が高く魅力ある企業とされます。

経済産業省認定2:「健康経営優良法人」

経済産業省と日本健康会議の共同で実施しており、上場企業に限らず保険者と連携して優良な健康経営を実践している法人に与えられるのが「健康経営優良法人」です。大規模法人部門と中小規模法人部門に分かれており、それぞれの企業規模に合わせた認定を行います。

法改正に柔軟な勤怠管理システムを選ぶことが重要

時世に適した勤怠管理を実践することはもはや企業の義務です。ただ、従来の勤怠管理のやり方ではすでに法令遵守を徹底できないケースもあるので、これからは法改正に対応しているシステムに乗り換える動きが重要になります。また、今後どんな新たな法改正があるかわからないことから、常に最新の法律に対応のためのバージョンアップ機能がある勤怠管理システムであれば、将来的な運用も踏まえて安心だと言えるでしょう。

「TeamSpirit勤怠管理」なら法改正にも随時対応

TeamSpirit勤怠管理」は働き方改革関連法の審議時から製品対応に着手していました。また、例えば2019年7月にリリースした製品バージョン「TeamSpirit Summer'19」では「年次有給休暇の年5日取得義務」への機能を強化するなど、定期的なバージョンアップで追加対応を図っています。こうしたバージョンアップは全ての導入企業様に適用されるため、常に最新の状態をご利用いただけます。

働き方改革関連法案のような法改正が実行される場合において、自社だけで情報を収集し、そこから対策を考え日々の実務に落とし込むには非常に大きな負荷を伴います。最小限の労力で万全な対策を講じるためにも、クラウド勤怠管理を検討してみるのはいかがでしょうか。

法律違反のリスクは大きいだけに早めのご相談を

働き方改革関連法の法改正に対応できていない企業は、今後は法律違反となる危険性が高く、罰則を受けたり、イメージダウンにつながってしまったりするリスクが伴います。すでに施行が開始されている法改正もあるだけに、法令遵守を徹底するうえでも早めの対応をおすすめします。TeamSpiritでは勤怠管理システムの導入をご検討されている企業様のご相談を承っています。まずはお気軽に貴社の事情についてお聞かせください

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